20歳以上の人であれば、だれもが国民年金や厚生年金の保険料を支払っています。しかし、リタイア後にどのくらい年金を受け取ることができるのか、把握している人は少ないのではないでしょうか。定年を迎える前に、支給額を知っておきましょう。
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目次
年金の種類と支給額の違い
国民年金はどんなもの
公的年金制度は、わたしたちが会社をリタイアした後の生活を支えてくれる、とても重要な制度となっています。そのなかで、多くの人が加入している国民年金は、基礎年金とも呼ばれていて生活するうえで最低限の保障をしてくれる年金となっていて、年金の1階立て部分として年金のすべての基礎となります。主に、第一号被保険者と呼ばれる自営業や社会保険に加入することができない人が、加入する年金となっています。 国民年金に加入した場合は、リタイア後の最低限の保障しかされていないため、リタイア後に受け取ることができる年金の金額は、厚生年金に加入している人よりも少ないことが特徴となっています。また、国民年金の保険料は、年度によって保険料が変動していきますが、被保険者の所得や収入に関わらず、全ての人が一定額の保険料を支払う必要があります。
厚生年金の仕組み
厚生年金に加入している人は、保険料を厚生年金保険料として支払っているかたちになりますが、この保険料には、国民年金の保険料も含まれており、年金の2階立て部分に当たります。厚生年金は、主に企業に勤めている会社員などのサラリーマンが入る年金です。そのため、会社に就職したら自動的に厚生年金に加入するという仕組みになり、定年を迎えて退職するか、会社を退職するまで厚生年金に加入し続けることになります。 厚生年金の保険料は、会社の給料から引かれるため、わざわざ自分で支払う手間もありません。また、厚生年金の保険料は、国民年金と違って、収入によって上がったり下がったりします。そのため、収入が多ければ多いほど、保険料の支払いが多くなってしまいますが、その分、受け取ることができる年金は多くなります。
国民年金を多く貰う方法
国民年金の未払い額を確認
国民年金は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人であれば、すべての人に加入することが定められています。そのため、20歳になったら、国民年金の加入の手続きをする必要があります。ですが、20歳以上になった場合でも、大学生などの場合で保険料を支払うことが難しい場合は、学生納付特例制度や若年者納付猶予期間を利用することで保険料の支払いが免除、控除されるケースがあります。もし、保険料の支払いが難しい場合でも、学生納付特例制度、若年者猶予期間を申請しておくことで、国民年金に加入していることになるため、滞納扱いになってしまう心配がありません。 もし、学生納付特例制度を申請することを忘れた場合など、国民年金の未払い額を確認して、未払い額があった場合は、過去2年分までは遡って支払うことができます。そのため、所得や生活に余裕が出てきたときに払うことで、少しでも多くの国民年金を受け取ることができます。
追納と後納の違い
国民年金の保険料の支払いを忘れてしまった場合、追納制度と後納制度を利用することで、後から支払いをすることができます。追納制度、後納制度のどちらを利用する場合でも必ず申請が必要になってきます。 追納制度とは、厚生労働大臣の承認を受けてから、承認された日を含む月より前の10年以内の期限に限って、免除を受けた国民年金保険料を支払うことができる制度です。また、支払いの際に、満額の二分の一として計算してもらうことができます。追納制度を利用する場合は、当年、前年、前々年までは当時の保険料のまま支払うことができますが、それ以上前の分の保険料に関しては、加算金がプラスされてしまうため、支払いが遅くなれば遅くなるほど支払う保険料が高くなってしまいます。 本来、支払うことが義務となっている国民年金保険料は、支払期限が過ぎてしまったものは、猶予期間や免除期間でなければ未納期間として扱われてしまいます。また、2年分の保険料までしか遡ることができません。しかし、後納制度を利用することで、5年以内の期間であれば保険料の支払いをすることができます。
より多くの年金をもらう方法
納付期間を長くする
リタイア後に少しでも多くの年金をもらうには、できるだけ長く保険料を納めていることが必要になってきます。厚生年金の場合、年金の受け取り金額を出す計算式に、保険料を納付した月数が含まれています。そのため、保険料を10年しか支払わず、残りの期間が未納だった人は、20歳から60歳までしっかり支払っている人に比べると、受け取ることができる年金は少なくなってしまいます。 60歳を超えた場合でも、65歳まで働いて長く厚生年金保険料を払支払っていた人の方が、働いていた期間が加算され、より多くの年金を受け取ることができます。
任意の保険に加入
現在、年金を受け取ることができる年齢は、65歳からとなっています。そのため、定年を迎える60歳から年金を受け取ることができるまで、5年間の空白の時間があります。この5年間を上手に利用することで、65歳以降に受け取ることができる年金をより増やすことができます。 通常は、60歳まで保険料を支払う場合が多くなっています。ですが、年金の満額を受け取ることができる期間である40年間のなかで、滞納してしまっている期間や保険料を免除されている期間があった場合は、その期間によって受け取ることができる年金額が減ってしまいます。受け取ることができる年金額を増やしたい場合は、私的年金に加入することで、年金を増やすこともできます。 私的年金に加入することで、60歳以降でも保険料を支払うことになるため、年金を満額もらうことができない人でも、満額に近い年金の受け取り額に近づけることができます。
支給を先延ばしにする
年金の受け取りは、通常、65歳から受け取ることができますが、必ず65歳から受け取らないといけないわけではありません。年金の受け取りは、最大で70歳まで先延ばしにすることができます。つまり、年金は、60歳から70歳の間であれば、いつでも受け取ることができるのです。そのため、65歳以上になっても働いていて収入がある場合は、年金の受け取りを遅らせることができます。 年金は、保険料を長く払っていて、加入している期間が長ければ長いだけ、受け取ることができる年金が多くなります。また、年金の受け取りを1ヶ月遅らせることで、受け取り額が0.7%アップします。もし、70歳まで年金の受け取りを遅らせることで、年金の受け取り金額を42%もアップさせることができます。
年金の支給額をチェック
ねんきんネットを利用する
年金の支給額は、ねんきんネットを利用することで簡単に調べることができます。ねんきんネットは、日本年金機構のホームページから利用することができます。インターネットを通して調べることができ、24時間いつでも利用することができるため、仕事でなかなか時間を取ることができない人でも、空いた時間に年金の支給額をチェックすることができます。 ねんきんネットは、年金の支給額を調べるだけでなく、自身の年金記録の確認や電子版ねんきん定期便の閲覧、日本年金機構から郵送された各種通知書の確認など、さまざまなことができます。また、基礎年金番号を持っている人であれば、誰でもねんきんネットを利用することができます。
ねんきんダイヤルで確認
電話で年金の支給額を知りたい場合は、日本年金機構にあるねんきんダイヤルに直接電話することで、年金の支給額を調べることができます。ねんきんダイヤルに電話をかけると、一般的な年金の相談をすることができます。ねんきんダイヤルを利用して、申し込みをすることで、年金見込み額試算をしてもらうこともできます。ねんきんダイヤルを利用する場合は、基礎年金番号が必要になるため、年金手帳を必ず用意するようにしましょう。また、ねんきんダイヤルは、50歳以上の人のみ利用することができます。 ねんきんダイヤルの受付時間は、月曜日が午前8時30分から午後7時00分まで、火曜日から金曜日が午前8時30分から午後5時15分までとなっています。また、第二土曜日のみ、午前9時30分から午後4時00分まで、相談をすることができます。月曜日が祝日の場合は、翌日以降の開所日の初日に午後7時00分まで、電話相談をすることができます。祝日と12月29日から1月3日の期間は受付を行っていないため、曜日を確認してから電話をかけるようにしましょう。
国民年金の支給額を計算する方法
国民年金の支給額を計算する前に、年金の受給資格があるかどうかを確認する必要があります。国民年金の場合は、25年間、300月の受給資格期間が必要になってきます。国民年金の支給額は、満額×保険料納付月数/加入可能年数、といった計算式に当てはめることで算出することができます。この場合の、保険料納付月数は、国民年金の保険料を納付した月数、会社員や公務員の20歳から59歳までの期間、第3号被保険者としての期間が当てはまります。また、国民年金の受給額の上限は、約78万100円となっており、受給額の上限以上に支給されることはありません。
早見表で支給額を確認
厚生年金の支給額の計算はとても複雑で、難しいです。そのため、厚生年金に加入している人は、受給額の早見表で確認することができます。早見表は、厚生年金に加入していた期間と平均給与から、年齢と受給額の目安を知ることができます。 早見表を利用して支給額を確認する際は、計算のもととなる給与の平均が異なる場合があるため、平成15年3月までと平成15年4月以降の2種類の早見表でそれぞれ確認をして、合わせる必要があります。また、平成15年3月までの早見表を利用する場合は、賞与は含まず、平成15年4月以降の早見表を利用する場合は、賞与を含むため注意が必要です。厚生年金の支給額を早見表を使って確認する場合は、はっきりとした支給額を出すことはできず、だいたいの目安しかわかりません。 厚生年金の支給額をはっきりと知りたい場合は、シミュレーションの利用もおすすめです。シミュレーションのやり方は、平成15年3月までの平均給与と平成15年4月以降の平均給与を入力します。そして、それぞれ厚生年金に加入していた期間を入力、20歳から60歳の間の厚生年金保険加入期間を入力します。生年月日と、最後に、加給年金額を入力し、計算するをクリックすれば、簡単に計算してもらうことができます。
厚生年金の支給額を計算で知る
厚生年金の支給額をはっきりと知りたい場合は、計算式に当てはめることで調べることができます。厚生年金の支給額の計算式は、平均月給(万円)×900×(加入年数)+平均月収(万円)×660×(加入年数)=支給額となります。 この計算式に当てはめて計算をすると、仮に、平成15年4月までの賞与を含まない給与が30万円で、厚生年金に加入していた期間が20年間だった場合は、30万円×900×20年=54万円となります。次に、平成15年4月以降の平均月収が50万円で、厚生年金に加入していた期間が15年間だった場合は、50万円×660×15年間=49万5,000円となります。54万円と49万5,000円を足すと、103万5,000円となります。つまり、この場合の、厚生年金の支給額は、103万5,000円となります。このように、計算式に当てはめて計算をすることで、簡単に厚生年金の支給額を出すことができます。
経過的加算を計算しよう
厚生年金は、20歳から60歳の間に加入していると、同時に国民保険料も支払っていることになります。そのため、65歳以降に受け取ることができる老齢基礎年金も受け取ることができます。しかし、20歳より前と60代以上は、国民年金を納付する義務から外れているため、厚生年金に加入していたとしても老齢基礎年金には加入されません。 通常は、20歳から60歳の間に、国民年金に40年間加入していた場合は、40年分の老齢基礎年金を受け取ることができますが、18歳から58歳の40年間加入していた場合は、18歳と19歳に支払っていた2年間分は、老齢基礎年金として受け取ることができません。つまり、この場合は、38年分の老齢基礎年金しか反映されないことになってしまいます。 経済的加算は、この2年間の損をしてしまう部分をカバーするために作られた制度になります。つまり、この損をしてしまう2年間を、経済的加算として加えて計算することで、正しい年金の支給額を調べることができます。
支給額を確認してより多くの年金を受け取る
年金の受け取り金額の仕組みは、国民年金、厚生年金など、加入している年金制度によって大きく変わってきます。また、特に、厚生年金の場合は、現役として働いていた期間と収入によって保険料が変わるだけでなく、リタイア後に受け取ることができる年金の金額も大きく変わってきます。 そのため、年金を受け取る前に、自分の年金の支給額を確認して少しでも多くの年金を受けとることができるように調整することもできます。リタイア後のために、今のうちからしっかりと年金について向き合って、幸せな老後を目指しましょう。
エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
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