年金は老後生活を送るための重要な収入源。いざ仕事をしなくなり年金生活に入った際にどのくらいの年金を受け取れるのかを知らずにいると、生活が苦しくなることもあります。安心して生活するためにも年金受給額を知り、備えることが大切です。
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年金はいくらもらえるのか世帯別の平均目安
国民年金単身者は約5万5千円
少子高齢化が進んでいる現代では、年金だけでは生活が苦しいというのが現状です。年金生活に入る前に、ある程度の受給額がわかっていれば、それと合わせて老後のためにどのくらいの貯蓄をしておけばよいのかも想像ができるでしょう。 年金の実際の給付額は、その年によって変わります。これは、景気によって変動する物価などに対応するために、給付額を計算するための数字(利率)が毎年変わるからです。 平成27年度厚生年金保険・国民年金事業概況によると国民年金加入者の単身者の場合で月額5万5千円となっています。満額支給であれば月額で約6万5千円が支給となるはずですが、実際の支給額がそれよりも少なくなっているのは、未納期間などがあり減額となっていることが多いためです。
国民年金夫婦は約11万円
国民年金の月額の年金受給額は約5万5千円となっていますから夫婦2人では、月額平均は約11万円となります。老後の生活で夫婦2人で1ヶ月に必要となる生活費は27万円ともいわれています。少なくとも年金だけでは生活することが難しいということがわかります。夫婦ともに国民年金加入の場合には、収入を公的年金だけに頼るのは難しいため、生活するためには何らかの収入を確保しておく必要があるでしょう。
厚生年金単身者は約14万円
公的年金には国民年金と厚生年金があります。厚生年金はサラリーマンのように会社勤めだった人が対象と。厚生年金に加入していた場合、単身者だと月額平均約14万円です。 厚生年金は、国民年金とは違い、一律の保険料となっているわけではありません。支払われていた給与によって、保険料も変われば受給額も違ってきます。そのため実際の受給額と平均で出ている金額にはある程度差があり、実際の受給額も幅があります。
厚生年金夫婦は約22万
厚生年金を夫婦で受給する場合には、どの程度の年金を受給することができるのか。妻が専業主婦の場合には、第3号被保険者となり、保険料を納めなくても夫の厚生年金に加入していることになるので、老齢基礎年金を受給することができます。 老齢基礎年金では、6万5千円程度の受給となり、夫が一般的な会社員の場合、厚生年金の受給額の平均は14万円ですから夫婦合わせて20万円程度です。実際には夫婦合わせて22万円が夫婦の年金受給額となりますから生活することを考えるとギリギリの額でしょう。
厚生年金共働き夫婦は約29万
共働きだった夫婦の厚生年金の受給額は、平均で約29万円です。夫婦ともに正社員として働き、それぞれが厚生年金に加入していた場合です。共働きであってもパートやアルバイトなどで妻が単独で厚生年金に加入していない場合は当てはまりません。 一般的な会社員の厚生年金受給額の平均が約14万円。それを夫婦2人が同じように受給して約29万円となります。ただし、妻が途中で出産などのために厚生年金から一時脱退していた場合などは、受給額が下がることが考えられます。
自分がもらえる年金額の算出方法
厚生年金の計算方法
将来自分がもらえるであろう年金額は気になるところです。だいたいの金額もわかっていればそれに合わせて貯蓄などで老後に備えることもできます。そこで知っておきたいのが、年金受給額の算出方法です。国民年金では、満額が決まっていますが、厚生年金に関しては、給与額によっても受給できる年金額に違いますから判断が難しくなります。一度計算してだいたいの受給額を把握しておくと安心です。
厚生年金の計算方法は平均給与×加入期間×一定乗数
厚生年金の受給額は「平均給与×加入期間×一定乗数」の式から算出されます。式だけ見るとすぐに計算することができそうですが、実際には簡単ではありません。 平均給与は、標準報酬月額より計算します。平成15年3月までは、給与のみ(賞与は含まれない)の計算でしたが、平成15年4月からは賞与も加えて計算する方法に変わりました。加入期間によっては、平均給与を出すために両方を計算する必要があります。 一定乗数はも平成15年3月までの分と平成15年4月からは違う乗数を使う必要があります。 平成15年3月までは7.125/1000、平成15年4月からは5.769/1000。これは本来水準と呼ばれ、もう一つ従前額保障があります。従前額保障では、平成15年3月までが7.5/1000、平成15年4月からは5.769/1000となります。実際の計算では本来水準と従前額保障の両方で計算を行いどちらか高いほうが支給となります。 厚生年金の受給額を計算するのはとても複雑で難しいです。この計算も2017年12月現在の状況ですから、法改正などが行われれば乗数が変わってくる可能性もあります。この計算式を利用するのであれば、あくまでも2017年12月時点での数字ということを頭に入れて計算するようにしましょう。
国民年金は40年加入で満額78万円
国民年金は、厚生年金とは違い、保険料も一律で年金受給額も一律となります。年金は20歳から60歳までの加入が義務となっていますから加入期間は40年間。これを未納などなく保険料を納めた場合には、満額である77万9,300円が支給されます。 実際の国民年金の平均受給額は、月額約5万5,000円ですから、年額にすると66万円となります。満額と実際の平均受給額に差があるのは、未納の期間などがあり満額を受給できていない人がいるということになります。
共済年金は職域加算を上乗せする
公的年金制度には、国民年金・厚生年金・共済年金があります。共済年金に関しては公務員や私立学校教職員などが対象となっています。共済年金の加入では、国民年金の第2号被保険者となり、基本的には厚生年金と同じ扱いです。ただし、共済年金の特徴として他の年金制度にはない職域加算があります。基本は厚生年金と同じですから厚生年金の受給額にさらに職域加算が足されたものが支給額です。
職域加算とは
職域加算とは、共済年金にのみある年金の上乗せ制度です。共済年金に加入している場合には、基礎年金と共済年金さらに職域加算の三段での支給となります。 職域加算の計算方法は、平均標準報酬額×1.154/1000×加入期間です。例えば平均標準報酬額が40万円で30年加入していたとすると40万円×1.154/1000×360ヶ月=16万6,176円となります。厚生年金の年間支給額に16万6,176円が加算されます。
厚生年金受給額の早見表で確認する
厚生年金の受給額の計算は、計算方法が複雑になっているためにとても大変です。しかし、実際に計算してみないと、どのくらいの年金をもらえるのかがわからないので、老後の生活設計も難しくなります。 そこで便利なのが厚生年金受給額の早見表です。早見表は、インターネットで見ることができます。加入年収と平均月収で大体の年金支給額がわかります。支給額は、あくまでも大体の金額です。厳密な額を出すことはできませんが、老後の生活設計のための参考にできます。
年金事務所に問い合わせる
自分が受給できる年金額を正確に知りたいということであれば、年金事務所に問い合わせてみるとよいでしょう。年金事務所であればどのような年金にどのくらいの期間加入しているのかもすぐにわかりますから、それをもとに支給額を計算してくれます。 加入途中で問い合わせを行う場合には、現時点での年金受給予定額となりますが、参考にすることができます。どのくらいの年金を受給できるのかだいたいでも金額がわかれば、老後に向けての対策も立てやすくなります。
ねんきんネットを利用する
自分の年金支給額を知る方法としてねんきんネットの利用があります。ねんきんネットは、パソコンやスマートフォンからこれまでに納めた保険料や見込年金支給額、未払い保険料などを調べるためのものです。 いつでも簡単に調べることができるので、どのくらいの年金をもらえるのか調べるのには便利でしょう。
ねんきんネットで年金額を調べる
ねんきんネットで年金額を知るためにはまずは、ねんきんネットに登録する必要があります。 ☑1.新規登録画面を開き基礎年金番号・メールアドレスなど必須事項を入力し送信する ☑2.登録したメールアドレスに日本年金機構よりユーザーIDが届く ☑3.ユーザーID・パスワードでログインする 一度登録しておけば、いつでも必要な時に利用することができます。ねんきんネットでは、未納となっている年金額なども調べることができます。国民年金で未納となっている分があれば5年前まで遡って支払いできます。間に合えば遡って後納し、満額受給を目指しましょう。国民年金は未納があると、老齢基礎年金の減額対象となりますから気を付けたいところです。
もらえる年金額を上げたい時のポイント
収入を増やす
貰える年金額を増やしたい場合には、いくつかの方法があります。その中の1つが収入を増やすという方法です。国民年金の場合には、一律の支給となりますが、厚生年金の場合には給与額によって支給額が変わってきます。同じ年数加入したのであれば給与が多いほど支給額も多くなりますから、少しでも給与を上げることができれば年金額を上げることができます。 年金支給額のことだけを考えるのであれば、少しでも収入の多い会社で働くと年金額が上がるということです。平成15年4月からは賞与も支給年金額計算の対象となっていますから、月収ではなく年収で考えてみることも大切でしょう。
個人年金に加入しておく
年金の受給額を少しでも増やしたいとき、もっとも一般的になっている方法が個人年金への加入です。個人年金は、公的年金とは違い、保険会社や金融機関などが行っています。こういったものに加入しておくことで公的年金のような老後の収入源となります。 個人年金は、公的年金とは違い、義務で加入するものではありません。それぞれの商品によって保険料も違えば支給額や支給の方法も違います。個人で積み立てる年金と考えるとよいでしょう。働いているうちに老後を考えて個人年金を利用して積み立てをすれば、公的年金にプラスして収入を得ることができます。
個人年金とは
個人年金は、公的年金とは別の個人で行う年金です。保険会社や金融機関など個人年金の種類もとても多くなっていますから、きちんと比較して加入を検討する必要があります。そのような中でも注目されているものにiDeCoがあります。 iDeCoは、個人型確定拠出年金。毎月の掛金、どんな金融商品で運用を行うのか、どのように受け取るのかを自分で決められることが特徴です。60歳まで積み立てを行い、60歳から70歳の間が受給期間となります。
定年になるまで長く保険料を払う
公的年金制度でも国民年金と厚生年金では、制度に違いがあるため増やし方も違ってきます。少しでも長く働くことで年金額を増やすこともできます。それぞれの制度を上手に利用して年金額を増やしましょう。 現在では、定年後も何らかの仕事を行っている人が多く、70歳まで働いている人は少なくありません。年金の受給に関しても働くことで増やすことができますから、定年ということでなく働くことを考えることも重要です。
国民年金
現在、公的年金の受給は65歳からとなっています。国民年金への加入は20歳から60歳までの40年間が加入する義務があります。加入している間に未納の期間があれば、その分年金支給の際に減額となります。それを防いで年金額を増やすためには、60歳以降任意加入ということで未納となっている保険料を支払うことができます。
厚生年金
厚生年金は、加入要件を満たしていれば70歳まで強制加入となります。以前は65歳まで加入できていたのが平成14年4月から70歳までの加入が可能となりました。これによって65歳から70歳までの加入分は70歳で年金受給する際にその分の再計算が行われ、年金額に上乗せして支給されます。70歳まで働けるのであれば、その後年金は上乗せされたものを受給できます。 一般的に、年金は65歳からの受給ですが、受給年齢を65歳ではなく、繰りあげて70歳から受給するようにすることで年金額を増やすことができます。逆に繰りさげて60歳から年金を受給するような場合には、月々の年金額は下がりますから注意しましょう。
公的年金の支給額を算出して未来に備えよう
現在では、核家族も多くなり、老後も夫婦だけで生活を送るというのが一般的なものとなりつつあります。そのような状況の中で、老後の生活を考えることはとても重要です。 老後の生活の主な収入源となる年金。この年金がどのくらいの額になるのかで、生活設計も変わります。あらかじめ、年金がどのくらいもらえるのか知っておくことで、足りないと予想される分の準備もできます。もちろん、実際にどのくらい受給できるのかは、その時にならないとわかりません。 ねんきんネットなどで簡単におおよその年金受給額を知ることができます。だいたいの額がわかっていれば、それに備えて個人年金で積み立てをおこなったり貯蓄するなど、老後に向けて安心できる備えをしましょう。
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