複雑な個人年金と税金の関係とは。この関係を詳しく検証してみよう

個人年金保は、税金の控除の申請が可能で節税効果が見込めるといわれております。 では実際に、どのような節税が見込めるのでしょう?個人年年金を税金控除の視点からとらえ、そのメリットを検証します。 更に、個人年金に関連する手続きもみてゆきます。

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個人年金の税金はいくらか

上限は所得税に対して4万円

個人年金は、公的年金とは別に、積み立てたお金を60歳以降に受けとる貯蓄型の年金保険です。この個人年金は、個人で任意に加入するため、生命保険の一つとして位置付けられています。 会社員の方は、毎年11月〜12月にかけて年末調整を会社に申請されていると思います。生命保険に加入している人は、保険会社からのハガキと一緒に「生命保険料控除」の申請をしたことを思い出してみてください。 生命保険の控除申請をすると、年末に還付金としてお金が戻ってきたのではないでしょうか。これは、生命保険料に対して税金が控除され還付金として戻ってきたことを指します。個人年金も控除申請ができ節税ができます。では、実際にどのくらいの節税になるのでしょうか。

個人年金保険料控除による所得税負担の軽減

会社員の所得税の計算式は、下記の式になります ☑総収入ー各種控除額=課税所得額 ☑課税所得額×税率=所得税額 この式にある課税所得額とは、課税対象にならない経費を総収入から引いた金額のことをいいます。会社員の場合、控除額は、税金を計算するために国が決めた「1年間1世帯でかかる経費の金額」といえます。 つまり、各種控除額の合計が大きければ大きいほど、税率を掛ける前の課税所得額が少なくなるため所得税額が減り、節税効果が見込めるといえるでしょう。 各種控除のなかには、総収入の金額に応じて一定の割合で引かれる基礎控除・給与所得控除と、ある一定の条件を満たせば、決められた計算方法により引かれる扶養控除・配偶者控除・医療費控除・生命保険控除・地震保険控除・その他控除(寄付などの控除)などがあります。 個人年金保険控除は、「生命保険料控除」の一つとして計算されます。ですから、個人年金保険に加入していると個人年金保険料は控除の対象となります。 つまり「生命保険料控除」というのは適用されると税負担が軽くなることを指します。このことは、社会保障に頼ることなく、自費で個人年金保険に入り将来の負担に準備している人への優遇措置といえるでしょう。

個人年金控除の上限

ところで、年間に支払った個人年金保険料がすべて、控除されるわけではありません。所得税は、国税局の法令にによって、控除額の上限は決められています。 では、実際にどのくらいの金額が控除されるのでしょう。平成24年1月1日以後締結の保険契約と平成23年12月31日以前に締結の保険契約とでは、控除額の計算方法が変わってきます。 まず、平成24年1月1日以降締結の保険契約(以下新規約と呼ぶ)の上限についてみていきます。 新規約では、年間支払保険料の金額によって、控除額が決められています。以下の通りになります。 ☑年間支払保険料2万円以下、控除額:支払保険料の全額 ☑年間支払保険料2万円超4万円以下、控除額:支払保険料×1/2+1万円 ☑年間支払保険料4万円超8万円以下、控除額:支払保険料×1/4+2万円 ☑年間支払保険料8万円超、 控除額:一律4万円 旧規約では、以下のようになります。 ☑年間支払保険料2万5,000円以下、控除額:支払保険料の全額 ☑年間支払保険料2万5,000円超50,000円以下、 控除額:支払保険料×1/2+1万2,500円 ☑年間支払保険料5万円超10万円以下、控除額:支払保険料×1/4+2万5,000円 ☑年間支払保険料10万円超、控除額:一律5万円 新規規約と旧規約の双方に加入している場合は、以下の通りです。 ☑新規約の控除額と旧規約の控除額の合計額(最高4万円) ここで、旧契約に基づく場合の控除額で、年間支払い保険料が10万円超のとき、控除額は一律5万円とありますが、限度額の上限は4万円となります。 一般生命保険控除・介護医療保険控除・個人年金保険控除の3種についてそれぞれの控除限度額は4万円となります。つまり、個人年金保険の控除額の上限は、4万円になります。 詳細はこちら 詳細はこちら 詳細はこちら

住民税は7万円まで

会社員の毎年支払う税金は、おもに所得税と住民税です。所得税と同様に、住民税でも個人年金保険は控除の対象になります。 こちらも、1年間に支払った個人年金保険料がすべて控除される訳ではありません。 個人年金保険の控除の上限は、1種のみの場合2.8万円になります。また、3種加入していた場合でも最高限度額は、7万円となります。 詳細はこちら

全ての控除は12万円まで

個人年金保険控除は、一般生命保険控除・介護保険控除とあわせて、生命保険控除として扱われます。 それぞれのいづれか1種類の加入であれば、所得税控除の上限4万円・住民税控除の上限2.8万円となりますが、2種類、または3種類の保険に同時加入していた場合、上限が設定されています。 3種の保険料は、それぞれ限度額が4万円なので、一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険の全てに加入していたとしても、全ての控除の限度額は12万円までとなります。 詳細はこちら

では、税金はいくらに

新保険制度で、年間8万円以上の個人年金保険料を支払うと、所得税で4万円、住民税で2万8千円の控除対象となります。 これを大まかに計算すると、(4万円×10%+2万8千円×10%)で税金が毎年約7千円分安くなります。 (課税対象所得330万円以下の税率10%・都民税7%+区民税3%=住民税率10%で計算) 30歳で加入して、65歳から年金受取を開始すると仮定して、35年間毎年7千円づつ還付された場合、還付金合計は約24万円となります。10年ものの長期国債や長期定期預金と比べても、メリットはあるといえます。

生命保険料控除になる保険の種類

医療保険などの介護医療保険料控除

平成24年1月1日より、所得税に対して介護医療保険の控除が認められるようになりました。 ここでいう、介護医療保険は公的保険の健康保険や介護保険ではなく、民間医療保険・民間介護保険のことを指します。 医療保険と健康保険の違いについては、みなさんもよくご存知かと思います。 健康保険が病気やケガに対して医療費の一部を負担するのに対して、医療保険は、疾病や事故のケガによる支払いに対して保険金や助成金を受け取ることができます。 民間介護保険は、公的介護保険では足りないところを補うために、自費で加入する保険です。民間介護保険は、40歳以下でも加入可能です。 さらに民間介護保険は所定の介護状態になると、一時金や介護年金を受けることができます。 公的介護保険との違いは、公的介護保険は40歳以上になると加入が義務化されており、40歳以下では加入できません。また、介護認定されなければ介護保険は適用されません。 介護医療保険控除の対象となる保険契約は、平成24年1月1日以降の民間介護保険・民間医療保険になります。 保障内容は、疾病や身体の障害等による医療費の支払い額が対象です。したがって、保険期間が5年未満の貯蓄保険は介護医療保険控除の対象になりません。 さらに海外の生命保険会社と外国で締結したものや、信用保険・傷害保険・財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄契約を含むものも対象外となります。

個人年金保険の個人年金保険料控除

個人年金保険の場合、次の4つの条件に当てはまる保険契約でないと控除の対象になりません。 ☑年金を受け取るのが、保険料を支払う人本人か、その配偶者であること ☑受取人が被保険者であること ☑保険料を払う機関が10年以上であること ☑確定年金(生死に関係なく取り決めた機関年金がおりる)場合、年金の受取開始は60歳以降で、受取期間は10年以上であること。 以上の条件を満たす個人年金保険の契約であれば、個人年金保険料税制適格特約という特約がつきます。この特約がつくことで個人年金保険控除の対象となります。

個人年金の内容

運用成果に関係なく支給される基本年金

個人年金保険は、運用方法による分類として、定額型年金と変動型年金があります。個人年金保険は保険料の運用方法によって、年金受給開始後の受給額が変わります。 またそれぞれの運用方法によるメリット・デメリットがあるのでご注意ください。メリット・デメリットを理解するには、まずは個人年金保険の特徴を理解を理解することが大切です。 そのことで、自分が加入している保険がどの運用方法なのか確認ができるようになります。 基本(定額)年金は、契約時に決めた予定利率をもとに積み立て運用を行う年金で、契約時に将来の受取年金金額を確定することができます。 そのため運用の成果にかかわらず将来の受取年金金額が支給されます。つまり、元本割れのリスクはありません。 デメリットとしては、インフレが続くと受給年金金額の価値が下がることです。 どういうことかというと、インフレとは物価が上昇することを言います。インフレ率2%が10年続くということは、今100円で買えていたリンゴが、インフレ率2%により1年後には102円に価値(物価)上昇します。 つまり、今の100円の価値が1年後には2%下がった98円の価値になることを意味します。さらに、2年後には96円の価値、3年後には94円・・・10年には82円の価値に下がることになります。 これを100万円で考えると、たとえば100万円札を10年間金庫にしまっておいたとします。 インフレ率2%が10年続いたと仮定すると、10年後金庫にしまっておいた100万円札は、82万円分の商品としか交換できなくなることを意味します。 つまり、インフレ率2%が10年続くとわずか年2%ですが、10年後には18万円も貨幣価値が下がることになります。 このように、基本(定額)年金では、契約時の貨幣価値で将来の年金受給金額を確定しているため、年金受給時が今よりインフレ状態であった場合、受給時の貨幣価値が下がるというデメリットがあります。

積立配当金で買い増しされる増額年金

定額年金に対し、運用実績によって将来の受給金額が変動するのが変動年金です。 変動年金は、支払われた保険料を株や投資信託で運用するため、将来の年金金額が大きく変動する可能性があります。 運用実績が良ければ年金金額は増えます。逆に、運用実績が悪いと年金金額が元本割れするリスクもあります。 メリットとしては、インフレに対応でき運用実績次第では年金額が増える可能性があり、デメリットとしては、受け取る年金の総額が支払った保険料の総額を下回るリスクがあることです。 この変動年金の配当金の受取には2通りあります。増加年金と増額年金の2つのタイプがあります。 増加年金は、年金受給開始後、月々の年金受給が発生しても年金として受給していないお金は保険会社で運営されていて、その期間中に運用益が発生した場合、年金受給金額が増額します。これを増加年金といいます。 増額年金は、年金払込期間中に運用益が発生した場合にその利益を年金原資にプールして運用する年金のことを言います。 つまり、年金受給前の運用利益で株や投資信託を買い増しすることで、運用レバレッジを活用し、お金を増やすことをいいます。年金原資が増えた分、年金受給金額も増えることになります。 増加年金・増額年金どちらも、運用実績が良ければ受給金額は増えます。違いは、増加年金は年金受給後の配当金となり、増額年金は年金受給前の配当として年金原資にプールされるという点になります。

個人年金の税金の手続き方法

会社員は保険料控除証明書を勤務先に提出

それでは、個人年金に加入してからの税金の手続きについてみていきましょう。最初に個人年金控除の申請から始めます。 会社員と事業主では税金の手続きに違いがありますので、まずは会社員の手続きから見ていきます。 会社員の方は、11月〜12月初めに、会社から年末調整の申請用紙が配られ、提出するように言われます。 その時に給与所得者の保険料控除申請書という用紙も貰いましょう。 また、10月〜12月初旬ころに、保険会社から「保険料控除証明書」が送られてきますので、年末調整の申請書と給与所得者の保険料控除申請書に必要事項を記入し、保険会社から郵送された「保険料控除証明書」と一緒に会社に提出します。これで、個人年金控除の手続きは終わりです。

自営業は確定申告で手続きをする

自営業の方は、2月15日〜3月15日までに、確定申告書を作成し税務署に提出します。 10月〜12月初旬頃に保険会社より「保険料控除証明書」が届くので、確定申告書に必要事項を記載すると一緒に、「保険料控除証明書」を添付して所管の税務署に届け出をします。 確定申告が必要なのは、有職者で20万円、無職者で38万より少ない雑所得であれば、確定申告は不要です。

個人年金を確定申告しないと

納税額と罰金を支払う

会社勤めの人で年間20万円、働いていない人で年間38万円以上の雑所得がある場合、確定申告が必要となります。 個人年金保険加入者で確定申告が必要なのは、個人年金受給が贈与所得もしくは相続の場合になります。 ここでは個人年金の場合についてみてゆきます。 個人年金では、年金受給者が年金契約者本人なのか、配偶者なのかによって、確定申告が必要かそうでないか決まります。 年金受給者が年金契約者本人の場合、雑所得となります。年金受給者が配偶者の場合、受給1年目は贈与所得となり、2年目以降は雑所得となります。 個人年金の場合雑所得は、下記の式で計算されます。 ☑(年間受給額)ー(必要経費)=(雑所得) ☑(必要経費)=(年間受給額)×(保険料総額)÷(受取総額) 上記の式で計算して、他の雑所得と合わせて、年間38万円を超えていれば、確定申告は必要です。 また、受給者が配偶者の場合、受給1年目に個人年金保険の受給総額を贈与されたことになります。 そのため贈与所得の総額は受給総額になります。受給総額は、年間38万円の所得を確実にオーバーしますので確定申告は必ず必要です。 2年目以降は、雑所得となるため、雑所得を計算して年間38万円を超えていれば確定申告が必要となります。 ここで、重要なのが意図的に申告をするしないにかかわらず、3月15日までに申告をしなければ、無申告加算税というペナルティーが課せられます。 これは、3月15日までに申告しなかったときに課せられる罰則金で、納税額に加えて罰金が課せられます。罰金は50万円までは15%、50万円以上は20%が課せられます。

申告が遅れる程延滞税が増える

3月15日は、申告の期限ですが、税金を納める期限でもあります。期限までに完納しない場合は、延滞税が課せられます。 3月16日から2ヶ月を過ぎるまでの延滞は、銀行の短期貸出金利に年1%を加算(特例基準割合)が課せられます。それ以降は、特定基準割合か7.3%のどちらか低い方で加算されます。

個人年金の税金は控除されるものがある

老後の資産形成として、個人年金保険に加入している方は年々増加してます。個人年金のメリットの一つに税金の控除があります。 年間金額としては、それほど大きくないものの長期的にみると大きなメリットになります。 毎年、年末調整や確定申告で、申告することで税金から控除されるので、こまめに申請が必要です。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。