年末調整は、1年分の所得税額を確定する申告ですが、この際には収入だけでなく、扶養控除や生命保険控除を差し引いて必要な税額を確定することになります。生命保険控除は対象となるものもあればならないものもありますのできちんと理解しましょう。
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年末調整の控除申請の仕組みを知る
年末調整で控除申請をすると税金が安くなる
年末調整は、1年間(1月1日から12月31日まで)もらってきた収入から、所得税額を確定するために行う手続きのこと。所得税は、会社勤めであれば毎月の給与から天引きされ、知らぬ間に納めているということがほとんどです。年末調整を行い、税額を確定することで、すでに支払った税金が戻ってくる可能性もあります。 先に天引きしている所得税は、あくまでも収入だけを見て計算されたものとなるため、年末調整で控除申請をを行うことで、所得税が安くなり、時にはすでに納めた所得税が還付される可能性もあるのです。
生命保険料も立派な控除項目
控除することが出来るものの1つが生命保険。生命保険控除は、生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料が対象となり、1年間に支払いを行った保険料によって控除できる額が変わってきます。 どの程度税金を安くすることができるのかは、それぞれで所得も保険料も違うため、個人個人まったく別の控除額となります。
その年に支払った生命保険料を控除申請できる
生命保険料の控除は、1月1日〜12月31日までの1年間で支払いを行った分が対象となり、その期間中支払った保険料をさします。支払った保険料がいくらになるのかは、契約している保険会社より、9月から12月にかけて「生命保険料控除証明書」が送られてくるので、その金額を元に控除を行いましょう。 1月1日から12月31日までに支払った保険料が対象なので、途中で契約を行った場合であっても、この1年間に支払った保険料があれば対象になります。
必ず保管をして年末調整時に提出しよう
控除申請を行う際には、証明書が必要となるので、必ず保険会社などから送られてくる控除証明書を保管しておき、年末調整の際に提出するようにしましょう。
翌年の税金や保育料に影響する
生命保険料控除は、所得税を確定する年末調整で使用しますが、その影響が出るのは所得税に対してだけではありません。翌年の住民税や、保育料にも影響を及ぼすため、節税を考えるのであれば、きちんと控除申請を行うことが大切です。
なぜ翌年の税金・保育料に影響を及ぼすのか
翌年の税金や保育料に影響が出るというのは、住民税は、前年の申告分から算出して決定しているため、1年遅れとなっています。そのため、前年の所得税額が重要。きちんと控除を行っておくことで、住民税も節約することが可能に。 上記のように、保育料にも影響します。保育料に関しても、前年分の申告から算出して保育料が決定。ただし、保育料に関してはそれぞれに自治体によって算出の仕方にも違いがあるため、一概に判断することはできません。少なくとも、基本となる保育料に影響を及ぼすと考えた方がよいでしょう。
年末調整での生命保険料控除の方法
年末調整の用紙に記入し会社を通して申請
年末調整で生命保険料控除の申告を行う場合には、会社を通して申告を行うことになります。年末調整は、それぞれの事業所で行っているため、従業員が個人で税務署などに提出を行うようなことはなく、事業所で従業員の分の年末調整を行い、まとめて申告を行うことになります。
必要な書類を提出する
控除などに必要となる書類は、それぞれの事業所に提出することになるので、12月に入ってから年末調整を行う事業所が多くなります。年末調整を行う時期に合わせて控除に必要な書類を提出しましょう。 多くの場合、事業所の方で必要な書類の提出を従業員に求めてくるので、漏れなく記入を行い、添付書類も忘れずに提出ができるよう、準備しておく必要があります。 実際の申請では、年末調整の用紙に生命保険控除欄があるので、そこに該当する控除額を記載し、申告を行うことになります。
生命保険会社から送付される控除証明書を参考に記載
生命保険控除の対象となるのは、一般の生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料。これらの保険料を支払ってある場合には、年末調整の際に控除の対象となる可能性があります。 年末調整で生命保険料の控除を行う場合には、生命保険控除欄に控除額を記載しましょう。控除額については、1年間支払った保険料や保険の契約を行った時期によって違ってきます。
保険の契約時期に注意しよう
1年間支払いを行った保険料の額に関しては、生命保険会社から送られてくる生命保険控除証明書に記載されています。それを参考に算出しましょう。 生命保険控除は、平成24年1月1日以降の新契約であるのか、平成23年12月31日以前の旧契約であるのかによって控除額に違いがあるため、意識して確認する必要があります。
扶養している人の生命保険料控除も申請可能
生命保険控除は、本人の生命保険だけが対象になるのではなく、扶養している配偶者や子供の分も対象となる可能性があります。対象となるのは、年末調整を行う本人が保険料の支払を行っている場合。 本人かその家族の分で、保険料の支払いを行っていれば対象になるので、漏れのないようにしっかり申請を行いましょう。支払った保険料の額によって控除額も違ってきます。上限はあるものの、保険料を支払っているのであれば、きちんと申告をして節税したほうが得策です。
生命保険料控除を申請する際の注意点
各項目に控除額の上限が定められている
先述した通り、生命保険料控除は、支払った保険料によって控除額が違います。保険料が多ければ、控除額も大きくはなりますが、上限が定められているためたくさん払っていればよいというものでもありません。 また、生命保険料控除の上限額は、平成24年1月1日以降に締結した保険契約なのか、平成23年12月31日以前に締結した保険契約であるのかによっても違います。 いくつかの保険に加入している人は、最も控除額が大きい保険を確認してから申請を行うようにすると、しっかり節税を行うことが可能です。年末調整の用紙には控除額の計算方法が記載されているので、記載する前に計算方法を確認し、試しに行ってみることが必要です。
各生命保険会社から送付される控除証明書を保管しておく
年末調整で生命保険控除を行う場合には、控除証明書が必要です。控除証明書は、加入している保険会社から送られてくる書類となりますが、一般的に送付されるのが9月〜10月となり、年末調整までには、期間があくことになります。 中にはその間に紛失してしまうということも。紛失した場合には保険会社に連絡し、再発行してもらいましょう。
控除証明書の再発行には、時間がかかる
再発行されるまでには、1ヶ月程度の期間が必要となる場合も。失くしたことに気づいたら、早めに申請をする必要があります。ギリギリになってしまうと年末調整に間に合わなくなる可能性もあるためです。 年末調整に間に合わせるためには、早めに添付書類などを確認し、準備しておく必要がありますが、間に合わない場合は、年末調整で申請するのではなく、自分で行う確定申告も検討するしかありません。いずれにしても、控除証明書は必要となる書類なので、届いた事を確認したら、保管する癖をつけるとよいでしょう。。
年末調整での申請が漏れた場合は確定申告で忘れずに申請する
生命保険の控除証明を紛失してしまったり、再発行などが遅れてしまい、年末調整に間に合わせることができなかった場合、年末調整で生命保険控除を行わず、その後確定申告で行うことができます。 確定申告は、3月15日までに申告が必要なので、それに合わせて確定申告書を作成し、提出しましょう。確定申告を行わないと、控除がされないまま税金を納めることになってしまいます。
確定申告は、自分で行いましょう
年末調整は、必要な書類を事業所に提出し、事業所の方で行ってもらえますが、確定申告は自分自身で行う必要があります。生命保険控除証明書だけでなく、年末調整を行った後、事業所より手渡される源泉徴収票も必要となるので、きちんと保管しておきましょう。 確定申告書の作成など、わからない点などがある場合には、それぞれの地方自治体や税務署などでも指導してもらえます。悩んでいると、刻一刻と時間は過ぎていくので、早めに相談してみましょう。
年末調整の生命保険料控除の仕組みを理解して正しく控除申請をしよう
年末調整は、自分が働いている会社の方で行ってもらえます。適切な申告を行うためには、控除となるものを漏れなく記載することが必要。 扶養控除だけでなく、生命保険・住宅など他にも控除となるものがあるので、どのようなものが控除として申請できるのかを確認しましょう。必要事項を記入し、書類を添付すれば、あとは会社にお任せするだけです。万が一間に合わない時は、自分で確定申告をしましょう。
エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。