長期平準定期保険は、世間的には税金対策に適しているといわれてます。しかし、注意すべき点もあります。その点を抑えておけば、経営において大変有利になる保険の一つです。長期平準定期保険の特徴やメリット、デメリットを理解して、上手に活用しましょう。
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目次
長期平準定期保険について学ぼう
保険期間が長い保険
長期平準定期保険は、通常の保険と異なり、保険期間が長いことで知られています。一般的に、定期保険は20年などの年数となっています。それに比べて、長期平準定期保険は、保険会社にもよりますが、それ以上になり、保険会社によっては、最大100歳までの期間、続けることが可能です。加入条件の一つに、保険期間の満了時が、70歳を超えていなければならないというものがあります。 保険期間が長いために、終身保険と同じように、死亡保障を手にすることができます。また、保険期間が長いことを利用して、役員や従業員の退職金として活用することができます。このようなことから、資金運用にも優れている点があります。長期平準定期保険は、経営者をサポートしてくれる形の保険となっています。
保険期間中は保障額が一定
長期平準定期保険は、保険継続中の保障額が変わりません。平準定期保険の名前の由来は、このような点からきています。保険の中には、保障額が変動するものがあり、保障額が上がったり下がったりするということです。 それに比べて、長期平準定期保険は、一定になっているので気に病む必要はなく、一定なので長期的な展望も予測しやすいということです。平準定期保険は二つに分かれていて、そのうちの長い期間継続して掛ける平準定期保険のことを、長期平準定期保険と呼んでいます。
税金を軽減することも可能
長期平準定期保険は、一般の方のための保険ではなく、法人向けの保険となります。長期平準定期保険の特長の一つに、税金対策ができることがあります。会社を経営するうえで、税金対策は必須となり、対策の方法を知っているか知っていないかで、経営において大きな差が出ることになります。 では、長期平準定期保険が、なぜ税金対策に向いているかというと、保険料を損金算入できるからです。ただ、損金算入のしくみが独特となっています。長期平準定期保険は、最初の60%の期間は、保険料の半分を定期保険料として、損金算入することができます。残りの半分は、前払保険料として資産計上することが可能です。 そして残りの40%の期間は、前半に資産計上した前払保険料を、取り崩しながら定期保険料として、損金算入することが可能です。さらに、残りの40%の支払い保険金は、60%のときは半分が損金算入となっていましたが、全額が損金算入とすることができます。後半にいくに従い、お得ということになります。 税金ということでは、会社を引き継ぐ後継者の方は、事業を引き継ぐ際にかかる相続税や、贈与税が発生します。これらが発生した際に解約をすれば、戻ってくる解約返戻金が益金とならず、納税の負担を軽減させることができます。しっかりとタイミングを見計らって、税金対策をしていきましょう。
解約返戻金が緩やかに増える
解約返戻金の返戻率は、変動します。徐々に上がって行き、ピークを迎えてから徐々に下がっていきます。長期平準定期保険は、このピークの期間に達するまでが長く、そのペースは緩やかです。ピークのタイミングが遅い分、その期間に何かあったときに、対処することができます。つまり、長い期間、備えることができるということです。 長期平準定期保険は、退職金にも活用できるため、40歳前後で加入した場合、ピークが早いよりも20年から30年後にピークがきた方がお得ということです。また、経営難に陥った場合でも、長期平準定期保険を解約して、解約返戻金を受け取り、その分を赤字に充てることが可能となります。 それだけではなく、設備投資金が必要になったときでも、解約して解約返戻金を充てることが可能です。さらに、長期平準定期保険は「契約者貸付」が適応できます。解約しなくても、解約返戻金の約90%の金額を借りることができるのです。 解約返戻金を基にしているため、ピークがくる時期が遅いほど、緩やかに増えていっているので、下がっているときに借りる場合より、お得ということになります。
長期平準定期保険で注意したいこと
解約するときの損金の発生
長期平準定期保険を解約するときは、時期を見計らうことが必要です。解約するときに、解約返戻金が発生します。この解約返戻金は、時期を見誤ると益金として見られ、せっかくの節税対策として活用していたのが、結局支払うこととなります。これを避けるためには、ほかで発生した大きな損金のときに、解約することが大事です。 この時期の一つが、退職金を支払うときです。社員の退職金を支払うときは、大きな損金が出ます。そのときに解約をすれば、解約返戻金が退職金となり、益金が損金となるため、税金対策となります。退職金に充てることができるという点では、会社の経営上で有利になることになるでしょう。
継続しているかぎり保険料が発生する
長期平準定期保険は、保険料が一定で変動がありません。その代わり、99歳または100歳までと、かなりの長期間掛け続けることになります。いい換えれば、継続している限り、保険料を支払い続けるということです。 もちろん、それも意図的にならばよいのですが、解約返戻金のピークが後半の遅めといえど、そこを過ぎると急激に下がっていき、最終的にはゼロになります。よって、解約返戻金のピークを見極めて解約することが、なおさら重要となります。 また、継続するということは、キャッシュフローにも関わってきます。長期平準定期保険は、保険料が高くなるので、継続するにあたり、現在の会社の状況やこれからの見通しを、しっかり行って活用していくようにしていきましょう。
前倒しで保険料を支払うと税務処理が必要
長期平準定期保険は、最初の60%の期間は、保険料の半分の金額を損金として計上します。最初の60%の期間を過ぎて、残りの40%の期間に入れば、全額損金として計上することができます。この60%の期間を過ぎない状態で、前倒しで保険料を支払うと、税務処理が発生することになります。 前倒しで払うためには、条件があります。まず、前倒しにおいて、前倒し金が大きすぎると認められない場合があります。しかし、上限金額に基準はありません。また、無理矢理節税に充てるような場合も、認められないことがあります。 次に、正式な契約に基づいているかどうかも重要です。いきなりこちらの勝手な都合で、2、3ヶ月だけ前払いするということにはできません。決算月に支払わなければならないので、この点でもこちらの都合で、勝手に前払いすることはできません。 そして、毎期ごとに継続しなければならないという条件もあります。前年度は景気が良くて黒字になったけど、今年度は売上が落ち込んでいるから、前払いはできないということはできません。前払いするにおいて、いくつかの条件がありますが、それらをクリアしても、どのみち税務上の処理が発生します。
長期平準定期保険がおすすめな方の特徴
働いていて残りのキャリアが20年以上ある方
長期平準定期保険の特長の一つに、解約返戻金が緩やかに増えていくということがあります。これは、継続すればするほど、増えていくというメリットがあるということです。このため、現在働いている状況から数えて、残りのキャリアが20年以上ある方におすすめです。 また、長期平準定期保険の条件の一つに、「保険期間の満了時が70歳を超えていなければならない」というものがあります。これらを考慮すると、満了時の年齢が、70歳を満たしていないといけないですし、超え過ぎると、支払いに支障をきたす人も出てくるでしょう。このことから、40歳から50歳代でスタートすることをおすすめします。
給料が安定していて保険料を払い続けられる方
長期平準定期保険は、一般的な保険と比べると、保険料が高めになります。高めになるので、保険料を支払う上で、安定した給料が望める方に向いています。 長期平準定期保険の解約返戻金は 続ければ続けるほど、緩やかではありますが増えていきます。緩やかに上がって行き、返戻金のピークを迎えるタイミングが、終盤になっています。ピークを迎えてからは、急激に減少します。しかし、ピーク時に解約をすればよいので、時期を見計らえば問題はありません。 続ければ続けるほど、解約返戻金が増えていくのですが、保険料が高めなので、不安定な収入の場合、途中解約の可能性も高くなると考えられます。その場合も、解約返戻金は戻ってきますが、ピーク時よりは下回ることになります。そのために、解約の可能性の少ないという意味では、安定した給料が見込めて、払い続けることが可能な方に向いています。
もしものときの余裕資金が必要な方
長期平準定期保険は、貸付ができる制度があります。その場合の借入限度額は、その時点での解約返戻金の、約90%となっています。利率は年3%となります。しかし、うれしいことに面倒な審査がなく、担保も要りません。申請してから、約1週間という短い期間で、受け取ることが可能です。 事業を進めていくに従って、いろいろとアイデアなどが、浮かんでくることもあるかと思われます。そういったときに、直ぐにアイデアを実現したくなるでしょう。しかし、先立つものがないという現実に直面したときに、長期平準定期保険を掛けていれば、時間をかけずとも、実現する可能性も高くなるということです 長期平準定期保険は、ただ増やしていくだけではありません。貸付制度を利用して、会社にとって利益になるプランを実現するために活用し、会社を円滑に回していきましょう。
長期平準定期保険を利用して資産を増やそう
長期平準定期保険の魅力の一つに税金対策がありますが、会社にとって、とてもメリットが大きいものです。また、急な運用資金が必要なときにも、長期平準定期保険を利用して活用することも可能です。会社を法人化したあと、長期的に経営が見込めそうな状態になったら、入っておきたい保険の一つです。 死亡保険という側面を持ち合わせていますので 経営者や役員などが万が一のときの会社利益の損失や、売上の減少による経営難に対しての対抗策として、用いることも可能です。 もちろん、よいこともあるのですが、気をつけるべきこともあります。保険料が高いため、その分キャッシュフローに影響を及ぼします。保険の内容的に、長期に渡ることになりますので、会社の状態を見極める必要があります。 解約のタイミングも、計画的に行わないといけません。せっかくの税金対策が、多く支払うことになりかねないのです。注意すべき点をしっかりと把握して 資産運用を円滑にしていきましょう。
エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。