はじめての年金受け取り。受給者は確定申告をしなくてはいけないの

年金は国からもらっているのだから、税金を払わなくてもいいと思っている人も多くいます。年金と確定申告との関係、確定申告不要制度とは?年金を初めて受け取る人にとって、分からないことはたくさんあります。年金に関わる確定申告について学びましょう。

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年金受給者は確定申告をする必要があるのか

公的年金のみの受給者は確定申告不要制度があるため必要なし

年金は所得とみなされ、所得税の対象とされます。そのため以前ではすべての年金受給者が確定申告をしなければなりませんでした。しかし近年、「確定申告不要制度」ができ、公的年金のみの受給者は確定申告をしなくてもいいことになりました。 公的年金額に条件がありますが、条件にあてはまらない人はほとんどいないため、基本的には大多数の年金受給者が確定申告の必要がないことになります。これによって高齢者が税務署に出向く手間も省け、面倒な手続きをしなくて済むようになりました。 「たかが税務署に申告しに行くぐらい」と若い人は考えるでしょうが、80歳、90歳の高齢になっても、自分の足で税務署まで出向き、書類に正しく記載するだけでも大変なことです。健康ならまだしも、病気で入院していたり、療養中であった場合、どうやってそのような仕事ができるでしょうか。核家族化が進み、子どもと離れて暮らしていたり、単身で暮らすお年寄りにとって困難なことです。このようなことが考慮され「確定申告不要制度」ができあがりました。

年金の年額が400万円以上の人は申告の必要あり

確定申告をしなければいけない条件の一つが、公的年金額が400万円以上の人で、もう一つが公的年金以外の所得が20万円より多い人です。これらの人は確定申告をしなくてはなりません。 一つ目の条件である、公的年金額が400万円以上の人とはどんな人なのか、なぜ年金額にこんなに差がでるのか不思議に思う人も多いのではないでしょうか。サラリーマンの夫と専業主婦の場合は300万円弱ぐらいですが、共稼ぎ夫婦の場合は400万〜500万円、600万円というケースもあり得ます。小学校の校長の年金額は月27万円ぐらいだそうですが、こういった特殊な職業によっても年金額は年額400万円を上回ることがあるのです。しかし実際には非常に少数の人が対象になり、ほとんどの人は400万円以上ではありません。 年金制度について簡単に説明すると、まず基礎年金はすべての人に均一に年金税が課せられているため、これだけであれば、年金受給額も同額になります。しかし厚生年金に加入していると、その人の収入によって年金税は変わり、その結果年金受給額も多くなります。厚生年金のなかには基礎年金も含まれています。さらに会社などの年金に加入すればその分さらに増額されます。このような年金の仕組みによって、年金受給額に差が生まれる結果となっているのです。 一方、確定申告をしなければならないもう一つの条件である、公的年金以外の所得が20万円より多い人については、会社を退職後、高齢でも可能な軽作業をしている元気な人や家賃収入のある人、事業収入のある人、また個人年金や生命保険による収入がある人もいます。当然2カ所以上から受け取っている場合は合算した金額になります。これらは一般的な人に多くあてはまることなため、一つめの条件、「年額400万円以上」よりは、「20万円以上の所得額」のほうに注意を払ったほうがいいかもしれません。 ですから年金受給額が400万円以上の人、あるいはまだまだ元気で働いて収入の多い人は、そこから税金を払うことになります。税金のまったくない国もあるなか、日本は高齢になっても税金を払い続けなければならないとは厳しい気もします。若者が減少し、高齢者が多いという難しい状況では仕方がないのかもしれません。

公的年金は所得となり所得税がかかる

前述したように公的年金は所得とみなされ、所得税の対象となります。確定申告不要制度にあてはまらない人は、自分で確定申告をしなければなりません。二度手間で面倒な気がして、「国からもらっているのに所得になるのはどういうことなのか」などの疑問も浮かびます。 しかし、今のところそのように義務付けられているので仕方ありません。ちなみに給料による所得は給与所得とよばれ、年金による所得は雑所得とよばれます。 そもそも年金制度ができたのは昭和36年でした。それから幾度となく改正され現在にいたりました。そしてこれからどう変わるか分かりませんが、老後に安心して暮らすためにも年金制度はあり続けてもらいたいところです。国によっては年金制度自体がない国も存在するなか、日本では幸いにも、力なき高齢者を年金制度は強くサポートします。高齢化社会のため年金制度の存続自体が危うい状態になることが心配されますが、現在はこのようなシステムでなんとか切り抜けているようです。

年金以外に所得があり20万円以上の場合は申告の必要あり

公的年金が400万円以下でも、それ以外の所得が20万円より多いと確定申告をしなくてはなりません。個人年金保険による所得や給与所得、家賃収入など高齢になってもいろいろな形の収入があります。それらの合計が20万円以上になることは少なくありません。 確定申告は公的年金について、より所得額に注意を払うべきでしょう。税務署に行くと、高齢の人たちが手続きに来ているのをよくみかけますが、このようなケースの確定申告をするために訪れている人が多いのです。

65歳未満で年金支給額が108万円以上は所得税の課税対象

年金は65歳から受給することができますが、本人の希望で65歳より前に年金を受給し始めたり、65歳より遅らせて年金を受給し始めることができます。 現在では医療制度の進歩により、高齢化社会となり、高齢になっても元気に働く人が増えてきています。そのような元気な高齢者の人たちの要望が増えてきたため、年金の受給開始を先延ばしにすることが可能になったのです。また65歳に達していなくても、何らかの原因で年金を受給したい人もいます。 年金の受給額は受給開始の年齢に応じて変わります。年齢が高くなるにつれて、年額が高くなります。このようなシステムにより、支払った年金税に対する年金をすべて支払われるようになっているのです。 この制度により、65歳未満でも、体調不良や退職などの理由によって、年金を受け取りたいと思った人は、年金受給の申請をすることができます。申告すると、日本年金機構から「扶養親族等申告書」が送られてきます。 日本年金機構とは日本政府の厚生労働省に委託されて、年金に係るすべての業務をおこなっている機関です。 65歳未満の人は年金支給額が108万円以上の場合、所得税の課税対象になり、この申告書の提出によって年金にかかる税額が決定されるため、扶養親族がたとえいなくても、必ず提出しなければ年金を受給することができません。それぞれの条件に合わせて割り当てられた税金は、受給される前に給料のように天引きされるのです。

65歳以上で年金支給額が158万円以上は所得税の課税対象

65歳以上の人で、年金支給額が158万円以上の場合もまた課税の対象となります。日本年金機構から「扶養親族申告書」が送付されたら、扶養家族の有無に関わらず、必ず提出してください。この申告書の提出によって差し引かれる税金の金額が決定され、年金が支給される仕組みになっているからです。 前述したように、年金受給額が400万円以上の人は確定申告しなければいけませんが、それ以外の人は申告しなくてもかまいません。しかし扶養控除や配偶者控除を受けたい人は、年金額が400万円以上でなくても確定申告をすることで控除が受けられるのです。

医療控除を受けたい人などは申告する

高齢になってくると、どうしても身体のあちこちに不調がでてきて、病院に通うことも多くなります。そういった場合、一年に払った医療費の額はそれなりの金額になってしまうため、医療控除はぜひ受けるべきです。こ医療控除を受けたい人は確定申告によって受けることができるため、年金額が400万円以上でない一般的な人でも確定申告をしたほうがいいのです。 受給される前に年金から天引きされた税金から、控除額が還付されるのです。同様に扶養控除・配偶者控除・社会保険料控除・雑損控除・寡婦控除(寡夫控除)も確定申告することで、税金の還付申告をし、還付金を受けることができます。ふるさと納税も確定申告によって還付される可能性があります。詳しくは税務署にお問い合わせください。

公的年金に係る雑所得以外の所得がある人は申告の必要あり

高齢でも可能な仕事は多くあります。日本人の平均寿命も80歳を上回るのですから、65歳で会社を退職後、高齢でも労働可能な仕事を探し働いている人も多くいます。働くことは生きがいでもあり、身心の健康のためにもいいことです。こういった人たちはたとえ少額であれ、年金以外にも、れっきとした収入があるわけですから、確定申告しなければならない場合があります。 というのは所得の金額に条件があるからで、20万円以上の場合のみ、確定申告の義務が発生します。また労働以外による収入である生命保険の払い戻し金や、個人年金保険金も所得とみなされます。

年金の申告が不要でも住民税で申告が必要な場合がある

「確定申告不要制度」により、高齢の人が毎年確定申告をしなくてはいけない負担がなくなりました。この制度によって確定申告をしなかった人にも、税務署から住民税の申告用紙が送られてきます。住民税の申告用紙を提出しなければいけない人とは、生命保険料控除・損害保険料控除・医療費控除を受けたい人、また公的年金以外に所得がある人です。 すでに確定申告を提出した人は、税務署から市役所・区役所にデータが送られるため、提出する必要はありません。

年金の確定申告が不要となる受給者の条件とは

公的年金の年額が400万円以下である

確定申告する必要がない人は、公的年金の年額が400万円以下の人です。年金受給者の多くは400万円以下の場合が多いのです。つまり「確定申告不要制度」によって申告をするために、毎年税務署に出向く負担がなくなりました。 書類を受け取り必要事項を書き込んで、税務署に提出しにいかなくてはいけないのは面倒なことなため、高齢の人にとっては嬉しいことです。年金が支給される前に課税された税金は、すでに差し引かれているので心配する必要はありません。

年金以外の所得金額が20万円以下である

年をとっても軽作業をしている高齢者の人は多くいます。働き続けることは身心の健康にとってもいいことです。働くことでやりがいや生きがいも感じられます。職場の同僚とも毎日顔を合わせることで寂しさも感じません。そんな高齢者の所得金額によって確定申告の義務が決定されます。 確定申告する必要のないもう一つの条件は、年金以外の所得金額が20万円以下であることです。これは年金受給者だけに限りませんが、所得が非常に少ない場合は税金が免除されることになっているのです。 つまり高齢の人がお小遣い程度に軽く働く程度なら、確定申告に行く必要はありません。 ただし給与所得はどんなに少なくても源泉徴収されていますから、少額でも還付金を受け取りたい人は確定申告によって受け取ることができます。

年金にかかった所得税の有無の確認方法

日本年金機構から毎年届く源泉徴収票で確認する

年金に課せられた所得税の税額は、いったいどのくらいなのでしょうか。それを知るためには、毎年1月中に日本年金機構から送られてくる、源泉徴収票をみて確認することができます。源泉徴収票には支払われた年金と所得税額が記載されています。 そのほかにも、税金の控除の対象になるような配偶者や、子どもなどの親族についての記載欄ももうけられており、年金と税金に関することが詳細にすべて記載されています。 年金での保障のなかには、「障害年金」や、未成年の子どもを残して亡くなったときの「遺族年金」も含まれています。障害年金は障害の度合いによって1級、2級に分けられ、700万円〜900万円支払われます。遺族年金は残された子どもの遺族に支払わられます。 ただし細かい部分で基礎年金加入の場合と厚生年金加入の場合では、保障が異なります。障害年金は厚生年金では配偶者の有無などにより金額が増額されるうえに、障害3級が別に設けられており、その場合でも受給することができます。遺族年金についても基礎年金は、残された子どもが18歳を超えると、遺族年金の支払いは打ち切りになります。しかし、厚生年金の場合は18歳を超えていても年齢などの条件を満たしていれば、「中高年寡婦加算」などにより、遺族年金を受け取ることができます。 このように厚生年金は基礎年金に比べて手厚い保障になっています。若いころは給料のなかから大幅にマイナスされる年金税に疎ましささえ感じたものですが、高齢になって初めてその価値を実感できるのだと思います。

源泉徴収税額の欄に金額が記載されている場合は所得税が引かれている

日本年金機構から送られてきた源泉徴収票の源泉徴収額の欄に、金額が記載されているということは年金から所得税が引かれているということです。各種控除や還付金を受け取るために確定申告をした場合、この源泉徴収額から差し引かれて還付されます。 年金なのに所得税とみなされ、税金も払わなくてはならないとは、なんとも回りくどいシステムです。高齢化社会が進んでいくと、少ない若者が多くの高齢者を支えなくてはならなくなり、国としても限られた税収から年金をすべての対象者に支給していくのは大変なことなのでしょう。このシステムはそのような難しい状況のなかの、苦肉の策のように感じられてなりません。

公的年金のみで一定額未満の場合は申告の必要なし

非常に高齢となり働くことも難しくなると、公的年金のみでシンプルでゆったりとスローライフを楽しむ人も多くいます。そういった人は煩わしい確定申告の手続きをする必要は一切ありません。「確定申告不要制度」は高齢の人たちの負担を軽減してくれました。 また認知症などの予防のためにも、外に出て軽い仕事をしている高齢の人もいます。そのような人で所得金額が20万円以下であれば確定申告はしなくてもいいのです。 「知識あれば憂いなし」です。年金と確定申告について理解したら、安心して老後の生活を楽しみましょう。