「年金受給者が死亡した場合」手続きの流れを知っておこう

自分の親、または一家の大黒柱が亡くなってしまったら、とてもつらいですが、同時にやらなければいけないことがたくさんあります。年金もそのひとつ。いろいろな申請が必要ですが、いざとなったときにあわてないように、手続き方法を知っておきましょう。

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年金の受給者が亡くなったとき

権利喪失のため手続きが必要

大切な人が亡くなってしまったら、つらく悲しい気持ちになりますが、そんな状況でもやらなければならないことはたくさんあります。年金もそのひとつで、権利喪失のため「年金受給権者死亡届」の提出が必要です。 日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は原則不要ですが、会社員などが通常加入している厚生年金の場合は、10日以内に住んでいる地域の年金事務所へ「年金受給権者死亡届」を提出します。自営の方など国民年金に加入していた場合は、亡くなってから14日以内の申請が必要になります。公務員は共済年金に加入していると思いますが、平成27年10月より、申請先が厚生年金と統一になりました。 亡くなってしまったら、7日以内に市役所で死亡届を提出しなければいけませんので、その際に役員の方から年金受給停止手続きの説明も、同時にされることが多いです。葬儀社に死亡届を依頼したときは、忘れないよう早めに自分で停止手続きを行います。届け出が遅れて、翌月以降に受給してしまった分は、後日返金しなければならないので、忘れないようにすみやかに提出するよう心がけましょう。

手続きに必要な書類

「年金受給権者死亡届」は、年金事務所窓口または、年金機構のホームページでダウンロードが可能です。この届には、死亡年月日、年金番号コード、生年月日などの必要事項を記入します。 提出の際には届けのほかに、死亡した方の年金証書、死亡診断書のコピー、亡くなった方との続柄がわかる戸籍、亡くなった方の住民票の除票と、世帯全部の住民票が必要です。不備があったり書類がそろわないと、また手続きに行くことになりますので、しっかり確認して提出します。 死亡届を提出する際に今後必要な書類は質問しておき、必要枚数分、市役所でそろえておくと手続きがスムーズです。死亡診断書はコピーで大丈夫ですが、住民票や戸籍は原本が多いので、年金以外のさまざまな手続きに必要な書類の分も、早い段階でまとめてそろえておくと便利でしょう。

未支給年金分について

受け取っていない年金がある場合、亡くなった月の分まで、亡くなった人と生活を共にしていた配偶者や子どもなど遺族が、未支給分を受け取ることができます。「未支給請求書」を年金事務所または、年金機構のホームページでダウンロードし、亡くなった人の年金番号やコード、生年月日、死亡年月日など必要事項を記入します。 亡くなった人の年金証書、死亡診断書のコピー、続柄がわかるよう戸籍、世帯全員の住民票、亡くなった方の住民票の除票、受け取る際の通帳が必要です。住民票に住所が同一でない場合は、生計を共にしていたということを証明する必要があります。民生委員などへ依頼した証明書を、住んでいる地域の年金事務所に提出しましょう。受け取れるのは順に、配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹です。 未支給年金や、保険給付は申請書を提出してから、支払いまでは審査の期間などもあり、3ヶ月ほどかかりことが多いです。不備があるともっと時間がかかるので、注意・確認して提出しましょう。

死亡一時金の受け取り

年金を受けとる前に死亡

国民年金加入者が、年金を受け取る前の段階で亡くなってしまった場合、その亡くなってしまった方が、国民年金第1号被保険者として、保険料を納めた期間が36ヶ月以上あれば、「死亡一時金」を受け取ることができます。受け取ることができるのは、生計を同じにしていた配偶者や子などになります。 この36ヶ月の中には、保険料全額免除をのぞき、一部免除を受けた期間があっても含まれます。国民年金の場合、遺族年金は18歳未満の子がいない配偶者は対象外になってしまうので、そのかわりとして、この死亡一時金という制度があるのです。他に寡婦(かふ)年金というものがあり、一時金か寡婦年金のどちらかを選択できます。 死亡一時金は、亡くなった方が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けずに亡くなった場合のみ受給できます。また、遺族年金や寡婦年金を受けられる人がいるときは、受給できません。状況がわからない場合は、年金事務所や市区役所で確認してもらいましょう。

請求書で申請

死亡一時金を受け取る資格があり、申請したい場合は「国民年金死亡一時金請求書」に必要事項を記載し、提出します。市区町村役場の年金課または、年金事務所や年金機構のホームページからダウンロードできます。記入漏れや間違いがないよう、確認しながら記入してください。ここで、死亡一時金と寡婦年金のどちらがいいか、審査してくれる場合が多いので相談してみましょう。 死亡一時金は、死亡した方の配偶者、子などの遺族が受け取ることができます。死亡一時金は、亡くなった方が年金保険料をどのくらいの期間納付していたかによって、受け取り金額が異なります。 金額は3〜15年の納付期間で12万円、15~20年で14万5,000円、20〜25年で17万円、25〜30年で22万円、30年〜35年で27万円、35年以上だと32万円になります。寡婦年金は、亡くなった方が受け取る予定だった老齢基礎年金の4分の3となります。

申請に必要な書類

申請書に必要事項を記入したら、一緒に提出する書類の準備をします。亡くなった方と受け取る方が、生計を共にしていたという確認が必要になります。 亡くなった方と一時金を受け取る側の続柄が記載され、亡くなったことがわかる戸籍、生計を同じにしていたとわかる世帯全部の住民票、亡くなった方の住民票の除票、亡くなった方の年金番号がわかる年金手帳、受取口座がわかる通帳、印が必要です。同一世帯でない場合、ほかにも書類が必要なので電話で確認しましょう。 また気をつけたいのは、申請期間が定められているという点です。亡くなった日の翌日から、2年以内に申請しないと時効がきれてしまい、請求できなくなります。申請書を記入し、書類を準備したら、市区町村の役場や年金事務所へすみやかに提出しましょう。

遺族厚生年金の受け取り

厚生年金の加入中に死亡

一家の大黒柱である世帯主などが亡くなってしまったら、しばらくはつらく悲しくて、そのときはお金のことはまだ考えられないかもしれません。会社員など、厚生年金加入中に、もし亡くなってしまったら、残された家族が受け取れる遺族厚生年金という制度があるのを、頭の片隅に覚えておきましょう。18歳未満の子、または18歳未満の子がいなくても、配偶者の受け取りが可能です。 支給できる条件として、老齢基礎年金の受給資格が25年以上あり、亡くなった方の保険料の納付期間が、年金加入期間の3分の2以上であること。その間保険料の一時免除期間があっても含まれます。 ただし、平成38年4月1日までは、亡くなった時点で65歳未満で、さかのぼって1年間の間に滞納がなければ、受給できることもあります。もしそのような状況になり、詳しい納付状況を知りたいときは、年金事務所で調べてもらいましょう。

遺族基礎年金も支給される

厚生年金ではなく自営の方などで、国民年金に加入している方が亡くなった場合は、条件により遺族基礎年金を受け取ることができます。内容は遺族厚生年金とほぼ同じで、老齢基礎年金受給資格が25年以上あり、納付した期間が、加入期間の3分の2以上であることが条件です。 厚生年金加入者と違う点は、子どもがいなかったり、子が18歳以上だと配偶者は受け取れません。受け取ることができるのは、18歳未満の子、または18歳未満の子を持つ配偶者になります。(障害等級1級と2級の子は20歳まで可能。)配偶者にしてみれば条件が厳しいように感じますが、そのかわり、死亡一時金や寡婦年金などの制度があります。 どの制度も、子どもや家族を守っていくためにはとてもありがたい制度です。もしものときは、年金事務所や市区役所などへ相談すると、親切に対応していただけます。

手続きに必要な書類

遺族年金を受給する場合は、「年金請求書(国民年金、厚生年金保険遺族給付)」の申請書を年金事務所の窓口、または年金機構からダウンロードし、必要事項を記載します。 手続きには、ほかにもいくつか書類を準備して提出します。お金を受け取る予定者(配偶者など)の収入が確認できる、源泉徴収票または課税証明書、または所得証明などが必要です。収入がない場合は、非課税証明書を、市区役所や役場で発行してもらいましょう。子どもの場合、義務教育以上の高等学校などに通学していれば、在学証明証や学生証が必要になりますが、高校生以下の場合は不要です。 そのほかには、亡くなった方の年金手帳、受け取る方との続柄と死亡したことがわかる戸籍、同一生計の確認がとれる住民票、亡くなった方の住民票の除票、死亡診断書のコピー、入金予定先の口座がわかる通帳、印が必要です。たくさんありますので、1点1点確認してそろえ提出するようにしましょう。

申請の期限

遺族年金の申請は、国民年金法で時効が定められています。期間は5年以内と決められており、5年を超えてしまうと、申請する権利がなくなります。老齢年金や、そのほかの年金手続きについても、ほとんど5年が多いですが、死亡一時金に関しては2年ですので、申請の際はそのつど確認しましょう。 もしやむを得ない事情で、期限内に請求できなかった場合は、理由を書面で申し立てることもできますので、年金事務所へ相談しましょう。請求自体は申し立てをすれば、5年経過してもできることがありますが、必要書類をそろえるのが大変です。とくに死亡診断書などは、年数がたってしまうと手に入れるのが難しくなります。申請はすぐに行ったほうが、書類の準備も手続きもスムーズにおこなえます。 自分で申請することが難しい状況のときは、委任状があれば代理人による申請が可能です。委任状は、年金機構のホームページからダウンロードできます。社会保険労務士などへの依頼はお金がかかりますが、プロなので安心して任せることができておすすめです。

色々な手続きがあるため落ち着いて準備をしよう

年金だけではなく、亡くなってしまったあとは、さまざまな手続きをしなければなりません。悲しい中、毎日手続きに追われてしまうと、精神的につらく疲れてしまいます。 なにもない段階で、悲しい想像をし準備することは難しいですが、冷静で落ち着いている今、流れを知ってできるだけの準備をすることで、心にゆとりがうまれます。早い段階で、しなければいけないことや、必要書類についてまとめておくと、いざというときにあわてずに、静かに亡くなった方をお見送りできるのです。 たくさんの書類提出や手続きがあり、年金の種類、加入期間や支払い状況によって異なる場合もあります。わからないことは、いつでも市区役所や年金事務所へ連絡してみましょう。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。