要介護2で受けられる在宅の介護サービス。ホームヘルパー、介護福祉士による訪問介護、家事サービスなどがあります。費用は高くても、24時間体制の介護付き有料老人ホームもあり、ケアマネージャーと相談しながら介護しやすいケアプランを検討しましょう。
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要介護2の状態
立ち上がりや歩行などが自力では困難
要介護2は、日常生活の動作に介護が必要で、立ち上がりや歩行が自力ではむずかしい状態です。車イスはまだ必要でない場合と、車イスを常備している場合など段階によってさまざまですが、専用の杖や、お散歩の付き添いなどは必要になります。立ち上がること、両足、片足で一人で立つことがむずかしくなるので、転ばないように歩行や車の乗り降りなどを介助します。階段の昇り降りはしにくくなるので、支えてできなくなってきたら、バリアフリー、階段昇降機などを検討して対策します。
排泄や入浴などに介助が必要である
排尿と排便の後始末、立ち上がりなどがむずかしいときは、毎回サポートします。男性の場合、立つとフラフラして排尿をトイレでうまくできない場合は、ポータブルトイレを使う方法もあります。要介護2では、状態によってトイレは使える人、うまく使えない人とさまざまです。状態に応じて適切な介護をしましょう。ポータブルトイレで洗うのが大変な場合は、お値段はかかりますがベッドサイドに設置する水洗トイレなどもあります。 お風呂に入るときは、介助が必要です。本人が「大丈夫」といっていても、不安定で転んだりすると危険なので、きちんと安定して座れる位置に移動するのを手伝ったり、一人で立とうとして転ばないように見ていてサポートしましょう。介護度が進んでくると、本人はのぼせてもわからなかったり、フラフラしても立ち上がったりしてしまうので、ケアマネージャーに入浴のしかたを相談しましょう。
記憶があいまいであるなどの支障がある
要介護2では、記憶が曖昧であったり、物忘れなどで生活に支障がある場合、他人とのスムーズな会話などができない場合があります。加齢による物忘れのほか、脳梗塞、認知症初期などに起こる物忘れもあります。リハビリの仕方や、予防するなどのケアが原因によって違います。記憶、物忘れで生活に支障のあるときは、主治医によく相談して、適切なリハビリをしましょう。
身の回りの生活全般に介助が必要である
身の回りの生活全般に介助が必要なときは、一人暮らしのときは掃除、着替え、薬の管理、症状によっては金銭管理をケアマネージャーに相談して決めます。掃除は、介護ヘルパーさんにお願いすることになりますが、薬の管理と金銭管理については、国から認定された介護支援専門員であるケアマネージャーに相談しましょう。一人暮らしや、高齢者夫婦で生活が困難なときは、よい老人ホームを検討してみる方法もあります。
要介護2で受けられるサービス
週3回の訪問介護
訪問介護は、別名ホームヘルプと呼ばれます。ホームヘルパーまたは介護福祉士が自宅を訪問して、介護、家事、生活支援などを行います。訪問介護は、身体介護、生活援助、通院など乗降の介助などのサービスがあります。 身体介護としては、食事、入浴、排泄、体位の置き換え、着替え、洗面、車いすへの乗降などです。医療行為、リハビリのためのマッサージなどはできません。たんの吸引は、条件によって行うことができます。 生活援助としては、調理、食事、掃除、洗濯、ゴミ出し、布団干し、ベッドメイク、買い物、薬の受け取りなどです。利用者以外の家族の食事、利用者以外の部屋の掃除、家具の移動、大掃除、ペットの世話、植木の世話、庭掃除などはできません。 通院などの乗降介助としては、訪問介護員の車または介護タクシーなどへの乗降の介助、病院での受診手続きなどです。買い物目的の移動、普通の車、タクシーへの乗降の介助はできません。 訪問介護の費用は、身体介護の場合、20分未満が自己負担額165円、20分以上〜30分未満が245円、30分以上〜1時間未満が388円、1時間以上1時間30分未満が564円です。生活援助の場合は、20分以上〜45分未満が183円、45分以上が225円です。通院乗降介助は、1回につき97円です。 訪問入浴介護の費用は、看護職員1名+介護職員2名で1,234円、医師が認めた場合、介護職員3名で1,172円、清拭、部分浴で864円です。(厚生労働省告示より)
週1回の訪問看護
訪問看護は、医師の作成する「訪問看護指示書」によって、看護師または保健師が自宅を訪問して、療養の観察、診療の補助、栄養管理指導、リハビリなど専門の看護を行います。体を動かすことができない寝たきりの人、障害のある人など、通院が困難な状態の人が利用できます。訪問看護ステーションまたは、病院、診療所に併設された訪問看護があり、それぞれ費用が違います。 訪問看護の費用は、訪問看護ステーションの場合、20分未満で310円、30分未満で463円、30分以上1時間未満で、814円、1時間以上1時間30分未満で1,117円です。医療機関を利用した場合、20分未満で262円、30分未満で392円、30分以上1時間未満で、567円、1時間以上1時間30分未満で835円です。訪問リハビリテーションは、1回約20分で、302円です。
月に2回の施設への短期入所
施設への短期入所は、別名ショートステイと呼ばれます。福祉施設、医療施設に短期間入所して、日常生活の支援、機能訓練、リハビリなどを受けます。短期入所生活介護、短期入所療養介護の二通りあり、部屋は個室、多床室、ユニット型個室などで、それぞれ利用料金が違います。 短期入所生活介護は、家族が病気などで介護できないときに特別養護老人ホームなどに短期間入所して、日常生活の介護、機能訓練が受けられます。短期入所療養介護は、老人保健施設、病院、療養所などの医療機関に短期間入所して、医療のケアと日常生活の介護、機能訓練が受けられます。 短期入所生活介護1日の費用は、要介護2で自己負担額743円。短期入所療養介護1日の費用は、要介護2で750円。その他、選択制サービスとして、送迎加算は片道184円、個別機能訓練加算は、1日56円、療養食加算は1日23円、緊急短期入所受入加算は、1日90円です。
週3回のデイサービス
デイサービスは、通所介護とも呼ばれ、利用者が介護施設に通って、入浴、食事等の日常生活支援や機能訓練を受けたり、日常生活の相談・アドバイス、看護師や保健師による健康状態の確認などの支援が日帰りで受けられるサービスです。習い事、カラオケなどが付いているデイサービスもあります。リフト付きの車での送迎もあるので、車いすの方も安心して通えます。 デイサービスの利用料金は、要介護2で5時間以上7時間未満の場合、自己負担額は572円。7時間以上9時間未満の場合は、775円。選択制サービスとして、個別機能訓練加算が1日56円、入浴介助加算が1日50円、口腔機能向上加算が、1回150円です。
福祉用具のレンタル
車イス、杖、介護用ベッド、リフトなどの福祉用具のレンタルができます。ケアマネージャーに相談すると、ケアマネージャーは市町村の選定を受けたレンタルを行う事業者に連絡します。体の状態や住居に合わせた用具を、ケアマネージャーや福祉用具専門相談員と相談しながら、用具を選んでレンタルすることができます。 車イスは、自走用、介助用、電動。車イスの付属品は、クッション、テーブルなど。介護用ベッド本体、介護用ベッドの付属品は、手すり、サイドレールなど。体位変換器、移動用リフト、床ずれ防止用具、認知症老人徘徊感知機器。スロープは工事はしないで簡単に取り付けられるもの。歩行器、ポータブルトイレ、自動排泄処理装置。手すりは、据え置き型、トイレ用の手すり。入浴は入浴用のイス、簡易浴槽など、さまざまな福祉用具をレンタルすることができます。
要介護2でかかる介護費用
在宅介護の場合は約25万
要介護2で在宅介護の場合、ある程度介護サービスを使って生活すると、月25万円くらいになります。介護サービスを選んでどのくらい受けるかは、ケアマネージャーと相談して、余裕をもったプランで決めるのですが、急に他の介護サービスが必要になる場合もあるので、サービスは限度いっぱいまで使わないで、余裕をもったケアプランが望ましいです。 例をあげると、要介護2で在宅介護の70歳のA氏。夫婦で同居。持ち家一戸建て。収入は夫婦の年金合わせて22万円。支出は、生活費20万円、医療費1万2千円。介護保険は1割自己負担額で、介護サービス内容は、デイケア(入浴介護付き6時間)を週2回、身体介護(1時間)を週3回、車イスレンタル、ショートステイ6日で、計1万8,360円。ショートステイの食費、おやつ代が4,800円。ショートステイの居室量、日用品などが1万8,000円。支出合計は25万3,160円です。 限度額は2万1,800円なので、3,440円くらいゆとりのあるケアプランなのですが、収入が年金の22万円だと、3万円程のマイナスになります。ゆとりがあるときに、貯金しておくことが大切です。
施設介護の場合は約35万
要介護2で施設介護の場合、有料老人ホームの施設代を20万円とすると、月に約37万かかります。 例をあげると、要介護2で在宅介護の70歳のB氏。夫婦で同居。持ち家一戸建て。収入は夫婦の年金合わせて22万円。介護付き有料老人ホームの施設利用料が20万円、日用品、おやつ代などが3万円。介護保険1割自己負担額が2万460円。妻の生活費が12万円。支出合計は、37万460円です。このケースでは、月々マイナス約15万円になります。 介護付き有料老人ホームの利用料が大きいです。B氏の例では、20万円でしたが、介護施設はいろいろなタイプがあります。公的な介護施設では、毎月の利用料は、約5万円〜15万円。比較的安めの料金で利用できます。居室の広さ、施設のタイプによっても金額は大きく違ってきます。民間事業者の介護付き有料老人ホームは、約15万円〜30万円が目やすになります。 要介護2は、まだ歩くこともトイレもサポートしてできることが多いので、在宅を増やしたり、ショートステイを取り入れたり、老人ホームの場所なども考えるともう少し安くできるプランもあります。予算を考えてケアマネージャーと相談してみましょう。介護が必要になったときのために、貯金や備えをするとともに、介護をしないで生活できるような普段からの健康維持が介護の予防になります。
要介護2での在宅介護のメリットとデメリット
環境変化によるストレスがない
家族と暮らせるということは、何よりも安心感があります。他人に介護されるより、家族に介護してもらいたいと思う人も多いです。自宅で過ごせるということは、環境の変化によるストレスもありません。家族の時間的なゆとりと疲労の程度を考えて、快適に介護していけるケアプランをケアマネージャーと検討しましょう。 在宅介護で大きなメリットは、費用が安いことです。在宅介護生活での毎月の費用は、紙オムツなどを含めて平均約5万円です。自宅で介護生活しやすいように、バリアフリーに改修する工事の費用も、介護保険の1割(一定以上の所得がある人は2割)の負担でできます。
施設介護のメリット
施設介護で魅力のあるメリットは、医療従事者、介護の専門スタッフでの24時間体制の介護ケアを受けることができることです。要介護度が進むと、夜間の体位変換、経管栄養や痰の吸引など医療による介護が必要になる場合もあります。このような場合は、本人にとっても、介護施設や長期療養医療施設のほうが良い環境になることもあります。家族の疲労、負担、介護できることと、本人の要望とでよく考えて、ケアマネージャーや医師とも相談してよい方法を選択しましょう。
家族への負担が大きい
家族を在宅介護することで、程度によっては仕事を辞めて介護するという介護離職が社会問題になっています。介護は、家族の生活を変えてしまうもので、家族への負担が大きい場合は、安心して暮らしていけるように介護のプロの力を借りたり、介護施設入居なども考えて、よいケアプランをケアマネージャーに立ててもらってください。 介護に時間を取られて、離職、転職などをすると、収入も減ります。介護生活は、いつまで続くかわからないもので、終わることも考えたくないという気持ちもあります。介護生活が終わったときに、再就職する場合、同じ仕事につけるとはかぎらないので、その面も考えに入れておく必要があります。 家族は介護のプロではないので、介護でできることは、プロと違って限られています。プロでも、要介護4〜の介護では、1人につき、大人のヘルパーが3人必要だとされています。介護する側にも、休息が必要だからです。老夫婦2人の場合には、移動のための昇降の介助、トイレ、入浴介助は、体力的にも大変です。介護のプロの力を借りて、まず介護する人が健康であるように、予算と兼ねてケアプランを検討しましょう。 介護生活を続けているうちに、社会との関わりが少なくなり、精神的に孤立しないように、ケアマネージャーや相談できる人に話して、デイケアセンターに参加したり、通勤する仕事ができないときには、在宅でできる仕事をしたり、よい方法を考えましょう。
施設介護のデメリット
施設介護のデメリットで最大のものは高額な費用です。有料老人ホームでは月額約15万〜高額なところでは20〜30万で、自宅で在宅介護をする月額の費用とは大きく違ってきます。施設に入所して、適応できなくて退所してしまうことも少なくはないです。施設に入所することを検討するときには、自宅から通いやすいところ、清潔なところ、医師の評判や相性などがよいところ、介護する人に思いやりがあり、温かいところ、費用が予算でまかなえるところなど、複数の施設を見学して、合ったところを十分に探しましょう。
要介護2を知って適したサービスを受けよう
近年は核家族が多くなり、特定の家族に負担がかかり続けることを防ぐための対策が必要です。本人の要望も取り入れて、介護する人も疲労しすぎないように、休息を取って、予算的にもやっていけるケアプランと備えが大切です。要支援、要介護の1から5まで、受けられるケアサービスをよく知って、介護される人と介護する家族に最も合った方法を探しましょう。 介護生活に入ったとき、ケアマネージャーはとても頼りになります。経験豊富なケアマネージャーに相談して、ゆとりをもって介護していけるよう、ケアプランを検討します。まだ介護生活にゆとりのある人は、備えのためにも貯金して、専門家の介護サービスについて知っておきましょう。
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