高額医療費は出産でも使える。帝王切開をしたら活用すべき制度です

ベビー誕生。しかし予想外の帝王切開になりました。予期せぬできごとで今後のことが心配です。そんなママに朗報。帝王切開にかかる費用は出産育児一時金だけではなく「高額医療費」も給付されるのです。仕組みを知れば一安心、ゆっくり療養してください。

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高額療養費制度について

高額療養費制度の概要

「高額療養費制度」とは、1ヶ月(1ヶ月間ではなく1日から末日までの暦月)の医療費が一定額を超えたとき、個人(世帯)の所得に応じて支払額を一定にとどめてもらえる制度です。 手術や入院など高額な治療を受ける人の負担を軽減させるために用意されている、医療保障制度の1つです。この制度は、医療保険(国民健康保険・社会保険)に加入している人であれば誰にでも利用することができます。 以前は高額療養費制度は入院費用に対してのみ利用できましたが、平成24年からは外来受診分も対象になりました。このことから、余分な医療保険への加入や無駄な保険金の支払いが少なくなり、長寿社会への貢献や病気療養が必要な人への救済として、今では広く認知される制度となっています。 高額な治療費がかかる外来化学療法や検査などを要する人には、ぜひ有効活用していただきたい医療費制度です。

対象は保険適用分のみ

医療費のすべてが高額医療費制度の対象になるというわけではありません。病院で支払っている医療費のなかには、保険診療分として数えられていない項目がいくつかあります。 レーシック、インプラントなどは「自費診療(自由診療)」と呼ばれ、どちらも高額療養費の適用範囲外となります。また美容レーザーやドクターズコスメ、人工妊娠中絶(病気以外)も自費診療の範囲となります。 病気以外で医療機関を利用するのは、「出産」がもっとも代表的です。「妊娠」や「分娩」は病気ではありませんので、基本的に医療保険を適用することができません。しかし、妊娠も出産も人それぞれです。場合によっては医療行為(保険診療)が必要になるケースもありえます。

出産費用が対象となる場合

対象となる出産方法

帝王切開や吸引分娩など、医療行為を伴う分娩は「異常分娩」とよばれます。この「異常分娩」を伴う出産は医療行為を伴い、それにかかった分の費用は自費ではなく「医療費」として扱うことができます。 異常分娩をした人の医療費のすべてが保険適用されるというわけではありません。通常の分娩と同じ介助料や新生児の保育料などは自費扱いとなりますので、異常分娩の場合は「一部保険が適用される」ということになります。

高額療養費の対象になる出産

☑逆子で自然分娩が難しい場合 ☑多胎妊娠で出産が母体に大きなリスクを与えると予想される場合 ☑児頭骨骨盤不適合(赤ちゃんの頭がママの骨盤よりも大きいなど) ☑胎盤早期剥離(赤ちゃんが生まれる前に胎盤が剥離し、急いで赤ちゃんと取りださなければならないとき) このように、生まれる前から帝王切開を予定されるものと、陣痛が始まってから異常が起り、緊急で帝王切開をおこなうものがあります。高額療養費に関しては、「予定帝王切開」も「緊急帝王切開」どちらでも給付の対象となります。

自己負担額が限度を超えている場合

出産費用に対して、高額医療費制度を利用できるのは「保険診療分」が限度額を超えている場合です。帝王切開でいえば、「帝王切開術」の手術代やそれに伴うくすり代、処置や検査などが対象になります。 反対に、帝王切開であっても高額医療費が含まれないものは、個室などの差額ベッド代、分娩介助、新生児(NICUなどに入院しない赤ちゃん)の保育代やミルク代などです。 分娩にかかった費用すべてが保険診療として扱われるというわけではありません。保険適用外については高額療養費の計算に含まれないということを覚えておいてください。 ちなみに、生まれた赤ちゃんが低体重であるなど、赤ちゃん自身が入院するケースもあります。このような場合は、赤ちゃん名義の保険(保険証ができるまでは自費・後日精算)で治療を受けるため、赤ちゃんに関わる治療費はママの計算には加算されません。

高額療養費制度のポイント

出産育児一時金も受け取れる

出産育児一時金は、分娩方法に関わらず支給されるお金です。高額療養費制度を利用したからといって支給されないわけではありません。 なぜなら高額医療費制度は「療養費の給付」であり、帝王切開という手術を受け療養を余儀なくされたママのために支払われるお金だからです。 つまり、帝王切開手術を受けた人は「高額療養費」と「出産育児一時金」の両方とも受け取ることが可能なのです。

医療費控除を受ける際は注意

確定申告で医療費控除を受ける場合、高額療養費の取扱いには少し注意が必要です。「医療費控除」とは、1年間にかかった医療費が一定額を超えていれば税金の負担が軽くなる制度です。 出産の場合にかかる出産費用や妊婦健診などの費用は、税法上医療費控除の対象となります。つまり確定申告のときにしっかりと申請することで税金の負担を軽減することができます。 医療費控除と高額療養費の関係は、次の計算式を読むと理解しやすいです。 (実際に支払った医療費の合計金額ー保険金などで補填されたお金)−10万円(または50,000円) 「保険金などで補填されるお金」とは、生命保険の給付金・家族療養費・出産一時金・高額療養費など、実際の支払負担額が軽減されることになり受け取ったお金のことを指しています。 妊娠出産に関わる費用を確定申告する場合は、「実際に支払った額」に出産費用や妊婦健診を加えることと、「保険金などで補填されたお金」には高額療養費と出産育児一時金を加え「正味支出医療費」を正しく算出しなければなりません。 高額医療費を利用した場合は、確定申告で医療費控除を受けるとき「高額療養費額を支払額から差し引く」ことを忘れないでください。

限度額の計算方法と申請方法

自己負担限度額の計算方法

自己負担限度額は、個人の収入によって異なる金額が設定されます。70歳以上の人を除く、現役世代の人の自己負担限度額は5つの区分に分けられ、それぞれに限度額を決定する計算式が用意されています。 ☑区分ア)標準報酬月額が83万円以上の人:25万2,600円+(総医療費ー84万2,000円)×1% ☑区分イ)標準報酬月額が53万円~79万円の人:16万7,400円+(総医療費ー55万8,000円)×1% ☑区分ウ)標準報酬月額が28万円~50万円の人:80,100円+(総医療費ー26万7,000円)×1% ☑区分エ)標準報酬月額が26万円以下の人:57,600円(計算式はなし) ☑区分オ)住民税が非課税の人:35,400円(計算式はなし) 自己負担限度額の計算は、この計算式を使って算出します。1つの例を使って、実際に計算してみると以下のような計算式になります。

区分ウの人が100万円(保険適用前10割)の診療費を支払った場合

この人が実際に支払うのは、100万円の3割分である30万円ですが、計算式に当てはめるのは100万円(総医療費)のほうです。(30万円のほうで計算する人が多いので注意してください) この人の区分は「ウ」なので「80100円+(総医療費ー26万7,000円)×1%」の計算式を使います。 ☑8万円+(100万円ー26万7,000円)×1%…総医療費に100万円を代入すると73万3,000円になる ☑8万100円+(73万3,000円)×1%となり…計算した73万3,000円に1%を掛けると7,330円になる ☑8万100円+7,330円=8万7,430円…自己負担限度額の基礎である8万100円に7,330円を足す この87,430円がこの人の「自己負担限度額」となります。この人は30万円支払っているため、事後申請の場合は差額21万2,570円が払い戻しされることになります。 事前に限度額適用認定証を提示している場合は、87,430円(ベッド代や食事代、自費診療は含まない)が窓口請求されることになります。

計算が難しいならシミュレーションサイトを

計算が苦手な場合は、各保険者が提供している自己負担限度額のシミュレーションサイトを探してみましょう。1ヶ月分支払った自己負担金の総額と、自分が該当する所得区分を入力するだけで自己負担金額を計算してくれます。 ただし、自己負担限度額は外来・入院・医科・歯科ごとに分けられますので、外来や入院、医科と歯科でかかった医療費を「1ヶ月の総医療費」として合算することはできません。計算する場合は4つに分けてから自己負担限度額を算出しましょう。

高額療養費を事前申請する場合

帝王切開など異常分娩の可能性がある場合はあらかじめ「限度額適用認定証」の交付申請をおこなっておきましょう。 帝王切開を受けた場合の入院期間は普通分娩よりも長く、平均8日から10日間入院生活をおくることになります。また、ママの体の状況によってはさらに入院期間が延長される可能性もあり、退院精算時に思いのほか大きな金額になることもあります。 また、術後に対する投薬や点滴、処置などの治療費も普通分娩よりも多く必要となります。この可能性を踏まえ、帝王切開の可能性がある場合はあらかじめ「限度額適用認定証」の交付申請をおこなっておくことをおすすめします。 申請方法は、加入している保険者(社会保険・国民健康保険)に申し出れば、早ければ即日(郵送の場合は2~3日)で認定証が交付されます。認定証が手元に届けば、医療機関に提示しましょう。診療費を精算するとき、窓口での支払いは自己負担限度額までの一定額にとどめられます。

高額療養費を事後申請する場合

帝王切開には、予定でおこなう「予定帝王切開」と母体の異常時に緊急でおこなわれる「緊急帝王切開」があります。普通分娩を予定していた人にとっては突発的なできごとです。 このような突発的なケースで「限度額適用認定証」の用意がない場合は、医療機関でいったんすべての医療費を支払わなければなりません。(保険適用分は3割、自費分は10割で計算され請求されます。) しかし、ここで支払った3割分の診療費が自己負担限度額を超えた場合は、高額医療費の申請をおこなえば後日差額分が保険者から払い戻されます。 出産育児一時金を利用し、窓口での支払いがない場合でも高額医療費は払い戻しされますので、退院したあとでも忘れずに高額療養費の払い戻し申請をおこないましょう。

申請できる期間

高額療養費の申請には、「支払日翌月から2年以内」という申請に対する期限が設けられています。この期限を過ぎると、払い戻しの対象から外されてしまいます。 出産の場合よくあるケースが「出産育児一時金をもらったから高額療養費は利用できないだろう」と考え、申請をしないままになっていることです。 高額療養費と出産育児一時金は両方とも受け取るべきお金です。2年以内に帝王切開を受けたことがある場合は急いで保険者に問い合わせをしてみましょう。

対象の場合は高額療養費制度を利用しよう

「出産は病気ではない」という言葉から、出産費用は出産育児一時金でまかなうものと思われています。しかし、同じ出産であっても「帝王切開」にかかったは医療は「医療費」として扱われ、一部は医療保険が適用されます。 医療保険とは、やむなく医療的治療を受けた人に対する「診療の給付」です。3割負担になるだけではなく、高額医療費制度の対象にもなるのです。帝王切開で出産したママに対する「診療費の給付」のため、対象となる人は遠慮せず、日本の社会保障制度「高額療養費制度」を有効利用しましょう。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。