結婚して子供ができ、ふと老後のことを考えて不安になることもあります。このまま専業主婦を続けて、はたして老後に年金だけで生活できるものなのか。年金だけでの生活の実態や、老後のための経済的準備を理解しておきましょう。
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目次
年金生活の現実
老後の生活費
自分自身の両親も年老いて、年金を受給するのも間近にせまってくると、ふと自分も年老いたらどうなるか想像することがあります。自分の未来の社会は今とは異なるでしょうが、今の年金制度のまま数十年後も続くとしたら、実際に年老いたとき、年金だけでやったいけるのかどうか心配になります。 そもそも老後の生活費とは最低限どのくらい必要なのでしょうか。統計によると平均して老夫婦1世帯につき月に23万円~28万円、生活費のための支出費用がかかるそうです。内訳をみてみると、服飾品や交通費、通信費にかける金額は40代に比べると少ないけれど、保険医療にかかる金額は逆に多くなっています。そのほかの食費や光熱費、交際費などは大きく変わりません。
年金の受給額
専業主婦をしていて夫が退職した場合、年金だけで生活していくことが現実となります。年金の受給額は人によって異なります。もし基礎年金に加入している場合は、すべての人に等しく年金税が課せられて同じ年金額が支払われます。しかし厚生年金に加入した場合、その人の収入によって課せられる年金税は変わるため、その結果、支払われる年金額に差が生まれます。そのほか会社に属する年金に加入していた場合は、さらに年金受給額が多くなります。 しかし一般的なサラリーマン家庭では平均して年額で300万円弱ぐらいです。そうすると月に25万ぐらいの計算になります。年齢があがるにつれて支出額は少なくなる傾向がありますが、65歳で年金を受給し始めた時期は生活費が足りないと感じることがあるかもしれません。 退職してようやく時間ができたのだから、趣味の教室に通ったり、夫婦で旅行をしてみたいと思うこともあります。人間ですから生命維持のためだけではなく、なにかやりたいことがあるものです。そういったとき年金だけで大丈夫でしょうか。まだ足腰がしっかりしているうちに、行きたいところに行くため、やりたいことをやるための貯金はなくてはいけないかもしれません。
年金収入と貯金を使う生活
趣味や旅行、交際費など、生命維持だけではない、人生の生きがいや楽しみのための費用も必要であると考えると、年金だけでの生活では十分でない場合があります。そこで年金で足りない分を貯金で補って生活する方法があります。 しかし貯金というものは限りがあり、使いだすとすぐに底をついてしまうものです。貯金を推定年数で割って、一年に使える金額を計算し、賢明に使用していくことが大切です。人間ですから高齢になればどんな病気にかかるかわかりません。統計でも高齢になればなるほど医療費にかかる支出が増えています。そのへんも考慮したうえで、貴重な貯金を使うよう心がけてください。
年金生活の住民税
年金生活をすると住民税は払わなくてはいけないのでしょうか。年間の年金受給額が148万円以下なら、どんな場所でも住民税を払う必要はありません。この数字は3級地での数字で1級、2級地では40,000円~70,000円ほど基準額が上になります。1級、2級地のほうが生活費が高いことが考慮され、このような考慮がなされました。 この計算でいくと、一般的な年金生活者は皆、住民税を払わなくてはいけないことになります。ただし公的年金等控除があるため、年金生活者は負担を軽減されています。また年金にかかる税額は年齢によって変わります。自分の受給年金額で住民税の税額を知りたい人は、税務署に問い合わせてみましょう。
健康保険料の支払い
平成20年から国民健康保険税を年金から支払うことになりました。つまり年金からその分が天引きされて支払われるということです。これにより高齢の人が、月々国民健康保険料を自分で払う手間が軽減され、支払い忘れということもなく、徴収も確実になりました。 ただし年金から支払う人には条件があり、それには世帯内の国民健康保険加入者すべてが65歳以上、75歳未満であることや、介護保険料を年金から支払っていることなどがあります。世帯内の誰かが年齢の枠にないだけで、年金からの天引きはなくなります。 75歳以上の高齢の人はあてはまらないため、国民健康保険の支払いを忘れないように気をつけなければなりません。
クレジットカードの審査が通りにくい
年金生活のなかでも、ときにカードを使ってのキャッシングが必要になるものです。今までクレジットカードを持っていなかったという人もいるかもしれません。またポイントの高いカードに代えたいという人もいるでしょう。なにかを買うときも、高齢になると、探し歩くよりもネットショッピングのほうが助かる場合もあり、そうするとカードは必ず必要になります。 しかし高齢になってくるとクレジットカードの審査が通りにくくなってくるのは事実です。それは高齢者が病気になったりして返済ができなくなるのではないかというリスクがあり、カード会社は敬遠してしまうからです。 とはいえ年金受給者でも審査が通りやすいカードもあります。G.Gマークがついたイオンカード・大人の休日倶楽部ジパングカードはシニア向けのカードで、高齢の人でも審査が通りやすく、シニア向けのサービスも実施しています。また楽天カードは審査が非常に通りやすく、高齢の人にも審査が通るチャンスが大きいカードです。
夫婦どちらかが亡くなったときの年金
夫が亡くなり年金が減る
妻が夫と共に月々受給していた年金も、夫の死亡で年金は激減してしまいます。厚生年金の保障には遺族厚生年金もあり、夫の年金の3/4が残された妻に支払われます。これはあくまで厚生年金部分に対する保障で、夫が受給していた年金の全額に対するものではありません。 妻は基礎年金と夫の厚生年金部分の3/4を受け取ることができます。夫だけが厚生年金に入っていた例をあげると月25万円ぐらい受給していた夫婦が、夫の死亡で15万円ほどに減ることになります。なんとか一人で生活できる最低限です。 夫が亡くなりショックのなか、年金も激減することで精神的にも追い詰められてしまわないかと心配です。息子や娘がいれば一緒に暮らす方法もありますが、子供がいなかったり、いろいろな事情で単身で暮らす人にとっては心細い思いをするのではないでしょうか。前もって老後のために貯蓄しておいたほうがよさそうです。貯金する場合も自分名義でするようにしましょう。
妻が亡くなったことで年金額がさがる
夫婦で受給していた年金も、妻が亡くなることで当然少なくなってしまいます。夫が亡くなった場合のように遺族厚生年金も支払われませんから、妻が加入していた基礎年金の分がそのままマイナスされることになります。 夫だけが厚生年金に入っていた例をあげると、夫婦で25万円ぐらい受給していた人が18万円ぐらいになります。妻が生前パートで働いていて厚生年金に加入していた場合、夫の厚生年金額のほうが妻の厚生年金額より多いと、遺族厚生年金は支払われません。妻の死亡によって厚生年金分とパートでの収入が一気に減ることになります。 働きものだった妻の存在の大きさは、家のなかだけでなく家計にも大きな影響を与えるということです。妻が残された場合より多少は多いのですが、一人で生活すると外食が多くなったりして、生活費が余計にかかってしまうかもしれません。夫が残されたとしても、年金だけでとなると生活が厳しくなる可能性もあり、やはり蓄えは早いうちからしておいたほうがいいでしょう。
妻が亡くなり食費の支出が増える
二人暮らしの夫婦が妻に先立たれ、夫は家事仕事をすべて自分でしなければならなくなります。料理をほとんどしたことのなかった人は外食をしたり、コンビニで買ったもので済ますことが多くなるでしょう。その結果、食費の支出が増えることはいうまでもありません。 年金の受給額は決まっているため、生活費を節約するためにも、健康のためにも、自宅で料理をするようにしたほうがいいでしょう。最近では男の簡単料理レシピなどたくさん紹介されています。「料理を作らなければいけない」のではなく「料理を作る楽しさ」を味わいましょう。 とはいえ一人暮らしで仕事もなく、一日中一人で食事をするのは寂しいことです。友達と食事をするために外出したくなるのも無理はありません。可能であれば外へでて軽い労働をし、みんなで昼食を食べると寂しさも紛れるのではないでしょうか。多少の収入も得て交際費などのゆとりも生まれるでしょう。
年金生活で見直したい費用
住宅ローンの借り換え
年金生活になると限られた年金の受給だけで生活するために、無駄な支出をできるだけ減らさなければなりません。住宅ローンは月々銀行口座から引き落とされ、支出の大きな比重を占めています。面倒かもしれませんが、一度の手続きでそれ以降の支払いが楽になるため、ぜひ見直してみてはいかがでしょうか。 住宅ローンの借り換えは年金生活を始めてからだと審査が通りにくくなります。やむを得ない場合は親子ローンなど息子さんと共同で借り換えが可能です。少しでも年金からの支出を少なくしたほうがいいため、もし最初に契約したときより金利が低くなっていたら、住宅ローンの借り換えを早めにしておくことをおすすめします。月々に支払う住宅ローンの額も減り負担が軽減します。そのため金利の変化は常々注意してみるようにしたいものです。
保険の見直し
自分が加入していた生命保険についても、年金生活を想定して見直しておいたほうがいいでしょう。満期になって払い戻しができるタイプの保険であれば、まとまった老後資金にもなります。 実際に年金生活を始めた場合、生命保険も月々支払うのは大変なのではないでしょうか。もし病気になったときでも、基礎年金、国民健康保険、介護保険などのさまざまな保障があります。自分の加入している生命保険で医療費や死亡保障が必要以上に多くなっているかもしれません。 高齢になると病気をしやすくなります。実際統計でも医療費にかかる支出の割合は増加しています。しかし過剰に生命保険を支払うことは、家計にも負担がかかります。月々の限られた年金のなかから余分な支出をできるだけ少なくするためにも、生命保険は本当に必要なのかどうか、加入の仕方はそれでいいのかどうか、自身の状況に合わせてよく考え直してみるといいでしょう。
食費を考えよう
食費を節約するためにも健康のためにも、自炊をしたほうがいいですが、一人分を料理するとなるとたくさん作りすぎたり、材料が余ったりして無駄になることもあります。だからといって外食ばかりしていると食費がかかりすぎてしまいます。 そんなときは作った料理を小分けして冷凍しておきましよう。何種類か作り小分けして、冷凍といったローテーションをすれば、飽きることなく食べられ、電気代やガス代の節約にもなります。面倒な料理の時間も省け、温めるだけの日もできます。 そのほか交通費や交際費も節約の工夫ができますが、毎日の食費が自炊と外食では倍以上の違いになるため、特に一人暮らしの男性は気をつけてください。
通信費のプランを検討する
固定電話や携帯電話、インターネットなどの通信費も、今までのプランで無駄はないか検討してみましょう。お得なプランがあれば切り替えて、通信費の支出をできるだけ少なくしましょう。 スマホの通信費の支払いも年金生活者にとっては大きいものです。インターネットは自宅のパソコンだけ使い、携帯電話は通話のみにすれば節約になります。もしスマホもどうしても使いたいのであれば、格安スマホに変えるのも一つの方法です。 通信費は見落としがちで、面倒でもありますが、年金生活を少しでもゆとりのあるものにするために、支出を減らす工夫の一つとして、通信費を考えてみる必要があります。
車が必要かどうか
車は駐車場代やガソリン代、車検や税金など維持費がかかります。車がどうしても必要な都心から離れた場所では駐車場代は安くなりますが、都内で交通の便がよければ、無理して高い駐車場代を支払うより、車を手放したほうがいいかもしれません。 車の維持費の大変さから最近では若者も車を持たない人が増えてきています。また集中力や注意力が衰えてきた高齢者にとって、運転は危険も伴い、免許も変換するときがいずれくるでしょう。電車は時間が正確で駐車場の心配もいりません。交通の便のいい地域では電車で事足りるものです。たまにどうしても車が必要なときにはレンタカーを使ったりと、車のためにかけていた支出を節約するといいのではないでしょうか。
老後の生活に困らないために早めに準備をしましょう
年金生活について詳しくみていくと、老後の生活のことこそ、若いときから考えておかなければいけません。若いころの関心は今を楽しむことに向けられていて、老後のことなど考えることもありませんでした。しかし年金生活をするときになってからでは遅いこともあります。 年金の加入の仕方や、保険、貯金など、年金生活を始めるまで、時間をかけて少しずつ準備しておいたほうがいいこともあります。また結婚している人はいつかどちらかが先に亡くなることは避けられないため、どちらの場合についてもよく考え、老後の生活を豊かに過ごすためにも、準備は早めにしておきましょう。
エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
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