年金の受給年齢は変えられる。賢く受け取るために考えること

国の公的年金制度である年金の受給資格を得るのは、基本は65歳です。年金はさまざまな特別支給や特例が制度としてあります。そして年金は繰上げることも繰下げることも可能です。ただしそれぞれメリットもデメリットもあるのでよく考える必要があります。

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年金がもらえる年齢

基本は65歳

公的年金制度は、国の法律で20歳以上の成人のすべての方に加入する義務がある制度。老後の生活の資金や万が一、障害を負ってしまったときに給付が受けられます。公的年金は国民年金、厚生年金の2種類があり、職業別に加入する年金が分類される制度です。公的年金制度を建物に例えると、国民年金は1階部分、厚生年金は2階部分といわれます。

国民年金について

☑ 自営業、主婦、学生など ☑ 日本に居住する外国人 20歳から60歳未満の方が対象となります。保険料は一律となっているので、すべての方が同じ保険料を納付。基礎年金とよばれるものです。

厚生年金

☑ 会社員など ☑ 公務員、私立校の教職員 厚生年金に加入している方は、国民年金の保険料も納付しています。保険料は会社との折半です。国民年金の保険料と厚生年金の保険料を納めるので少し割高の保険料となっています。 国民年金も厚生年金も被保険者として加入期間があり、老齢基礎年金を受け取る資格を得たときに受給できます。老齢基礎年金を受給できる年齢は基本は65歳です。

繰り下げ可能

年金の受給を70歳以降にすることが可能です。繰り下げの請求は月単位で可能になっています。12ヶ月以上、60ヶ月以下の範囲が繰り下げ可能期間です。1ヶ月繰り下げることに0.7%増額。増額した年金を一生受け取ることができます。何歳まででも繰り下げすることは可能ですが、増額は5年分までとなっており42%が最大の増額率です。 繰り下げの請求をするには条件があります。まず、2007年4月1日以降に65歳以降の老齢厚生年金の受給資格を得たことと、受給権を取得してから1年間老齢厚生年金の請求をしていないことです。 年金は受給資格を得ても、手続きをしないかぎり受給することはできません。繰り下げ受給をするのであれば、繰り下げ受給の手続きを行います。また、年金を受給している方は繰り下げはできません。その他、遺族年金や障害年金の給付を受けている方は申請できないことになっています。

60歳から繰り上げ可能

60歳になると繰り上げ受給の資格を得ます。請求が可能なのは60歳から64歳11ヶ月まで。手続きを行うと、翌月から年金の支払いが開始されます。しかし、厚生年金に加入している方は、国民年金分も同時に繰り上げ請求をすることになります。 繰り上げ受給をすると1ヶ月ごとに0.5%減額されていきます。 ☑ 繰り上げ率の計算式 0.5%×(65歳になるまでの月数)=年金の繰り上げ率 (例)62歳8ヶ月で繰り上げ請求した場合 0.5%×28ヶ月=14% 14%減額された額が支給されます。繰り上げ受給の減額率は一生適用されてしまうのです。ただし国民年金の任意加入被保険者は老齢年金の繰り上げをすることはできません。

繰上げ受給のデメリット

77歳前後で損をする

繰り上げ受給をすると、60歳から64歳までの希望する時期から年金が受け取れるようになります。しかし生涯減額支給となります。1ヶ月で0.5%減額されるので1年間では6%減額になるのです。繰り上げが可能な期間は最大で5年間。減額率は最大で30%となっています。60歳から繰り上げ受給した場合の受給総額が本来の65歳から受給した方の受給総額に追いつかれてしまうのは76歳11ヶ月です。 繰り上げには全部繰り上げと一部繰り上げの2種類があります。 ☑ 全部繰り上げの減額率の計算式 減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数 ☑ 一部繰り上げ 老齢基礎年金の一部を繰り上げて受給も可能です。全部繰り上げも一部繰り上げも条件があります。男性は1941年4月2日から1946年4月1日に生まれた方、女性は1946年4月2日から1954年4月1日までに誕生した方が利用できる制度です。 16年11ヶ月以降は、本来の開始年齢から受給した方の総額よりも受給総額が少なくなります。77歳前後で受給総額が逆転してしまうので、平均寿命まで生存する場合は損をすることになるのです。

65歳まで遺族年金と併給不可

65歳になる前に遺族年金の受け取る権利が発生した場合、老齢基礎年金か遺族年金かのどちらかを選択することになります。多くの場合、遺族年金を選択するほうが有利です。 寡婦年金の受給をしている方が老齢基礎年金の繰り上げ請求をすると、寡婦年金の権利は失ってしまいます。また、繰り上げ受給をしている方は寡婦年金の請求はできません。そして減額した老齢基礎年金は65歳までは支給停止となり、65歳になり支給停止が解除された後も減額支給のままとなります。

長期加入者特例が受けられない

長期加入者とは、同一の厚生年金に44年以上、月にすると528ヶ月以上加入している方のことです。

対象者

☑ 同一の厚生年金に被保険者として加入期間 44年以上(528ヶ月以上) ☑ 男性 1941年4月2日以降、女性 1946年4月2日以降に生まれた方 ☑ 退職により被保険者資格を喪失している 以前の年金制度は60歳から受給されていました。中学を卒業して16歳から年金に加入し44年経つと60歳。60歳から64歳のあいだは「特別支給の老齢厚生年金(定額部分+報酬比例部分)」が支給される制度です。定額部分は単価があり、年度により異なります。 ☑ 定額単価×厚生年金の被保険者の月数=定額部分 年金の繰上げをした場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰上げなければなりません。そして、長期加入特例が受けられなくなるのです。

在職中の場合厚生年金に調整がかかる

2013年4月からは高年齢者法にもとづき本人の希望があれば61歳までの継続雇用が義務付けられました。60歳なっても働き厚生年金に加入する方は「在職老齢厚生年金」を受け取ることが可能です。働いていても厚生年金へ加入しない範囲であれば在職老齢厚生年金の対象にはなりませんので、年金額は全額受取れます。

在職老齢厚生年金の算出方法

☑ 基本月額=年金額 ☑ 総標準報酬月額相当額=過去1年の会社からの給与 で算出。給与や賞与の金額が高額であれば老齢厚生年金額が調整されることになります。年金は一部もしくは全部が停止となる場合があるのです。 60歳以降働く場合、60歳時点に比べて賃金が低下することもあります。60歳時点と比べて75%未満に低下した場合、雇用保険の「高年齢雇用継続給付」。雇用継続給付を受ける場合は注意が必要となります。一定の条件があり在職老齢年金のカットと雇用保険の調整が行われるのです。

特別な年金はもらえない

年金には、生活の資金となるだけではなく年金に加入している方が障害者1級もしくは2級の認定を受けたときに受給できる障害年金というものがあります。65歳までに障害を負った場合の所得補償の意味合いがあるものです。 60歳以降に大きなけがを負った場合、障害者の認定を受けたとしても年金の繰り上げ受給をしていることで、障害年金の請求ができなくなります。65歳前に年金を受給することで、65歳に到達したとみなされてしまうのです。繰り上げ後の老齢基礎年金と障害基礎年金はどちらかを選択。障害年金の受給額は繰り上げた老齢基礎年金よりも多いことがあるので注意が必要です。 ただし繰り上げ受給をしていても障害年金の請求が可能な場合もあります。障害年金は「障害認定日での請求」となっています。

可能な場合

☑ 初診日が60歳前 ☑ 初診日が60歳以上65歳未満ではあるが、その初診日は国民年金や厚生年金の加入していた ☑ 初診日は60歳以上65歳未満、初診日に厚生年金などの被保険者ではないが障害認定日は繰り上げ請求の前 障害年金は65歳になると原則請求できない特別な年金です。65歳からは自分の年金が所得となるような制度となっています。

繰下げ受給で増額されないもの

家族手当のような加給年金

厚生年金への加入期間が20年以上ある方が、65歳になったときもしくは定額部分の支給開始年齢に達したときに配偶者や18歳未満の子供がいる場合、年金額に加算される加給年金。配偶者は65歳になるまで、子供は18歳の年の年度末まで受け取ることができる制度です。 配偶者の加給年金は「特別加算額」という上乗せがあり、配偶者の生年月日によって変わります。その他にも条件があり、年金を受け取る方の年収が850万以上の方、配偶者が老齢厚生年金や障害年金を受給している場合は支給されません。 加給年金も老齢年金と同時に繰り下げの手続きをする必要があります。しかし、加給年金は繰り下げしても増額はされません。期間が終了して加給年金が受け取れるようになっても増額はありません。

加給年金が打ち切られた後の振替加算

振替加算は配偶者が65歳になった月の翌月から老齢基礎年金に加算されるものです。65歳になるまで加算されていた加給年金がなくなり振替加算として受け取ることにになります。そして振替加算は一生涯受け取ることになります。

国民年金未加入者のための制度

年金が少ない被扶養者のための制度。そのため対象者も限られており、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた方になります。現在のような公的年金制度になったのは昭和61年4月1日に基礎年金制度ができてからです。20歳から60歳までの日本に居住する方、すべてが年金に加入するように義務付けられましたが、それまでは専業主婦の方は夫の扶養家族として国民年金の保険料は納めていませんでした。 振替加算は生年月日により受給できる金額が決まっています。繰り下げをしても、老齢基礎年金のように増額はありません。振替加算は増額計算がないものです。

在職し減額調整された部分

65歳以降も就労していて厚生年金に加入している方でも、老齢基礎年金は全額支給となります。厚生年金部分の老齢厚生年金は調整したうえで支給。65歳未満の在職老齢厚生年金と65歳以降の在職老齢厚生年金の計算式は異なり、65歳以降の計算式は以下のとおりです。

65歳以降の在職老齢厚生年金の計算式

☑ 基本月額=老齢厚生年金(経過的加算、加給年金額除く)÷12 ☑ 総報酬月額相当額=標準報酬相当額+その月以前の1年間の標準賞与額の合計÷12 ☑ 支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額−46万円)×0.5×12 で算出。基本月額と総報酬月額相当額の合計が46万円以下であれば、全額が支給されます。しかし46万円以上の場合は一部または全額が停止されるのです。

年金額が調整される

以前は、繰下げ受給を選択すると年金額は増額されていました。しかし、2007年から改正され繰下げ期間の収入による年金額の調整し支給する仕組みとなっています。在職老齢厚生年金の適用となる収入を得ている場合、支給停止額を基準として増額率が調整されるのです。その増額率は1ヶ月0.7%ではなく、0.7%×支給停止額÷本来の年金額。支給停止額が多いほど年金の増額率は低くなるのです。

報酬比例部分の特徴

上限がない

65歳以前に支給される特別支給の老齢厚生年金は加入期間に応じた定額部分と在職時の報酬に比例した報酬比例部分に分けられています。加入期間のあいだの報酬の平均で算出されるものです。平均報酬額に生年月日に応じた一定の乗率と物価スライド率や加入期間をかけて計算します。 老齢厚生年金、障害厚生年金などは報酬比例部分が計算のもととなる大事なものです。加入月数は定額部分と異なり上限はありません。2012年4月2日からは引き上げが開始されています。 2000年に法律が改正され、男性は1953年4月2日以降に誕生した方、女性は1966年4月2日以降に誕生した方は報酬比例部分は支給されなくなります。2003年4月には総報酬制が適用、2003年3月までと分けて計算し合計額を基準に金額を算出することになっているのです。

加入期間に基づく

加入期間に基づく定額部分の金額は2001年4月2日から引き上げが開始されています。段階的に引き上げられる定額部分は生年月日によって変化。1953年4月2日以降に誕生した方は、厚生年金に加入できる期間は40年あります。受給資格を得るために必要な月数は300月です。 ☑ 生年月日による単価×加入月数×物価スライド率 で算出。保険料の納付期間が短ければその期間に合わせた老齢基礎年金が計算されて支給されることになります。厚生年金の加入期間が1年以上ある場合は報酬比例部分の年金を受給することが可能です。 2007年4月から厚生年金加入の年齢制限はなくなっています。70歳になっても厚生年金には加入できますが、保険料の徴収はありません。そして、加入期間が長いからといって年金が増えるわけではないのです。

年金をお得に受け取ろう

国の公的年金制度である年金の受給資格は基本は65歳となっています。年金は老後の生活の資金だけではなく、障がいを負ったときや、配偶者が亡くなったときに受け取ることができる制度もあります。 年金は繰上げて60歳から受給することも繰下げて65歳以降に受給することも可能。しかし繰上げ、繰下げのどちらもメリットとデメリットがあります。年金制度は複雑な部分もあり、法改正も施行されることが多い制度です。年金をお得に受け取るためには長い目で考慮する必要があります。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。