妊娠は嬉しいことですが、産休中収入がないことに不安を感じていませんか。でも安心してください。健康保険には産休中の収入を保障する「出産手当金」という制度があります。産休の日数に応じて支給される制度です。出産前に準備して、確実に申請しましょう。
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出産手当金の受け取り条件と特徴
勤務先が加入する健康保険に加入している
出産手当金とは産前産後の休業中に、給料がもらえない女性の所得を補償して、安心して出産に臨んでもらうための援助制度です。この出産手当金を受け取るには、勤務先が加入している健康保険に、1年以上加入して保険料を支払っていることが必要な条件になります。 勤務先の加入する健康保険に加入して保険料を支払っていれば、勤務形態に関係なく支給されます。正社員でなくても契約社員や、パート・アルバイトでも受給資格があるので、勤務先の保険に加入している場合は、忘れず勤務先に確認するようにしましょう。 ただし退職してしまうと、受給資格もなくなり、出産手当金がもらえなくなることがあります。出産を機に退職する予定の人は十分注意してください。また、出産手当金は働く女性の給料を補償する目的で、健康保険協会が支給するものなので、家族の扶養に入っている人や、国民健康保険に加入している人は対象外になります。
産休中にお給料が出ない
出産は赤ちゃんを望む人にはとても嬉しい出来事です。しかし、出産の前後では女性はどうしても仕事を休む必要が出てきます。そんな産休中には、会社から給料は支払われませんので、働く女性は産休中無給となってしまいます。収入がなくなったり、減額されたりしている状態では、安心して赤ちゃんを産むことができません。 経済的な不安をなくし、安心して出産に臨むために、勤務先の加入している健康保険から、産休中に給料の代わりに支給されるのが出産手当金です。出産手当金が支給されるための要件は、基本的に出産のために仕事を休み、会社から給料が支払われていないことが必要です。そのため、会社からの給料が支給されている場合は、該当しなくなります。 しかし、支給される給料が出産手当金よりも少ない場合、出産手当金と給料との差額分が出産手当金として支給されます。また、妊娠悪阻などで傷病手当の支給条件を満たすことがあります。この場合傷病手当よりも、出産手当金の方が優先して支給されます。しかし傷病手当が出産手当金よりも多い場合は、差額が傷病手当金として支給されます。
妊娠期間が4ヶ月以上あった
出産といっても、残念なことですが、正常な分娩ができなかったときにも、出産手当金は支給されることがあります。出産手当金の受給対象に、なるかどうかを決めるのは妊娠期間です。中絶や死産でも、妊娠期間が4ヶ月(85日)以上継続していれば出産手当金の支給対象になります。 つまり、妊娠期間が4ヶ月を経過したのちに流産や早産・死産・人工中絶となった場合でも、母体を休めるために必要な休業期間には、産前42日から産後56日以内の期間分、出産手当金を受け取ることができるということです。 また帝王切開でも、出産手当金は支給されます。帝王切開の場合は、帝王切開の手術をした日が出産日になります。帝王切開では経膣分娩よりも入院期間は長くなり、手術費用や薬代など医療費が高額になります。このとき高額療養費の対象となり、加入している健康保険から支給されます。このようなときでも、出産手当金も支給対象となります。
退職していても支払われる場合がある
退職してしまうと出産手当金はもらえないと諦めている人も多いと思いますが、そんなことはありません。いくつかの条件をクリアしていればもらえます。退職後でも出産手当金を受け取るための条件は、「健康保険の被保険者期間が1年以上継続してあること」「出産日もしくは出産予定日から42日以内に退職していること(多胎妊娠の場合は98日以内)」「退職日に働いていないこと」以上3つになります。 2007年3月までは、退職後6ヶ月以内の出産であれば、出産手当金が支給されていました。しかし、2007年4月以降改正され現在の形になったので、退職すると出産手当金がもらえないと勘違いしている妊婦さんが多いのです。上記の3つの条件を満たしていれば、受給資格があるので計画的に退職日を設定しましょう。 出産を機に退職を考えている場合、退職日は産休中になるように設定しましょう。妊娠により体調を崩して出産予定日の42日よりも前から産休に入る妊婦さんも多くいます。この場合勤務先に相談して、有給消化にしてもらうなど、退職日が産前42日(多胎の場合は98日)を過ぎるように調整してもらいましょう。 特に注意して欲しいのは、「退職日に働いていないこと」です。退職日に出勤していると、出産のための休暇取得とみなされなくなってしまい、受給資格が得られません。退職日には有給などで出勤しないようにしてください。
出産手当金の申請方法と注意点
勤務先で受給資格を確認して申請書類をもらう
出産予定日がわかったら、勤務先に出産手当金の受給資格があるかどうか確認しましょう。出産手当金は、健康保険から支払われますが、この健康保険は「被用者保険」のみの制度です。被用者保険とは、会社員や公務員、船員の方が加入している健康保険です。被用者保険には、協会けんぽや組合管掌健康保険といった会社員が加入する「健康保険」、公務員や私立の教職員、日本郵政グループの職員、独立行政法人の職員などが加入する「共済組合」、船員が加入する「船員保険」の3つがあります。 出産手当金を受給するための必要条件は、被用者保険に1年以上加入している必要がありますが、1年に満たない場合でも、支給されることがあります。加入期間が1年未満だからもらえないと諦める前に、受給資格を満たしているかどうか、勤務先に確認しましょう。ただし、会社員の方も注意してください。会社によっては「被用者保険」ではない保険を使っている会社があります。そういった会社は独自の「国民健康保険組合」を使っていて、いくつかの国民健康保険組合では、出産手当金が支給されないことがあります。自分自身の受給資格の確認と合わせて、確認するようにしましょう。 受給資格があれば、申請書類を勤務先からもらってそろえておきましょう。書類はたいてい会社にありますが、置いていない場合もあります。そのときは管轄する最寄りの健康保険協会で受け取るか、社会保険事務所のホームページでダウンロードしてください。
出産予定の病院と勤務先にて必要事項を記入してもらう
出産手当金の申請には、健康保険出産手当金支給申請書の提出が必要です。この申請書は、本人記入欄の他に、勤務先や出産した病院の医師または助産師の証明が必要です。 勤務先に用意してもらう書類は、賃金台帳または給与明細書、出勤簿またはタイムカードが必要になります。賃金台帳と出勤簿は、産前産後の期間すべてと産前休暇に入る前1ヶ月の合計約4ヶ月分の証明がいります。これらの書類を用意してもらうために、会社の総務など担当の部署に相談しましょう。依頼したこれらの書類は、勤務最終日か産後に受け取るようになります。相談に行った際に、どちらのタイミングで受け取るのかも合わせて、勤務先に確認しておくと良いです。 申請書には、出産者・出産予定日・出産日・出生児の数などを記入する欄があります。これは、出産した医療機関で、医師または助産師に証明してもらうものです。そのため、出産のために入院する際、申請書を持って行って、入院手続きの時に提出しましょう。退院時に受け取れるようにしておくと良いです。 もしくは、出産後の1ヶ月健診で出産した医療機関に行くようであれば、そのときに受け取っても良いでしょう。申請書の証明は、病院によっては証明書代金がかかる可能性があるので、出産予定病院に事前に確認しておくとでしょう。
勤務先の保険担当の窓口に提出する
出産手当金申請書の提出先は、管轄の社会保険事務所になります。提出方法は持参しても郵送してもどちらでも構いません。原則は本人が申請を行うものなので、ご自分で提出する際は、社会保険事務所に郵送するか窓口へ持参するのかを決めておくと良いでしょう。また郵送する場合、郵送先の住所や宛名も事前に確認しておきましょう。 会社によっては本人の代わりにまとめて提出してくれることもあるので、会社に確認しておきましょう。会社に提出する際も、申請書類は持参するのか、郵送するのか確認しておきます。特に産後は慌ただしくなるので、あらかじめ確認しておきましょう。
持参か郵送か確認しておく
出産手当金申請書の提出先は、管轄の社会保険事務所になります。提出方法は持参しても郵送してもどちらでも構いません。原則は本人が申請を行うものなので、ご自分で提出する際は、社会保険事務所に郵送するか窓口へ持参するのかを決めておくと◎。また郵送する場合、郵送先の住所や宛名も事前に確認しておきましょう。 会社によっては本人の代わりにまとめて提出してくれることもあるので、会社に確認しておきましょう。会社に提出する際も、申請書類は持参するのか、郵送するのか確認しておきます。特に産後は慌ただしくなるので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
マイナンバーの記載が必要かどうか確認しておく
2016年1月より導入されたマイナンバーは、社会保障などの行政手続に必要になりました。出産手当金の申請書類にも、マイナンバー記入欄はありますが、保険組合によっては、被保険者証に記載されている記号番号を記入しておけば、マイナンバーの記入は必要ないこともあります。自分の加入している保険は、マイナンバーの記入が必要なのかどうかを、勤務先に確認しておきましょう。 申請書類に不備があると、支給されまでにかかる期間が長くなってしまうので、記入に漏れがないよう事前の確認をしておく方が良いでしょう。
対象期間と支給予定日
産前42日前から産後56日の間
出産手当金を受け取れる対象の期間は、出産予定日を含む産前42日間(双子などの多胎は98日間)と、出産翌日からの産後56日間の合わせて98日間(多胎の場合は154日間)です。これはあくまでも、出産予定日通りに分娩できた場合で、出産が遅れた場合は出産日を基準にして計算されます。 多くの出産は予定日よりも前後することがあります。例えば、出産予定日よりも7日早く出産した場合、「産前42日(多胎は98日)」から「予定日より早まった7日」を引いた35日(多胎は91日)と、「産後56日」を足した91日間(多胎は147日間)が支給対象期間となります。 逆に出産予定日よりも7日遅れた場合、「産前42日(多胎は98日)」に「予定日より遅れた7日」を加えた49日(多胎は105日)と、「産後56日」を足した105日間(多胎は161日間)が支給対象期間となります。このように出産手当金の支給対象期間は、実際の出産日と出産予定日をもとにして計算されます。
一般的に4ヶ月後ぐらいに振り込まれる
出産手当金と聞くと、「出産したらすぐにもらえる」「産休中にもらえる」というイメージを持つと思いますが、実際に口座に振り込まれるまでには時間がかかります。出産手当金を申請できるのは、産休終了後になります。そこから支給されるまでには2週間から2ヶ月くらいはかかるので、産休に入ってから出産手当金が支給されるまでには、だいたい3〜4ヶ月程度かかります。 出産手当金を申請するタイミングは、産後56日を過ぎて産休に入ってからということが多いと思います。これは医師または助産師に出産を証明してもらう証明書と、産休中に給料の支払いがないことを証明する書類を勤務先に発行してもらうことが必要になるためです。そのため多くの場合申請ができるのは、育休に入ってからとなり、実際に出産手当金が支給されるのは出産後2ヶ月以上経ってからということが多いようです。 しかし、産前と産後の出産手当金の申請を分けて行うと、出産後すぐに産前分は申請できるので、通常よりも早く受給することができます。会社の事務処理の締め日によっては、最短で2週間ほどで受給できる場合もあるので、産休に入るまでに勤務先に相談して、しっかり確認しと良いでしょう。
書面で通知が来てから振り込まれる
出産手当金の申請後、支給が決定すると、加入している保険組合からハガキで「出産手当金支給決定通知書」が自宅宛に送られてきます。この通知書には、支給日と支給額が書かれています。出産手当金支給決定通知書が自宅に届かない場合は、会社に届いていることがあるので、一度会社に確認してみましょう。
出産手当金の計算方法
標準報酬月額を基準とする
出産手当金の計算方法は、平成28年4月から変わり、支給が開始される前12ヶ月の標準報酬月額を基に計算されるようになりました。標準報酬月額とは、給与明細に記載されている「総支給額」や「手取り金額」とは異なり、健康保険や厚生年金の保険料や、年金や手当の受給額を決定するときに、計算の基となる給与を区切りの良い幅で区分した額です。 標準報酬月額は毎年1回7月に、4月から6月までの給料の総支給額を平均した額で、給料に大きな変動がない限り1年間変わりません。出産手当金の受給額も、この標準報酬月額を基に日給額を算出し計算されます。
日給の2/3に産休日数をかけたものが支給額となる
出産手当金の支給額は、「1日」ごとに計算を行います。日給額は標準報酬月額を30日で割った数字です。つまり、標準報酬月額の日給の計算式は「直近12ヶ月の標準報酬月額の平均÷30日」となります。出産手当金の支給額は、「日給×2/3×産休日数」で計算されます。 標準報酬月額は給与明細などに記載されていないので、直近12ヶ月の標準報酬月額を計算するのは難しいと思います。そこで、標準報酬月額がわからなくても、出産手当金の額を計算することができる、無料の計算ツールがオンライン上に存在しています。そのツールを活用すると、「出産予定日」「子どもの数」「勤め先の都道府県」「毎月の額面給与」を入力するだけで、簡単に出産手当金の額が計算できるのでおすすめです。
産休中は出産手当金をうまく活用しよう
出産手当金は、産休中の収入を保障してくれる制度です。産休の期間に応じて支給されるので、産後に申請してお金が実際に振り込まれるまでには、2ヶ月ほど時間がかかります。産休に入ってから出産手当金が支給されるまでの間、収入がない状態になってしまうので、事前に貯金しておくなどお金の準備も忘れないようにしてください。 また特に産後は慌ただしくなるので、申請の手続きが遅れてしまう恐れがあります。申請が遅れると、出産手当金が支給される時期も遅れてしまいます。申請の準備も出産前にしっかりして、出産手当金を上手に活用しましょう。
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