年金と生活保護は両方もらえるのか。受給するためにルールを知ろう

生活保護を受けている場合、高齢になって年金受給が始まると生活保護の金額が停止してしまうのか不安になることでしょう。「いっそのこと年金保険料を滞納してしまおうか」と、悩むこともあるかもしれません。受給に関するルールを知り、不安を取り除きましょう。

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生活保護と国民年金の受給ルール

年金は収入として見られる

年金は収入としてカウントされます。そのため年金で支給される額が、生活保護で受給している金額を上回れば、生活保護はストップします。 しかし生活保護と年金受給の併用は可能です。老齢年金、障害者年金、遺族年金の受給額が生活保護の金額を下回るようならば、その差額分の受給が可能になります。 年金の支払いを滞納しておいて、生活保護を受ければよいと考える人もいるかもしれません。しかし年金を受け取りながら生活保護を受けることはできますが、年金収入がないからといって生活保護を受けられるとは限りません。できることならば、生活保護から抜け出す方法を考えたほうが安全だと言えるでしょう。

年金をもらい始めたら申請が必要

年金をもらい始めたら、収入報告をしなければなりません。もししなかった場合、生活保護自体が不正受給とみなされてしまいます。 不正受給とみなされた場合は、法律上3つのパターンで処遇されます。法63条ではやむを得ない事情があったとして、不正受給とみなされず差額分が返還金となります。たとえば子供が親に内緒でアルバイトをして収入を得てしまったなど、悪意が感じられないケースがこの法63条にあたります。 法第78条では、不正受給として隠していた収入の額に上乗せして返還しなければならないケースです。この場合、生活保護が廃止されるわけではなく、生活に困窮していれば継続して生活保護は受けられます。 法第85条の場合は、悪質ありとされ詐欺罪などで警察に告訴されます。いずれにしろ、年金をもらい始めたら忘れずに申告をしましょう。不正受給が発覚したときのリスクのほうが大きいのは確かです。

年金が入れば生活保護支給額は減る

生活保護を受けるためには、最低生活費を下回っていなければなりません。最低生活費というのは、厚生労働省が定めたもので、居住地域や世帯人数、家族の年齢などをもとに定めています。基本的にこの最低生活費というのが、イコール生活保護支給額となります。 最低生活費は、収入があればその額を差し引いたものが支給されます。そのため最低生活費が13万円で、もしも年金の受給額が5万円ならば、差し引き8万円が生活保護の支給額となるのです。 最低生活費という上限が決まっているので、年金収入が入ったら得か、損かということはありません。

年金をもらっていても生活保護申請は可能

年金と生活保護申請の併用は可能かといえば、可能です。年金制度自体が、農業で働く人をもとに作った制度であり、老後も働くことを前提とした額となっています。そのため、国民年金の支給額のみで実際の生活をしていくことは厳しいです。 たとえば国民年金を夫婦で受給している場合、一ヶ月の年金収入は約10万円ほど。アパートなどで生活していれば家賃も払わなければならないので、どう考えても貯金がなければやっていけません。そのような場合に年金を受給しながら生活保護を受けることができます。

年金未納があっても生活保護は受けられる

生活保護を受けようとする人は、そもそも生活に困窮しているので年金が未納の場合も多くあります。その場合、生活保護は受けられるのでしょうか。 答えは、「受けられる」です。それならば年金保険料を支払わずに、生活保護を受ければよいのではと考える人もいるかもしれませんが、生活保護は必ず受けられるとは限りませんし、さまざまな制約が付くことになります。可能な限り、年金保険料は支払ったほうがよいです。 国民年金保険料の支払いが難しい場合は、申請することで所得に応じて年金保険料支払いの免除(猶予)や減免を受けることができます。それらの制度を利用しつつ、まずは自立した老後を目指しましょう。

高齢者が生活保護を受給するための条件

自動車は保有できない

生活保護を受給すると、生活にさまざまな制限がかかります。たとえばそのひとつが、自動車の保有です。自動車を保有してみるとわかりますが、ガソリン代だけではなく自動車には付随して自動車税、車検代、駐車場代、保険料、修理代などさまざまな維持管理費用がかかります。 最低生活費の中で自動車を保有することは難しいのです。また万が一事故を起こしてしまった場合に保険料を払っていなかったなど、高額の賠償責任を負いかねないことが挙げられます。そして、世の中には生活保護を受けずに生活を切り詰めて、がんばっている世帯が多くあります。 生活保護を受けていない低所得世帯からみれば、生活保護を受けながら車を保持していれば非難したくなるでしょう。それらの理由から、基本的に車の保有は認められていません。 ただし、それはあくまで原則であって、山あいのへき地で車がないと生活できない場合や、自営業をしていて車がないと仕事が廃業に追い込まれてしまう場合、身体障害者で通院などに車がどうしても必要となる場合などは例外として、車の所持が認められています。

不動産のローンを生活保護で返済してはいけない

住宅ローンを支払っている場合は、生活保護を受給することが難しくなります。なぜなら、生活保護は「生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」と定義しています。 そのため住宅ローンを支払っている場合は、その住宅という資産を活用してくださいとなるのです。受給したい場合には、住宅ローンを停止して競売待ちとすれば生活保護を受けられます。 また農地や山林といった事業用不動産の場合はどうでしょうか。基本的に保有は認められていますが、こちらも生活保護の支給額をローン返済に充てることは認められていません。

働ける場合は働く必要がある

生活保護を受けていても、働ける場合には働く必要があります。しかし、就職が決まったからといって必ず生活保護が打ち切りになるわけではありません。就職で得る収入により、保護費の減額、保護停止、保護廃止のいずれかが決定します。 たとえば、生活保護を10万円受給している人が、10万円の収入の仕事に就いたとしたらどうでしょうか。少し考えれば働かなくても10万円もらえるのだから、働かないほうが得ではないかと思ってしまいます。しかし生活保護には基礎控除という仕組みがあるため、それほど単純な計算ではありません。 基礎控除というのは、働いて得た収入のうち一定額は、収入として換算せず保護費を減らさないというものです。10万円の給与収入で、基礎控除が2万円の場合を想定して説明してみます。 10万円から2万円の控除を引くと8万円、これが保護費の減額分です。しかし無職のときには保護費のみ10万円でした。給与収入10万円にプラスして保護費2万円を受け取ることができるので、就職後、月々手元には12万円が残ることになります。 また停止と廃止の違いですが、停止は期限付きの保護停止なので、再び困窮状態となったときに生活保護をすぐに再開できます。しかし廃止となってしまうと、保護申請を最初からやり直さなければならないため生活保護再開に時間がかかります。

金融資産は生活費に充てなければいけない

預貯金や、生命保険がある場合は、その額によって生活保護の申請が却下されてしまうこともあります。まず申請する時点での預貯金ですが、1ヶ月の生活保護支給分の半分以下なら預貯金を保持していても大丈夫でしょう。 これは生活保護の申請を出してから、申し出が通るかどうか結果がわかるまでに2〜3週間くらいは時間がかかるためです。その期間の生活に使用するお金として1ヶ月の生活保護支給分の半分程度なのです。自治体によって異なりますが、5万円〜15万円くらいの預貯金は認められると考えてもよいでしょう。 そして裏を返せば、生活保護を受ける頃には預貯金がゼロになっているということです。生活保護は最低限の生活のための支給なので、財産を保持することはあり得ません。申請した頃とは別の銀行の口座を作ってそこに預金したとしても、役所はそれらを調べ上げることができるので、発覚した場合には問題となります。 生活保護の受給額は、すべて生活するための資金に充てなければならない。それが生活保護のルールです。

扶養義務者からの扶養を受ける

もしも兄弟や子供がいる場合には、扶養義務者からの扶養を受けるように役所などからいわれるかもしれません。たとえば15年連絡を取っていなかった息子などに、福祉センターから「父親が生活保護を受けているので扶養義務があります」と連絡がいってしまう場合があります。 民法877条1項には、確かに子供の親に対する扶養義務に関して記載があります。また生活保護法にも、扶養義務に関する扶助は、生活保護に優先する旨の記載があります。 しかしここでの優先とは、あくまで扶養義務者から仕送りなどがあった場合には、それを収入として換算し、生活保護の減額や停止、廃止を考えるというものです。 扶養義務者にとって、仕送り等をすることで生活に無理が出てしまったりするようならば、扶養する義務はありません。また余裕があっても本人たちが援助をしたくないのなら、強制的に仕送りさせることはできないのです。 「生活保護を受ける前に、一度ご家族に相談してみてはいかがでしょうか」くらいに役所の言葉を受け取っておくとよいかもしれません。

自分の足で申請に行く必要がある

生活保護は申請により受理されます。そのため、自らが生活保護を勝ち取るために動かなければなりません。まずは自分の足で申請に行くことが重要です。 生活保護費は各自治体が拠出していますが、厳しい財政難のところが多いため、生活保護の申請はうれしくありません。そのため役所では水際対策が取られることが多いのです。「扶養してくれる人がいるのならお願いしてみてはいかがですか」など体よくあしらわれてしまうことも。 そこでおすすめなのが、申請の際は誰かに付き添ってもらうことです。本来なら申請されたら受理しなければいけないのが役所です。水際対策に勝つためには、親族でも友人でも味方を連れて行ったほうが申請が受理されやすくなります。 また意外に重要なのが、はっきりと「生活保護申請をしたい」と伝えることです。そうでないと、対応している人がただの生活相談だと受け取っている可能性があります。 最後に、多くの自治体では窓口で簡単に保護申請書を渡してはくれません。そのため事前に申請書を作成して持っていくのです。申請書の正しい書式はないため、インターネットなどで探せば、別の地方自治体のサイトなどでダウンロードできたりします。そちらに必要事項を記入して、役所に持っていきましょう。 窓口が申請書を受け取らないのは違法行為になります。そのためここまで用意して行けば、たいていの場合申請は受理されるでしょう。

年金が少ない場合は生活保護を申請しよう

最低生活費よりも年金の受給額が低い場合には、生活保護の申請を考えてもよいかもしれません。生活保護を受給するにはさまざまなルールがあり、預貯金ができなかったりもしますが、生きるか死ぬかで悩む必要はなくなります。 最初から生活保護を頼って、年金保険料を滞納したりするのはよくありませんが、正攻法でいっても生活に困窮するようならば、生活保護を申請しましょう。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。