年金が差し押さえになる対象者と条件は?回避する方法を知っておこう

年金保険料を納めていないと、差し押さえになるのではないかと不安に思っている方は多いです。実際に強制徴収が行われて差し押さえになった方はいます。不安な方は、年金の差し押さえ対象者や条件について、そして回避する方法を知っておくことが大切です。

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差し押さえ対象者になってしまう条件

年金保険料の未納期間が長い

厚生労働省と日本年金機構は、国民年金保険料の未納対策を強化しています。そのため、年金保険料の未納期間が長いと財産差し押さえの対象者となって強制徴収されるのです。 強制措置の対象は年々拡大されています。2013年度は13ヶ月、15年度は7ヶ月、18年度は7ヶ月。以前までは「13ヶ月以上の未納」が差押対象者の条件でしたが、「7ヶ月以上」へと拡大。低迷している納付率の引き上げに熱心に取り組んでいる姿勢を示すことで、年金制度に対する信頼を維持する狙いもあるようです。

強制徴収の対象拡大は3年連続

15年度以前までは「所得400万円以上かつ未納7ヶ月以上」が対象になります。16年度には「所得の基準が350万円以上」に拡大。17年度には300万円以上にまで広げるとともに、新しく対象になった300万円〜350万円の層にいたっては、未納月数の基準を13ヶ月にしていました。 そして、18年度の変更により、300万円〜350万円の層も未納7ヶ月以上で強制措置を受けることになるのです。強制徴収となった差し押さえ対象者は、現在30万人を超えていますが、今回の措置により新たに数万人が対象に加わるとみられています。ちなみに、年金保険料の納付率は60%くらいで低迷中。2015年には63.4%となって前年度よりも上昇しました。改善は4年連続で、表面的な数字としてはわずかながら改善の傾向にあるといえるでしょう。

督促状を何度も無視している

年金保険料を納付していないと催促状が届き、その催促状を何度も無視していると差押になります。まず届くのは、「特別催告状」です。ちなみに、催促状の封書は青色→黄色→赤色という順番で届きます。青色は初期段階であり、赤色は自体が深刻だという警告です。 特別催告状が届いても無視を続けた場合、実際に差し押さえ実行になるまで5つの段階があります。「特別催告状→最終催告状→督促状→差押予告→差押実行」です。最終段階の近くになる前の特別催告状の時点であれば、対策をたてることは可能。年金機構に相談すると、払えない場合の免除または猶予の申請や分割払いにするなどの対策をとってくれるので、早いタイミングで年金機構に相談しましょう。

最終督促状を無視した場合

最終督促状が届いても保険料を納めずに無視した場合は、「督促→納付督励→差押予告→財産調査→差押実行」のステップを取り、確実に財産が差し押さえになります。差し押さえを免れたいのであれば、期限内に保険料を納付するか、特別催告状が届いた時点で、早めに年金機構に相談するべきです。 保険料の納付は2年で時効にはなりますが、督促状が届いた時点で年金の時効はストップします。逃げ切るのは不可能なので、期限内に保険料を納めなかった場合は、保険料を納めるか(場合によっては利子を足す必要がある)、財産を差し押さえになるかの2拓しかありません。

年間の所得が多い

強制徴収は年々厳しくなっています。2015年度に差し押さえになった件数は7,000件に対して、2016年度になると1万4,000件に差し押さえ件数が増加。約2倍ほど増加したということです。 例えば、2013年度には年間所得400万円以上で13ヶ月以上未納している13万人に対して督促状を送付。15年度になると年間所得が400万円以上で7ヶ月以上未納している方に督促が行われ、対象者が20万人になる見込みです。さらに、18年度は年間所得が300万円以上で7ヶ月以上未納の方にも督促を実施する予定となっており、国(厚労省)はますます強制徴収に力を入れています。

車や持ち家の財産がある

車や持ち家の財産があると、支払能力があると判断されるので、年金保険料を支払わないと特別催告状が届きます。そして無視を続けて未納分を納めないと、差し押さえになってしまうので注意しましょう。 そして本当に差し押さえが実行されてしまうと、口座や車や持ち家などの財産が差し押さえになってしまいます。本人に支払い能力がなく、保険料の未納分や延滞金が支払えない場合は、連帯納付義務者も財産が差し押さえになってしまうので、配偶者や親や家族や世帯主など、周りの人たちにも多大なる迷惑をかけてしまうのです。

口座に資金がある

口座に資金がある場合も、支払い能力があると判断されるので、年金保険料を納めないと特別催告状が届きます。そして次々と届く催促状の無視を続けると、口座が差し押さえとなり口座が凍結されてしまうのです。口座に資金があって支払い能力があるのに支払いを無視していると判断されるので、差押通知書が届き、銀行口座の差し押さえが実行されて残高が0円になってしまいます。 保険料を納める手続きがすべて完了するまでは差し押さえが解除されないので、銀行口座も凍結したままです。凍結解除をしたければ、口座にある資金から年金を納めるしかありません。差し押さえになる前であれば、分割払いなどの相談に応じてくれた可能性もありますが、差し押さえとなってしまった場合は、全額支払いでないと差し押さえを解除できないという可能性が高いです。催促状が届いたらすぐに保険料を納めるか、年金事務所に相談したほうがいいでしょう。

資産の年金差し押さえを回避する方法

保険料を遡って全額払う

年金保険料の支払は国民の義務なので、必ず支払わなくてはいけません。保険料を滞納し続けると資産が差し押さえになってしまいます。差し押さえを回避したいなら、保険料を遡って全額払うようにしましょう。収入が少なく支払えない場合は、すぐに日本年金機構に相談してください。 20歳〜49歳で収入が少ない方を対象にした「若年者納付猶予制度」が利用できる可能性があります。若年者納付猶予制度は、完全に保険料が免除されるのではなく、執行猶予が認められた期間の保険料なら、10年以内であれば追納することが可能だという制度です。また、学生の場合は10年の猶予期間がもらえる「学生納付特例制度」を利用することも可能。経済的に支払いが苦しいのであれば、これらの猶予制度が利用可能かどうかを日本年金機構に相談してみましょう。

猶予制度の審査基準

若年者納付猶予制度の場合は、「(扶養親族などの数+1)×35万円+22万円」という計算式で算出した金額が審査基準。実家暮らしでフリーターの場合は、年間所得が57万円以下であればこの猶予制度を利用できます。 学生納付特例制度の場合は、「118万円+扶養家族などの数×38万円+社会保険料控除など」という計算式で算出した額が審査基準。家族の所得は問われないので、1人暮らしの学生の場合は、前年度の所得が118万円以下であれば保険料を全額免除できます。

社会保険事務所で免除申請を行う

年金保険料の支払いが難しい場合、猶予制度の利用の他に免除申請を行える可能性があります。失業によって以前よりも大幅に収入が減ってしまった場合、無収入の場合、借金がある場合など、特別な事情がある場合であれば社会保険事務所で免除申請を行うことが可能です。 年金窓口だけではなく手続き書類を郵送して申請することも可能。郵送する場合の申請書類は、日本年金機構のホームページやねんきんネットのページからダウンロードして入手することができます。免除額は、全額免除、4/3免除、半額免除、1/4免除の4種類。それぞれの審査基準は以下のようになります。

免除額の審査基準

☑ 1.全額免除→(扶養親族などの数+1)×35万円+22万円 ☑ 2.3/4免除→78万円+扶養親族の控除額+社会保険料の控除額等 ☑ 3.半額免除→118万円+扶養親族の控除額+社会保険料の控除額等 ☑ 4.1/4免除→158万円+扶養親族の控除額+社会保険料の控除額等 上記の計算式で算出した額が免除額の審査基準になります。例えば、独り身で扶養親族もいない場合は、全額免除となるのです。

なるべく早く期限内に支払う

年金未納者に対しての罰則は年々強化されています。年金保険料を滞納して差し押さえにならないように、なるべく早く期限内に支払うことが大切です。特別な事情がありどうしても納付できない場合は、猶予制度や免除制度を適用できないかを早めに相談するようにしましょう。 保険料の未納分については、原則として過去2年間まで遡って支払うことができます。2年を超えると時効となるものの、その前に督促状が発行されて時効が中断になるので、時効はほぼないと考えた方がいいでしょう。

分割でも払う意思があることを示す

日本年金機構が財産状況の調査をした結果、本人もしくは本人の配偶者や本人の世帯主等に支払い能力があるのに年金保険料を滞納していると判断した場合(督促状を送っても無視を続けた場合)、差し押さえが実行されます。差押予告通知書が届いたら、支払う意思があるかどうかの最終確認だと思いましょう。これを無視したら差し押さえになります。 滞納を続けると、納めなければいけない金額がどんどん溜まってしまい、払うことが余計にに困難になってしまうので、そうなる前にすぐに日本年金機構に相談しましょう。その場合、分割でも払う意思があることを示すことが重要なポイントです。早めに相談し、支払う意思が伝われば、分割払いが認められる可能性があります。

未納期間は半年以内にとどめる

2018年度には年間所得が300万円以上で7ヶ月以上未納の方にも督促を実施する予定なので、未納期間は少なくとも半年以内にとどめるようにしましょう。もちろん未納期間がなく期限内に納付するのが1番です。 未納期間が長くなれば督促状が届き、そのまま無視を続けると最悪の場合差し押さえになります。まだ、「特別催告状」の初期段階の書類が届いた時点で対応できれば、穏便に済ませることができますが、特別催告状が複数届いてもすべて無視し続け、最終催告状が届くようになったら、猶予制度や免除制度や分割払いなどの対応は難しくなります。1番は期限内に納付すること、それができなければ未納期間を半年以内にとどめること、そしてどうしても支払いができない場合は特別催告状が届いた時点で対策をとることが大切です。

保険料は欠かさず納めよう

年金保険料の未納期間が長くなると、最悪の場合差し押さえ対象者になります。督促状が届いているのに無視を続けている方は要注意です。なるべく早く保険料の滞納分を全額を納めるか、日本年金機構に相談して対策をとるようにしてください。 年金の納付は国民の義務なので、無視することはできません。保険料は欠かさず納めるようにしましょう。期限内に納めるのが一番ですが、どうしても支払えないという方は、猶予制度や免除制度や分割払いができるかどうか早めに相談することが大切です。