遺族年金受給中、家族の扶養になる為の条件と、そのメリットを知ろう

最近は、遺族年金を受け取りながら、家族の扶養になることも考える人が増えていますが、どんなメリットがあるのか、また条件はどんなものか、分からないことも多いはず。遺族年金を受給しながら、扶養家族になる仕組みを学んで、損のない老後を送りましょう。

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遺族年金を受けながら扶養に入るための条件

合計所得金額が38万円以下

遺族年金を受給しながら扶養に入るための条件として、所得税法上により、扶養親族になるためには、合計所得金額が38万円以下である必要があります。合計所得金額というのは、収入から必要経費を引いた金額になりますが、遺族年金は非課税所得のため、収入とはみなされません。また、103万円が限度額だと耳にすることがありますが、この限度額は給与所得者の場合であり、扶養の可否は収入ではなく、所得を参考にします。 これは、「給与収入103万円=給与所得控除の最低額65万円+基礎控除38万円」という計算で成り立っており、非課税限度額である、扶養に入れる限度額38万円とは基礎控除の額のことを指します。このことから、遺族年金を103万円以上もらっていても、非課税のため収入にはなりません。ただし、同じ年金でも、基礎年金や厚生年金、老齢年金などは雑所得となるため、課税の対象になります。

生計を共にしている

遺族年金や、養わなければならない家族(被扶養者)がいる場合、年金の増額を受けるためには、遺族や被扶養者が一定の要件を満たす必要があり、この要件を判断する基準を生計維持要件と呼びます。特に、遺族年金を請求する場合は、死亡当時に死亡者との間に生計維持関係があったかどうかが、とても重要になります。生計維持されているかどうかは、生計同一要件と収入要件の二つを満たす必要があります。 生計同一要件については、次の条件があげられます。 ☑1. 住民票上同一世帯であること ☑2. 住民票上の世帯は別だが、住所が住民票上同一世帯であること ☑3. 住所が住民票上異なるが、現に起居を共にし家計も同一であること ☑4. 単身赴任や就学などで住所を別にしているが、仕送りなど経済的援助と定期的な音信が交わされていること ひとつ屋根の下で生活していない場合でも、単身赴任家庭の多くや、下宿している学生などは、生計同一要件を満たしています。その他、両親が離婚して母親に引き取られた子など、定期的に別居した父親と面会し、養育費等を受け取っている場合でも、父と子は生計同一であると認定されることもあります。 ただし、内縁関係の場合は、正式な婚姻ではなく、事実婚であると認定されなければ、生計同一要件は満たせません。収入要件については、次の条件があげられます。 ☑1. 前年(前年分が確定していない場合は、前々年分)の収入が850万円未満、もしくは所得が655.5万円未満であること ☑2. 上記に該当しなくても、近い将来(大体5年)以内に、上記の収入や取得が見込まれること ただし、一時的な収入や所得は除外され、前年の収入や所得に関わらず、定年退職や事業の廃業等によって、大体5年以内に年収が850万円、もしくは所得655.5万円に満たなくなることが見込まれる場合も、収入要件を満たすことになります。

別居でも仕送り金が130万円未満

被扶養者には、いくつかの条件を満たすことで認められます。被保険者の収入で生活しながら、同居をしている人で60歳未満の場合は、年収130万円未満が条件となり、被保険者の年収の半分未満(60歳以上の人、もしくは障害者の場合、年収180万円未満、被保険者の年収の半分以下)が条件になります。 一方、家族と別居をしている60歳未満の場合は、年収130万円未満(60歳以上の人、または障害者の場合、年収180万円以下)で、被保険者からの仕送り額の方が被扶養者より多いことが条件となります。

16歳以上の親族であること

16歳以上(義務教育修了後)から、60歳未満(配偶者を除く)は、就労可能な年齢であると判断され、被保険者の経済的支援がなくても、自立して生活できるとされています。このため、もしも被扶養者になるためには、就労できない状態にあることを証明し、ほとんどの生活費を被保険者が援助する必要がある状態だ、ということを申告することが必要です。 被扶養者の範囲は法律で決定されているため、被保険者と同居の不要な人と、同居が必要な条件の人がいます。また、被扶養者として認められている人は、三親等内親族のみになります。

被保険者と同居、または別居していてもいい人

配偶者(内縁を含む)、子、孫、兄姉弟妹、父母など直系尊属

被保険者と同居が条件の人

三親等内の親族(義父母など)や、被保険者の内縁の配偶者の父母や連れ子 もしも被扶養者が外国人の場合は、原則として、日本国内に居住している場合に限ります。扶養審査の申請のときに、家族滞在ビザや、外国人登録証の取得がない場合は、原則として認定対象外となります。また、同居とは、被保険者とその家族が同じ家の中に住んでいることを指します。 同じ敷地内でも、住所表示が異なる場合は同居と認められず、同居していても、お互いに独立した生活を送ったり、生活や食事の費用など家計が別々の場合は、同居と認められません。

子供の扶養に入ることのメリット

所得税や住民税が安くなる

所得税法の扶養親族となった場合、扶養控除が適用されるので、所得税や住民税が安くなることになります。税制上の扶養制度の場合、所得税と住民税に大きく関係し、扶養する親族の状況により、税金控除額が変わり、両親を扶養に入れることで、控除額が増えるため、所得税や住民税を安くできる可能性があります。 遺族年金は非課税のため、いくら遺族年金をもらっていたとしても、控除対象扶養親族の要件を満たしていれば、所得控除を受けることができます。税法上は、国民年金からの遺族年金と、厚生年金保険からの遺族厚生年金ともに非課税のため、収入にはなりません。そのため、遺族年金が年間38万円を越えたとしても、他に収入源がなければ、その収入は0円となり、所得も同じく0円になります。 遺族年金は収入に含めず、控除対象扶養親族の条件を満たしていれば、扶養控除の対象となります。所得税、住民税の節税効果としては、例えば子供の年収が500万円の場合だと、両親(父親63歳・母親62歳)を扶養家族にすることで、所属税が約5万8,000円、住民税が約7万1,000円の節税効果が期待できます。

健康保険料を払う必要がなくなる

子供の扶養に親を入れることで、社会保険の面で親の保険料の負担がなくなります。親が子供の扶養に入ることで、子供の払う保険料は変わりませんが、親が自分たちで支払っていた保険料を、わざわざ払う必要がなるため、保険料の支出が減ります。扶養家族になると、国民健康保険から、子供の健康保険へ扶養者として切り替わり、その最大のメリットは健康保険へ無料で加入できる点です。 健康保険料は、被扶養者がいる場合やいない場合も、扶養者の年収によって決められます。そのため、被扶養者が遺族年金をもらっていたとしても、扶養者の健康保険料が変動することはありません。その上、遺族年金の受給者の年収が、被扶養者の条件よりも多い場合は、被扶養者の対象から外れるため、受給者が保険料を支払わなければならない可能性もあります。

子供は会社から扶養手当が貰える

親を扶養に入れると、扶養親族が増えることから、会社から扶養手当が支給されるというメリットがあります。扶養手当は、年収130万円未満の扶養親族がある場合、条件を満たせば支給されますが、個人の申し出が必要になります。 この年収とは、所得ではなく収入を指し、公的年金、遺族年金、企業年金、生命保険会社などの個人年金も含まれます。また、扶養手当の受給条件については、いくつか注意事項があるので気をつけましょう。 ☑1. 夫婦いずれも収入がある場合は、原則として収入の多い扶養親族とします。ただし、収入が同程度である場合は、多い方の収入の1割以内の差であること。 ☑2. 遺族年金、恩給、障害者年金、企業年金、生命保険会社の個人年金などは、所得証明書には掲載されないが、のちに税務署の調査で分かる場合があるので、必ず本人に有無を確認すること。 ☑3. 別居の父母など(配偶者や子はのぞく)、父母などの全収入(父母などの収入+会社職員の送金の額+その他の者の送金の額)の1/3以上を会社職員が負担していること。 ☑4. パートやアルバイト、月収が変動する職種(保険の外交員など)の場合は、変動する月収の3ヶ月平均月収が130万円の1/12であり、その月収が継続するかで判断されるため、毎月の給与の金額をしっかりと把握すること。

子供の扶養に入る際の注意点

健康保険法上の年収には遺族年金が含まれる

健康保険法上の年収には、遺族年金が含まれ、遺族年金が年に130万円以上で、被保険者本人の年収の1/2以上になると、年収基準がオーバーするため、被扶養者にはなりません。また、障害年金を受給している家族がいる場合、条件を満たせば扶養家族になることが可能です。遺族年金を年収とみなすか否かは、所得税法と健康保険法では異なり、所得税は扶養になりますが、健康保険では扶養にはならないので、注意が必要です。 被扶養者として認められるには、いくつかの条件をクリアする必要があり、年収には公的年金(遺族年金など)、傷病手当金、基本手当(失業手当)なども含まれます。また、条件として、被保険者と同居が必要な場合と、同居と別居のどちらでも問題がないケースがあります。

同居が条件の場合(三親等内の親族、内縁の配偶者の父母や連れ子、内縁の配偶者死亡後のその父母や連れ子など)

60歳未満は年収130万円未満、かつ、被保険者の年収が半分未満であること。また、60歳以上は年収180万未満で、かつ、被保険者の年収が半分未満であること。

同居、別居でも問題がない場合(配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母など直系尊属など)

60歳未満は年収130万円未満、60歳以上は年収180万未満で、かつ、被保険者からの仕送り額の方が、被扶養者となる人の年収よりも多いこと。

雑所得は課税の対象になる

公的年金等については、雑所得として課税の対象となるため、一定金額以上を受給するときは、所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されているため、確定申告を行った後で税金の過不足を精算する必要があります(障害年金や遺族年金は非課税)。年金受給者には、確定申告手続に伴う負担を減らすため、公的年金等に係る確定申告不要制度が設けられており、多くの方が確定申告を行う必要がなくなっています。 公的年金とは、国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)や、恩給(普通恩給)、過去の勤務に基づき使用者であった人から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金などを指します。 また、公的年金等にかかわる雑所得以外の所得は、生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金や、給与所得、生命保険の満期返戻金などを指します。 確定申告不要制度の対象者は以下のとおりです。 ☑1. 公的年金などの、収入金額の合計額が400万円以下、その公的年金などの全部が源泉徴収の対象となる場合。 ☑2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が、20万円以下である場合。 源泉徴収の対象となる公的年金などの、収入金額の合計額が400万円以下でも、公的年金などにかかわる雑所得以外の所得金額が、20万円を超えると、確定申告を行う必要があります。その他、外国において支払われる公的年金などは、源泉徴収の対象とならず、この支給を受けている人は、確定申告をしなければなりません。

給与所得者の扶養控除等の申告書に記入が必要

遺族年金受給中の人を扶養控除対象とした場合、遺族年金は所得ではないため非課税となり、遺族年金の受給以外に収入がない場合は、その年齢や状況などにより扶養控除対象者になります。一般的には、年末調整の際に、扶養控除等(異動)申告書に、扶養控除ありと記入して、申告することで扶養控除が適用されます。しかし、扶養控除対象者の条件を満たしている必要があるため、申告前に対象の可否を確認しましょう。

申請には自分の課税証明書が必要

扶養控除等(異動)申告書を提出して、確定申告を行うときには、忘れずに確定申告書の(配偶者(特別)控除・扶養控除)欄に記入して、提出します。また、遺族年金受給者の年齢や状況などにより、扶養控除対象であるかどうか、また控除額についても年度により変更する可能性があるので、申告の際には随時確認が必要になります。 各管轄税務署には、確定申告に関する相談窓口があり、必要な書類や提出物、また申告書の不備などを事前に確認することができます。また、遺族年金の受給額や算出方法などについて、分からないことや相談などがある場合は、管轄の日本年金機構に問い合わせしましょう。

扶養控除を利用して税金を安く済ませよう

遺族年金を受給しながら扶養家族に入り、扶養控除を利用することで、健康保険や節税など、多くのメリットを得ることができます。遺族年金受給中の親と同居していたり、生活費の仕送りをしているという場合には、家族の遺族年金以外の収入がどの程度なのか確認して、所得税などの扶養親族にできるかを検討してみましょう。また、家族の国民健康保険を支払っている場合にも、社会保険料控除の対象になります。 遺族年金を受給しながら、扶養家族に入ることにより、健康保険や節税など、たくさんのメリットがあります。自分や親の将来を一緒に考慮し、扶養控除を利用して、税金を安く済ませ、同居する世帯の所得税や住民税の節約にも繋げていきましょう。