高額医療費貸付制度を有効活用。事故負担を減らして治療に専念しよう

家族が病気になったとき、気になるのはお金です。通院費用を給付してくれる民間の医療保険は頼りになりますが、保険料は決して安くありません。急な病気もサポートしてくれる公的制度「高額医療貸付制度」の仕組みを知って、心配ごとを減らしましょう。

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高額医療費貸付制度を利用するには

国民健康保険の高額医療費貸付制度

国民健康保険では、医療機関から請求された金額の「高額療養費に該当する金額の9割」を貸し付けてもらえます。ここで注意したいのは、現金を貸し付けしてもらうのではなく、自己負担以外の部分を国民健康保険から直接病院へ支払いをしてもらうこと(委任払い制度)になります。 ひいては、医療機関へ支払う本人の負担額は、その人が該当する高額療養費の自己負担限度額と残りの1割になります。「限度額適用認定証」がないため、本来は3割分全額を支払うべきところですが、本人が支払う金額を限度額近くに留め、支払うべき部分は国民健康保険と医療機関が直接やりとりしてくれるのです。

100万円の治療費を限度額5万7,600円のAさんが支払う場合

例えば、100万円の治療費がかかったAさんの自己負担額は3割負担で30万円です(Aさんの所得額で設定される自己負担額は57,600円とします)。「限度額適用認定証」があれば、57,600円の負担ですみますが、Aさんは提示が間に合わなかったので、いったん30万円を医療機関に支払わなければなりません。 つまり、限度額適用認定証がないことで、差額24万2,400円もの大金を一時的に負担するということになりました。これではあとの生活が大変になってしまいます。申請してお金が払い戻されるのは約3ヶ月後のため、翌月も治療を続けることが危ぶまれます。 このような場合に、国民健康保険の高額医療貸付制度は、Aさんの支払うべき「24万2,400円」の9割を直接医療機関に支払ってくれるのです。その結果、Aさんがその月に支払う金額は、限度額の57,600円とその1割分5,760円の63,360円まで抑えることができる、ということになります。このときAさんは、1割分を上乗せして支払っていますが、この金額は約3ヶ月後に払い戻しされます。

協会けんぽの高額医療費貸付制度

社会保険に加入している人の場合は、国民健康保険のような「委任払い制度」はありません。加入している企業から現金を無利子で「貸し付け」してもらえます。国民健康保険で委任払い制度を利用したAさんのケースを、社会保険の貸付制度に加入しているBさんに置き換えると次のような手順になります。

100万円の治療費を限度額5万7,600円のBさんが支払う場合

例えば、100万円の治療費がかかったBさんの自己負担額は3割負担で30万円です(Bさんの所得額で設定される自己負担額は57,600円とします)。「限度額適用認定証」があれば、57,600円の負担ですみますが、Bさんは提示が間に合わなかったのでいったん30万円を医療機関に支払わなければなりません。 ここまでは国民健康保険のAさんと同じです。やはりBさんは、限度額との差額「24万2,400円」を負担することになりますが、社会保険の場合は高額療養費支給見込額「24万2,400円」の8割分の「19万3,920円」が、申請から約2週間前後で「現金で貸し付け」られます。 Bさんが医療機関で支払うのは、自己負担額57,600円と貸し付けてもらった19万3,920円、そして残りの48,480円です。つまり、Bさんの財布からだした金額は10万6,080円になります。このあとは、医療期間から受け取った領収書をもとに、残りの2割を返金してもらう手続きをおこないます。

健康保険組合の高額医療費貸付制度

「健康保険組合」は、「協会けんぽ」とは運営形態が異なります。「協会けんぽ」は、厚生労働所が管轄していることから「政府管掌けんぽ」ともよばれ、組合を持たない企業や中小企業が加盟している協会です。 大企業(グループ企業も含む)のなかには、自分たちの会社で「組合」を作っているところがあります。どちらも同じ「社会保険」という枠組みですが、「保険者」の種類が「政府」か「企業」という大きな違いがあります。企業が作っている組合の保険は「組合けんぽ」とよばれ「政府管掌けんぽ」と大きく2分割されています。 「組合けんぽ」の母体は企業ですので、企業独自の考え方には違いがあり、企業によっては「高額医療費貸付制度」を設けていないケースもあります。自分が所属している組合に「高額医療費貸付制度」があるか一度確認してみてください。 所属している企業に「高額医療費貸付制度」がない場合は、治療を受けると同時に「限度額適用認定証」を発行してもらいましょう。

利用するときに気を付けたいことはあるの

必要な書類を揃えることを忘れない

高額医療貸付制度は、どのような形であれお金を一時的に「借りる」ことです。この制度を利用するためにはいくつかの必要書類があります。 国民健康保険に加入している人はお住まいの地域の国民健康保険の部署に、社会保険に加入している人は保険者に問い合わせをしてください。ホームページなどで申請書類のフォーマットを用意してくれているところもあります。

高額医療費貸付制度に必要とされる書類

☑医療機関が発行した医療費請求書または領収書 ☑被保険者証(保険証)または受給資格者票など ☑高額医療費貸付金借用書 ☑高額療養費支給申請書 このほかにも書類の提出を求められる可能性もありますので、申請手続きの前に加入している保険者に確認をとることも大切です。 また、請求書や領収書を紛失した場合、多くの医療機関では再発行はしてもらえません。別のフォーマットの証明書を発行してもらえる場合もありますが、書類代を請求されたり、作成までに時間がかかる場合もあります。

健康保険外の費用がでることもある

高額療養費制度・高額医療費貸付制度ともに、支給される対象は「健康保険の適用範囲内」に限られます。健康保険適用から外れ、自己負担しなければならないものの代表例は、「入院した場合の個室ベッド(差額ベッド代)」と「食事代」です。 食事代は1食が自己負担となり、差額ベッド代は個室・少人数の部屋によって金額が異なります。負担を最低限に抑えたい場合は、個室ではなく総室(6人から8人部屋)に入れてもらったり、退院する日の朝食は止めてもらうなどの工夫も必要です。

利用できるか市役所に確認する

国民健康保険に加入している場合、お住まいの市区町村によっては高額療養費制度がないところもあります。今後の備えを検討するためにも、今住んでいる地域に高額療養費制度があるか確認してみてください。もし高額療養費制度がない場合は、限度額適用認定証の発行にどれくらいの時間がかかるかなども確認しておきましょう。 また、国民健康保険の場合はあくまでも「国民健康保険料をしっかりと納入していること」が条件です。国民健康保険料の滞納があれば、高額医療費貸付制度は利用できません。過去に国民健康保険の滞納がないか、こちらも合わせて確認しておくと、いざというときに慌てる必要がなくなります。

先進医療は対象外

「先進医療」とは、厚生労働省が定めた「高度な医療技術を用いた治療」のことを指します。ガンなどの病気に有効とされる最新鋭の治療を受けることができますが、先進医療の問題は「まだ保険診療として認定されていない」ことにあります。つまり、先進医療とは「医療保険が使えない自己負担の治療」となります。 ひいては、先進医療は「高額療養費貸付制度の範囲外」となり、自己負担額と先進医療費用を合わせて支払うことになります。重篤な病気を懸念し、積極的に治療を受けたいと考える場合は、先進医療に対応する民間の医療保険に加入しておくことも検討してください。

支給は3ヶ月先

国民健康保険・社会保険のどちらも、全額貸付ではありません。窓口では「自己負担額+1割または2割」を支払います。多めに支払った分は必ず払い戻しされますが、お金が手元に戻るのは、受診月から約3ヶ月先になります。 これは、正確な医療費の計算を確定されるまでの期間です。診療月の翌月から、医療機関と保険者でそれぞれ1ヶ月かけて診療内容の精査がおこなわれるためです。 3ヶ月を経て診療費が正式に確定し、実際の診療費が貸付申請した金額を下回った場合は、貸付額をさらに返金しなければなりません。3ヶ月後、返金通知書が届く可能性があることも覚えておいてください。

高額な医療費に悩まないように制度を利用しよう

急な病気やケガは、年齢や性別を問わず誰にでも起きる可能性があります。大きな病気に備えてしっかりと保険をかけておくことも大切ですが、日本には「高額療養費」や「高額療養費貸付制度」のような公的制度がしっかりと備えられています。 民間の保険を複数かけておくことは、いざというケースのときには確かに安心です。しかし医療保険は決して安いものばかりではありません。たくさんの保険に加入する前に、このような「公的医療制度」の仕組みを知っておきましょう。