給与から毎月のように天引きされる厚生年金。働けば働くほど天引きされる額も大きくなるので、給与明細を見るたびにがっかりしてしまうことも。そんな厚生年金の仕組みや、払うことのメリットを知ることは大切です。知って老後に備えましょう。
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目次
なぜ厚生年金は高すぎるのか
年収が高いほど保険料も高くなるから
必死に働いて、昇格。給与も上がったと喜んで給与明細を見たら、天引き額も増えていた。そんなふうにがっかりした経験を、多くの人が持っているのではないでしょうか。 このように収入がアップするのに従って、厚生年金の保険料も自動的に上がってしまいます。厚生年金は、国がきちんと計算して定めているもので、金額はおおよそ収入の9%ほどです。 たとえば30万円の収入だとしたら、30万×9%=27,000で厚生年金保険料として毎月27,000円が引かれることとなります(計算を簡単にするために9%として計算しています。平成28年9月〜平成29年8月までの個人負担分の保険料率は9.091%です)。 この天引きは会社に言ったところで辞めることはできません。そのために、厚生年金保険料は給与から引かれることを前提として考えなければなりません。 しかし、厚生年金保険料を少しの工夫で少なくすることはできるのです。それは厚生年金保険料を計算する基準となる月の残業などを減らすことです。
標準月額の4月〜6月に残業を多くしてしまった
厚生年金保険料の計算は、どのようにされているのでしょうか。それは4月〜6月の標準報酬月額をもとに計算しているのです。 標準報酬月額とはなにを指すかというと、保険料額表に従って総支給額を等級分けした際の該当金額のことです。総支給額には基本給のほかに、役付き手当や通勤手当、残業手当などの各種手当ても含みます。 そのため個人が厚生年金保険料を減らそうと思えば、4〜6月の残業代や通勤手当を減らせばよいのです。そうはいっても実際には忙しい年度初め、なかなか残業代などを減らすことは難しい。むしろ、ほかの月に比べて残業を多くしてしまうこともあるでしょう。 しかし、毎月天引きされる金額の決定がかかっていると意識するだけで、ダラダラと仕事をしてしまうことなく、サッと仕事を切り上げることも出来るのではないでしょうか。早く仕事を切り上げる日を作り、メリハリのある仕事の仕方をしてみましょう。少しの工夫をすることで、毎月の天引き額が決まってしまうのですから。
少子高齢化が進んでいるから
年金制度は、自分のために保険料を払っているシステムではありません。若い現役世代が払った保険料は、高齢者の生活を支えるためにあります。そしていつか自分が年をとったときに、さらに若い世代に支えてもらうことを前提としています。 しかし現在の日本は少子高齢化が進んでいます。そのため、支える側(若者)の数が少なく、支えられる側(高齢者)の数が多いという非常にアンバランスな状況が今後も加速します。 これはどのような問題を引き起こすかというと、少人数で大勢を支えなければならないので、年金保険料が上がるのです。もしくは年金保険料を上げずにおけば、高齢者世代の受給額が自然と減ることとなります。 少子高齢化が今後も進んでいくことを考えると、今後もその状況に合わせて年金制度自体が変化していくことでしょう。実際に、年金受給年齢が変化しています。現在は65歳を基本として、支給開始年齢を60歳〜70歳のあいだで選択できるようになっていますが、今後は70歳以降にも選択幅が広がっていくかもしれません。
厚生年金保険料の基本ルール
25年間払う必要があったが10年以上に変更
厚生年金保険料は、これまで25年間払い続けていないと老齢年金を受け取ることができませんでしたが、改定され、資格期間が10年以上あれば、平成29年8月1日より老齢年金を受け取れるようになったのです。 では、もしも資格期間が10年に満たない場合は、年金を受け取ることが出来ないのでしょうか。これは任意加入制度というものを利用すれば年金を受け取ることができます。 任意加入制度というのは、本人からの申請が必要です。国民年金の場合は、60歳以上70歳未満の期間に足りなかった分の国民年金保険料を納めることで、資格を所得する方法です。 また厚生年金の場合ですが、会社に勤めていても70歳になると資格を失ってしまうのですが、申請することで資格を満たすまで任意で加入することができます。その際には基本的に保険料は全額自己負担となります。会社によっては労使折半してくれるところもあるので尋ねてみるとよいかもしれません。 詳細はこちら
給料から毎月強制的に引かれる
厚生年金は、会社で働いている70歳未満の人、いわゆる民間のサラリーマンや公務員は基本的に加入しなければなりません。「天引きしてもよいですか?」のような質問もなく、働けば必ず引かれる保険料なのです。 そのため厚生年金の仕組みを知らないと、大学を卒業したての新卒が、初めてもらった給与明細の手取り額をみて、その少なさに愕然とすることになります。給与明細は大きく分けて「支給」と「控除」に分かれています。 「支給」というのは、基本給や通勤手当、残業手当など支払われる金額です。「控除」というのは健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、住民税、所得税といった主に国に払うためのお金です。会社が役所の出張窓口のような形になって、給与から天引きを行い、まとめて国に支払っているのです。そのため、いくら会社に訴えたところで、控除額がなくなることはありません。
半分は会社が負担する
厚生年金保険料の天引きを高いと感じますが、実際は会社と本人の半分ずつの労使折半です。保険料率の負担は9.01%と記載しましたが、実際は18.182%なのです。また40歳以上になると、そこに介護保険料も加わるので、従業員だけではなく会社にとっての負担も相当なものになります。 そして当たり前のことなので、会社が負担していることに対して従業員は感謝を抱くことも少ないでしょう。会社にとってはその面でもストレスとなります。 また社会保険の対象になっていない、短時間労働の優秀なパートなどの場合などで問題がおきます。本人にすればもっと働いた場合、社会保険料を支払う対象となってしまいます。手取りが減るので、長時間労働をためらってしまうかもしれません。 また会社としても、もっと長時間働いてもらいたいと思っても、社会保険加入対象となった場合に会社が雇用保険の半分を払わなければなりません。こちらも負担が大きくなるので長時間働いてもらうことに対してためらいます。 労使折半は従業員にやさしいシステムではありますが、このような問題点も抱えているのです。
派遣でも支払わなければならない
そもそも、社会保険加入は正社員のみに限ったものではありません。働き方が一定の条件を満たす従業員なら、会社でパートやアルバイトなどの呼ばれかたをしていようとも社会保険加入が義務づけられているのです。 もしも条件を満たしているのに社会保険に加入していない場合は、会社が労使折半分の雇用保険を払いたくないために社会保険逃れをしている可能性も。 では、一定の条件はどのようなものかというと、週30時間以上働いていれば加入条件を一般的には満たします。つまり、1日8時間労働を週4日しているのなら、アルバイトでも、パートでも、派遣社員でも厚生年金を支払う対象となるのです。 また、平成28年10月よりさらに社会保険加入への対象が広がっています。従業員が501人以上いる会社の場合なら週20時間以上働いていれば加入できるようになりました。今後も加入要件の適用範囲は広がっていく傾向にあるようです。
高い厚生年金保険料を納めるメリット
緊急時の手当が多く貰える
年金保険料は、そもそも年を取って働けなくなった場合や収入が減ったときに備えてかけている保険です。実際に保険料を受け取れるようになると、年6回、2月、4月、6月、8月、10月、12月に前月までの2ヶ月分の保険料を受領することができます。 それに加えて、厚生年金加入者は緊急時の手当も厚くなっています。厚生年金が国民年金と異なる大きなメリットは、病気やケガなどをしたときに給付を受け取れる傷病手当金を受け取ることができたり、出産する際には出産手当金が給付されます。
傷病手当金
厚生年金加入者が病気やケガで会社を休んだ際に、被保険者やその家族を守るための制度です。支給される条件は、業務外の理由による病気やケガであること(業務内の場合は労災保険の給付対象となるため)。仕事に従事できないこと。ケガなどをしてから連続して3日間の待機期間を終えていること。休業中に給与支払いがないことなどがあります。支給される期間は、最長1年6ヶ月です。
出産手当金
仕事を持っている女性が妊娠した場合、産前産後休暇を所得できます。その期間は会社から給与は出ません。その期間を保証するための制度が出産手当金です。受給期間は産前の42日から産後56日分です(多胎妊娠の場合は産前は98日)。支給額は月給のおよそ2/3程度です。
将来的に年金の給付額が増える
厚生年金は保険料を支払った金額や期間によって、受給金額が変わります。しかし、平均月額はおおよそ14万5,000円程度といわれています。国民年金の実際に支給されている平均は55,000円ほどなので、ずいぶん差が出ます。 これは厚生年金が国民年金に上乗せして支払われるためです。厚生年金を払い続けてきた人は、国民年金のみの受給者よりも老後は余裕を持つことができるのです。 そうとはいっても、実際に毎月145,000円で生活できるかというと、なかなか難しいのが現状です。まして国民年金だけでは生活は成り立ちません。 老後の生活は、いくら厚生年金が給付されるといってもそれだけに頼らず、豊かな老後のために夫婦世帯なら5,000万円程度、独身なら2,000万円程度の貯金はつくっておきたいものです。
何かあった場合は遺族厚生年金として支払われる
厚生年金加入者は、死亡した際に配偶者や子供、親といった遺族に支払われる遺族年金が、国民年金加入者よりも手厚くなっています。 なぜかというと厚生年金加入者の遺族は、国民年金加入者が死亡した際にもらえる遺族基礎年金に加えて、遺族厚生年金をもらえるからです。 遺族厚生年金の支給要件は、在職中の病気やケガにより死亡した場合であること(初診から5年以内)、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある場合。1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者の場合です。 しかし要件を満たしているだけではなく、一定の厚生年金をすでに支払っていなければ、遺族厚生年金はおりません。それは「遺族基礎年金と同じように保険料納付済み期間(保険料の免除期間を含む。)が、国民年金加入期間の2/3以上あること(参照:日本年金機構)」です。 そのため、アルバイトばかりしていて国民年金を滞納していた人が、転職に成功して正社員になったとしても、国民年金を滞納していたばかりに遺族基礎年金は給付されないことになります。 高い厚生年金を支払い続けることは、自分のためだけではなく家族を守る制度でもあるのです。
厚生年金は老後のためにしっかり納めよう
毎月給与から天引きされる厚生年金を、高いと感じることもあるでしょう。給与が上がれば上がるほど、保険料も上がってしまうのでなんだか損をしているような気分になります。 しかし、厚生年金はいわば老後の収入のようなもの。払った分以上の見返りが老後に返ってくるのです。また、老後だけではなく出産時や、病気やケガといった緊急時にも手当が付いています。厚生年金をしっかりと納めることで、自分自身の老後等に備えましょう。
エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。