意外と知らない年金加入。その仕組みを学び、国民の義務を果たそう

誰しも一度は耳にしたことのある年金。日本国民なら、20歳以上は加入が義務とされている年金の仕組みについては、分からないことがある人も多いはずです。必ず加入が必要なのか、万が一未納してしまった場合はどんなペナルティがあるのか、しっかりと学んで今後に役立てましょう。

保険の無料相談実施中!
保険は貯蓄!です。お金のプロの公認会計士・税理士が運営する安心の保険代理店です。
保険をキチンと見直せば、お金をたくさん増やすことできます。
ご相談は無料ですので、お気軽に エクセライク保険㈱ までお問い合わせください。
✆ 03-5928-0097 メールでのご相談

 

国民年金の仕組み

20歳になると加入の義務がある

国民年金の制度は、働いている世代みんなで、年老いたときやいざというときの生活を支えようという考えで作られた仕組み。日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人が、国民年金への加入が義務付けられています。20歳の誕生月の前月に、日本年金機構から送られる「国民年金資格取得届」に必要事項を記入し、住んでいる市(区)役所、または町村役場、もしくは近くの年金事務所に提出し手続きを行います。 国民年金は公的な年金制度なので、加入が義務付けられており、「将来年金をもらえる可能性がないから払わない」という選択は本来できません。年金を支払わないと未納者になるため、十分な所得があるにも関わらず、国民年金保険料を支払わない場合は、国が強制的に保険料を徴収することも可能です。 ただし、経済的に苦しい場合など、保険料を支払うことが困難と判断されれば、国民年金保険料の支払いを免除する制度も用意されています。もしも自分が該当する可能性があれば、詳しく調べてみましょう。また、平成3年4月1日以前の20歳以上の学生については任意加入でしたが、平成3年4月から学生も強制加入対象と変更になり、保険料を支払う義務が発生するので、注意しましょう。

職業等の違いで3種類に分けられる

一口に国民年金といっても、被保険者は職業や年齢によって分類され、3種類に分けられています。自分がどれに当てはまるのか、しっかり理解しておきましょう。

第1号被保険者(個人事業主、学生、パート、フリーターなど)

第1号被保険者は、年齢が20歳以上60歳未満で、日本国内に住所があり、第2号被保険者や第3号被保険者に該当しない人を指します。個人事業主、農業者、学生、フリーターなども、20歳になると加入する義務が発生します。 国民年金の保険料に関しては、収入に関係なくみんな同じ金額を納める仕組みです。保険料の金額は、労働人口や平均寿命の伸び率によって年ごとに決定され、毎月自分で保険料を納めることが決められています。保険料の納付方法は、現金や口座振替、クレジットカードなどがあります。

第2号被保険者(会社員、公務員など)

第2号被保険者は、厚生年金や共済組合などに加入している会社員や公務員で、原則として65歳未満の人が当てはまります。また、日本国内に居住していない場合でも、駐在員など海外へ居住している人も含まれます。保険料の納付方法は、厚生年金として給与から天引きされ、国民年金は厚生年金全体の拠出金として支払われます。また、厚生年金の加入者でも、国民年金の第2号被保険者ではない期間が発生します。 65歳までは、国民年金の第2号被保険者は、厚生年金の加入者と言えますが、65歳以降は厚生年金のみの被保険者となります。国民年金の第2号被保険者は65歳までという規定があり、厚生年金は70歳で資格を喪失するため、受給期間を65歳時点で満たしていない場合には、満たした時点で第2号から外れます。なお、第2号被保険者が資格を喪失するのは、死亡した場合や会社や組合を辞めたときです。

第3号被保険者(主婦、主夫、パート)

会社員や公務員などの、第2号被保険者の配偶者であり、扶養を認められている場合、第3号被保険者になります。保険料納付の必要はありませんが、第3号被保険者から外れなければならない場合があります。 ☑ 1. 自分自身の年収が130万円を超え、第2号被保険者である配偶者の扶養から外れたとき ☑ 2. 第2号被保険者である配偶者が、退職したとき ☑ 3. 第2号被保険者である配偶者と、離婚したとき ☑ 4. 第2号被保険者である配偶者が、自営業になったとき ☑ 5. 第2号被保険者である配偶者が、死亡したとき ☑ 6. 第2号被保険者である配偶者が65歳を超えたとき、主婦(夫)がアルバイトやパート勤務をしているとき これらに当てはまった時点で第3号被保険者から、第1号被保険者へ変更し、自分で保険料を納付する必要があるので、しっかりと確認しましょう。

加入義務は40年間

国民年金の加入義務期間は、20歳〜60歳までの40年間になり、途中で脱退することはできません。もしも途中で保険料を支払わない場合は、年金の滞納とみなされるので、注意が必要です。また、従来老後の年金を受けとるためには、受給資格期間が、原則として25年以上必要でしたが、高齢者の無年金や低年金の救済措置として、2017年8月からは、老齢年金の受給資格期間は10年間に短縮されました。 ただし、原則20歳〜60歳までの40年間は、国民年金に加入する義務があり、10年間だけ保険料を納めればよいという意味ではありません。なお、国民年金から支給される年金額は、保険料を納めた期間に比例し、40年間保険料を納めた場合のみ、満額の年金を受けられます。 年金の受給額は、保険料の納付期間によってそれぞれ異なりますが、受給期間が25年の人は国民年金で月々約4万円に対し、受給期間が10年の人は月々約1万6千円が目安になります。また、40年間保険料を納付した人は、満額の月々約6万5千円を受け取ることができます。

本人が支払えない場合は世帯主に納付義務がある

国民年金保険料を納付しない人も実際は多く、法律で納付義務者の範囲は、広めに定められています。国民年金の種類は3種類に分類され、第2号被保険者である会社員や公務員は、事業主や行政が厚生年金保険料を給与から徴収するため、未納になることはありません。また、第3号被保険者である主婦や主夫は、保険料納付済期間として扱われるため、保険料を払わなくても未納になりません。 ただし、第1号被保険者である、自営業、フリーター、アルバイトなどは、自分自身で保険料を納付する必要があります。第1号被保険者の保険料の納付義務は、被保険者本人ですが、それでは納付しない人が必ずいるため、世帯主と配偶者も連帯して納付しなければなりません。例えば、子供が保険料を納付しない場合、世帯主の父親ならびに夫婦のどちらかが、必ず納付しなければならないように、定められているのです。 保険料の滞納がかさなり、納付要請に従わず、督促を受けて財産差し押さえになってしまった場合は、本人、世帯主、配偶者の財産がその対象になります。自分だけの都合で保険料の納付を怠ると、家族にまで迷惑がかかるので、納期限を守ってきちんと保険料を支払いましょう。

支払えない場合は免除や猶予手続きを行う

国民年金には、収入の減少や失業などによって、国民年金保険料を支払うことが経済的に難しい人に対して、免除や納付猶予といった制度があります。経済的に支払いが難しい場合、本人や世帯主、配偶者の前年所得によっては、年金保険料が全額、もしくは一部免除できる可能性があります。 免除条件は、世帯単位の所得が審査対象で、結婚している人や、両親が世帯主の場合、配偶者や世帯主の所得も含めた審査対象になります。

全額免除

前年所得が(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円以下の単身世帯なら57万円以下、扶養親族1名なら92万円以下

3/4免除

78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

半額免除

118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

1/4免除

158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

国民年金を支払わないとどうなるのか

障害年金や遺族年金が受給出来ない可能性がある

公的年金には、万が一障害の状態になったときに備えて、死亡時を保障する障害年金・遺族年金があります。年金と聞くと、高齢者のための制度という印象が強いですが、障害年金や遺族年金は、保険料を負担する現役世代でも受給することができます。障害年金とは、所定の障害状態になったとき、生活に支障が出ないように年金を受給できる仕組みです。 一方、遺族年金とは、被保険者が死亡した場合、遺族に年金が支払われるというものです。基本的に、配偶者と子供に支払われますが、配偶者も子供もいない場合は、父母や祖父母にも受給権があります。当然ながら、年金を支払っていないと、障害年金も遺族年金も、受け取ることはできません。 ただし、経済的な理由などで年金の保険料の支払いが困難な場合は、申請することで保険料の納付が免除されます。また、学生で本人に収入がない場合は、学生納付特例を利用することができます。免除制度や学生納付特例の手続きを行うことで、保険料を負担していなくても未納とはなりません。 また、そのほかの要件を満たせば、きちんと年金を受給することができます。いざというとき、無年金になってしまうリスクを回避するために、忘れずに手続きを行いましょう。

財産を差し押さえられる可能性がある

現役世代が保険料を支払い、その保険料と国庫負担や積立金で、年金受給者への支給を賄っているのが、年金制度の仕組みです。ただし、少子高齢化で保険料を払う人が減っているにも関わらず、年金をもらう人が増えているため、自分が年を取ったときに年金を受給できるのか心配している人も多く、年金未納者も年々増えています。 保険料を滞納した場合は、厚生年金保険は会社が納付義務を負うため、かなり厳しく督促や財産差し押さえなどが行われる場合も。国民年金保険料を滞納した場合は、社会保険事務所時代は放置状態でしたが、年金事務所に代わってからは、未納者への対応が厳しくなりました。2017年時点では、十分な所得があり、13ヶ月以上未納した場合、本人・世帯主・配偶者の財産が差し押さえられます。 財産差し押さえは、強制執行なので逆らうことはできませんし、口座も凍結状態となり使用できなくなります。年金を滞納すると、納期限の翌日から納めた日までの日数に応じて延滞金も発生するので、くれぐれも滞納しないように注意しましょう。

財産を差し押さえられるまでの流れ

納付奨励のハガキや封書が届く

国民年金保険料が数ヶ月未払いになると、ハガキや封書により、保険料納付の案内が届きます。例えば、2015年10月の保険料を2015年11月末を過ぎても支払っていない場合は未納となり、未納状態が続くと催告状という書類が届きます。また、日本年金機構から業務委託された民間業者からの電話での催促や、戸別訪問も行われるようになります。 さらに、特別催告状というものが送付されることがあり、これは次の最終催告状の一歩手前の状況となります。もしも、この時点で年金を滞納しており、免除や猶予に該当するような経済状況ならば、市役所の年金窓口に相談に行きましょう。

財産を差し押さえる可能性があると通知が来る

催告状、特別催告状を無視すると、最終催告状が送られてきます。これは支払い能力があるのにも関わらず、保険料を滞納している人に対して送付される通知です。最終催促状は、十分な所得(300万円以上)があるにもかかわらず、保険料の未納が13ヶ月以上である人が対象になります。また、この基準は400万円→350万円→300万円と年々引き下げられています。 自主的な納付を促す最後の通知であり、期日までに納付が行われない場合には、延滞金の発生のほか、財産の差し押さえや、配偶者や世帯主の財産も滞納処分の対象となる通知でもあります。

期限までに支払わないと督促状が届く

最終催告状の期限までに保険料を支払わないと、次に督促状(強制徴収の開始通知)が送付されます。その後、銀行口座や有価証券、自動車などの財産を、年金機構の職員らが調査し、勝手に売却できないように、差し押さえられてしまいます。 さらに、法律で連帯納付義務があると定められている、世帯主や配偶者にも通知が届きます。この督促状を無視すると、延滞金の加算がされ、14.6%と高い利率で厳しい措置が取られます。

差押予告があり最後は強制徴収される

督促状に記載された期限までに支払わないと、差押手続きが始まることが通知されます。これは、支払いの意思が確認できないために、財産の差し押さえや公売により、滞納保険料を強制的に徴収するとの予告です。ちなみに、実際の差し押さえについては、平成24年度で14,999件となっており、この件数は年々増加しています。 最終的な差し押さえ件数は、平成22年当時では3379件なので、4年前と比べて4.4倍もの強制徴収(差し押さえ)に踏み切っているのが分かります。年金滞納者に対する強制徴収の流れは、今後もますます強化されると考えられるでしょう。

国民年金はしっかり支払おう

老後の生活の頼りになるのは、若いときに保険料を支払ってきた国民年金です。将来の老後に対する漠然とした不安を払拭するために、また年金の受け取りで損をしないためにも、公的年金制度について正しく知っておくことは非常に有用です。 またこれから社会に出る場合にも、必ず役に立つことでもあります。年金は国民の義務。年金制度の仕組みや全体像をしっかりと把握し、将来保険料の滞納などしないように、自分の人生設計を描きましょう。