国民年金は、480ヶ月の納付期間に足りないと、満額支給となりません。それを防ぐために未納となっている分を後納することができます。後納は遡ることができる期間が決まっているので、しっかり確認しきちんと年金を受給できるようにしましょう。
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年金の後納ってどんなもの
年金の未納額を後納する
国民年金は毎月納めるものですが、時には納め忘れや経済的理由などで納めることができなかった月が出る場合もあります。この場合、納めなかった分は未納となり、年金受給の際に満額を受給することができなくなってしまいます。 そのような状態を防ぐために、未納となっている年金を後で納める方法が後納です。未納となっている年金を後納することで、年金を満額受け取ることが可能です。 国民年金では、経済的理由などによって年金を納めることができない場合には、一定期間年金の納付を止めることもできます。申請を出せば、年金の納付を免除や猶予してもらうことができ、年金を納めていなくても納めた月と同じ扱いになるのです。 後納することでも年金受給はできますが、年金を納めることが難しいとわかっている場合には、免除や猶予を検討しておくとよいでしょう。
年金は満額にしないと勿体ない
年金の納付を滞らせてしまうと、老齢基礎年金を満額受給することができません。満額受給するのと減額になる場合とでは、受給額に大きな差がでてしまいます。 年金の満額支給となる要件としては、20歳から60歳までの40年間加入し、保険料を納めていること。途中で納付していないような月がある場合、それをそのままにしておくと条件を満たしておらず減額になります。未納となっている期間の年金を後納で納めることができれば、受給額を増やすことができ、安心です。
後納でどのくらい増える
実際に未納分の年金を後納すると、どのくらいの増額になるのでしょうか。 例えば過去10年間の未納期間があった場合には、12ヶ月×10年=120ヶ月が未納になっています。後納できるのは遡って5年ですから、5年分を後納したとしましょう。 ☑10年未納のままの場合 779,300円(満額)×(400ヶ月−120ヶ月)/400ヶ月=545,500円(100円未満四捨五入) ☑遡って5年分後納した場合 779,300円(満額)×(400ヶ月−60ヶ月)/400ヶ月=662,400円(100円未満四捨五入) 5年分の未納を後納したことで、年間の支給額が116,900円増える計算になります。後納する額は年金保険料月額15,040円ですから、15,040円×12ヶ月×5年=902,400円です。後納する額も大きくなりますが、年間116,900円増えた分はその後ずっと続くので、9年間年金を受給すれば元は取れることになります。未納のままにしておくより、少しでも後納したほうが老後の生活も安心ですね。
後納はどのくらいできる
基本的には毎月一定額を納付する国民年金。経済的理由で支払いをしていなかったり、厚生年金との切り替え時に払い損ねたりしていると未納となってしまいます。通常、2年前まで遡って未納分を納付できます。それ以上前の分は、後納制度を利用することで5年前まで遡ることが可能です。しかし、この後納制度を利用できるのは平成27年10月から平成30年9月30日までなので、未納分がある場合は早めに後納制度を利用して支払いをしましょう。
控除や免除をしていた時
国民年金は、保険料が未納となっているケースも決して少なくありません。これは年金保険料が大きな負担となっていることが考えられます。国民年金では、控除や免除の制度があり、利用することで年金が未納扱いとならずに済みます。ただし、控除や免除の制度を利用した場合は、年金は減額になります。減額にならないためには後で保険料を納める必要がありますが、この場合は、後納ではなく追納です。
国民年金保険料免除納付猶予制度
国民年金の保険料の支払が経済的に厳しい場合に、利用できるのが国民年金保険料免除納付猶予制度です。この制度を利用することで、保険料の支払が免除されている期間を受給資格期間に算入してもらうことができます。 対象となるのは、所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年の所得が一定額以下となっている場合と、失業した場合です。免除は全額・4/3・半額・1/4の4種類があります。申請を行い決定されると免除されます。免除されている期間は年金受給の際に1/2の額を受け取ることができます。後で免除されていた保険料を納めれば、年金の受給額も満額となります。
学生納付特例制度
年金保険料が免除となるものには、学生納付特例制度もあり、こちらは学生が対象となっています。年金制度は20歳からの加入が義務付けられていますが、20歳というとまだ、学生で収入がないことも多く保険料の支払が難しいことも。そのため学生であれば、特例としてその間保険料の納付が猶予されるのです。 ただし猶予されていた期間の保険料は、後納する必要があります。
後納でどのくらい年金が増えるか
国民年金の後納でどのくらい年金額が増えるのかは気になるところですが、まずは、国民年金を満額支給するためには加入期間が20歳から60歳までの40年間が必要となります。この年齢の間に40年間分の納付がない場合には、減額の対象となります。 未納期間が1ヶ月、2ヶ月ということであれば、その分を後納でも納めることができれば満額が給付となります。それ以上に未納があるような場合でも目安として納めた金額÷納めた年数分程度となります。 未納となっている1ヶ月分を後納した場合に増える年額の計算は779,300円÷480ヶ月≒1,624円となります。これだけで見ると決して大きな額ではありませんが、これがずっと続くことを考えると後納するのかしないのかで大きな差が生じます。
後納は当時の料金で納められるのか
国民年金の保険料は、保険料改定率によって毎年変わるため、後納するときは、未納だった月の保険料に加算金として現在の料金との差額が加算されることになっています。未納分を納付するときは、過去(当時)の保険料ではなく、現在の保険料と同額を支払うことになるのです。 保険料は物価や実質賃金の変動などによって、毎年調整されていますが、平成30年までは毎年数百円ずつ上がっています。現在進行形で支払いをするほうが、保険料の支払いは低く抑えられるといえます。
年金をさらに増やしたい
付加保険料を納付する
国民年金の受給額を少しでも増やしたいと考えるのであれば、付加保険料を検討しましょう。付加保険料とは、老齢基礎年金に上乗せする保険料。義務ではなく、任意で加入することができます。保険料として、月額400円が上乗せされます。 付加年金は、200円×付加保険料を納付した月数。例えば10年間付加保険料を納付したとすると200円×12ヶ月×10年ですから、年間で24,000円上乗せされることになります。 付加保険料を40年納付した場合には、200円×12ヶ月×40年ですから、年額で96,000円が上乗せとなります。単純に考えて2年間年金を受給すれば元が取れる計算です。
私的年金を利用する
国民年金だけでは老後に不安を感じる場合には、私的年金を利用するのもひとつの方法です。私的年金は、国が行っている年金制度以外の年金です。企業や銀行などが提供している年金を指し、個人で加入できる任意の保険です。 国の年金制度とは異なりますので、個人の老後のための積み立てと考えるとよいでしょう。年金という形態なので、払い込みが終われば、月々一定額が支給されます。 私的年金制度として保険会社が行っているものでは、明治安田生命が提供している年金かけはし、住友生命のたのしみ未来、証券会社が行っているiDeCo、その他にも金融機関でもそれぞれ年金商品を提供しています。 私的年金は、公的年金制度とは違いそれぞれの団体が提供しているものとなりますので、給付の方法やどのくらいの得があるのかなど違ってきます。 老後の生活費の目役は、夫婦2人で1ヶ月平均27万円程度といわれています。それを参考にして私的年金を検討してみるとよいでしょう。ただし、保険料の支払も考えて無理のない計画を立てることも大切です。
国民年金基金を利用する
国民年金基金とは
国民年金基金は、国民年金法に基づく公的な年金制度として、平成3年に創設されました。 それまで老齢基礎年金だけであったものに国民年金基金を上乗せすることで、年金を2階建てで受給できるようになったのです。 加入できるのは第一号被保険者で、自営業者などが対象となっています。
国民年金基金の保険料は
国民年金基金の保険料は、給付の種類や口数で決まります。将来どのくらいの受給を希望しているのかなどによって口数を選択し、それに応じた保険料を支払う形です。 また、性別や年齢によっても保険料は変わるので、保険料だけでなく、どのように受給したいかもよく検討して決める必要があります。
国民年金基金、給付の種類
国民年金基金は、終身年金A型・B型、確定年金?型・?型・?型・?型・?型に分けられています。終身年金は、受給の期間が定められていない保険で、確定年金は、受給期間が決まっている保険です。 確定年金?型・?型は65歳から給付を受けられます。?型は15年確定年金、?型は10年確定年金。?型・?型は、60歳から給付を受けられます。?型は15年確定、?型は10年確定の年金となります。?型は、60歳から支給開始となる5年確定保険です。 1口目は終身年金A型とB型に加入でき、2口目では、1口目に加えて確定年金も対象となります。
60歳以上でも年金を払う
国民年金は、基本的に20歳〜60歳までの40年間、支払いをします。納付ができていない月などがあり、480ヶ月納付できていない場合は、年金の満額受給ができなくなります。 こういった場合に、任意で60歳を過ぎてからの5年間、年金に加入することができます。480ヶ月に満たない分を60歳を過ぎてから補えるのが、国民年金の任意加入制度。この制度を利用して480ヶ月分を支払うことができれば、年金を満額で受給できます。
任意加入制度の加入条件
☑日本に住所のある60歳以上65歳未満であること ☑老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていないこと ☑20歳〜60歳までの保険料の納付月数が480ヶ月未満であること
年金を後納して受取額を増やす
年金は老後の生活には欠かせないものです。ですが、年金だけで生活ができるほど、多くの給付を受けることは難しくなってきているのが現状です。だからこそ年金は満額で受給できるようにしましょう。満額受給するためには、納付月数がポイントとなります。40年分・480ヶ月の納付月数となるように調整してください。 未納となっている月があれば、後納してきちんと老後に備えることが大切です。まずは、現在の納付状況を一度問い合わせるなどして、確認してみるようにしましょう。
エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。