高額医療費の限度額。両親2人の場合金額は2倍になるorならない?

両親には長生きしてほしい。しかし気になるのは「介護・医療費問題」です。高額医療費を利用しても両親2人分となると大変です。高額医療費制度にはそんな世帯の悩みを軽減する仕組みがあります。仕組みを知って、じょうずに介護と医療に向き合いましょう。

保険の無料相談実施中!
保険は貯蓄!です。お金のプロの公認会計士・税理士が運営する安心の保険代理店です。
保険をキチンと見直せば、お金をたくさん増やすことできます。
ご相談は無料ですので、お気軽に エクセライク保険㈱ までお問い合わせください。
✆ 03-5928-0097 メールでのご相談

 

高額医療費の申請方法

高額療養費制度の限度額から申請する

これは、一般的にいわれている「高額療養費の払い戻し」のことをいいます。総医療費のうち、自分が負担すべき割合で計算された金額をいったん全額支払います。 高額な治療や長期入院の場合には、支払い額がとても高額になります。しかし、ここで支払ったお金は申請手続きをおこなうことで一部払い戻しを受けることができます。 どのくらい払い戻しされるのかは、個人ごとの「限度額」によって決定されます。その人の収入(扶養内であれば扶養者の収入)によって限度額が異なり、収入が高ければ高いほど、限度額も高額に設定されます。

高額医療限度額適用認定証を申請する

高額療養費の申請方法のもう1つは「限度額適用認定証」を発行してもらう方法です。こちらは後日「払い戻し」を受けるのではなく、「限度額を超える部分」が最初から請求されない、いわば「事前申請」の方法です。 こちらに設定される「限度額」は、払い戻しを受けるときの金額とまったく同じです。全額立て替えるのが負担になる、治療内容によってはとても高額な医療費となる見込みの場合は、この「事前申請」の方法を選択することをおすすめします。

高額医療の限度額には所得区分がある

「限度額」ですが、この金額を決めるのは「所得の多さ」です。 1ヶ月の所得がどれくらいあるのかで、1ヶ月分の医療費額の上限が決定されます。つまり、所得(収入)が多い人と低い人で、支払うべき医療費の金額が変わるということになります。

70歳未満の人の場合

いわゆる「現役世代」とよばれる70歳未満の人は、総医療費の3割分が自己負担額となっています。 総医療費が1万円の場合は、窓口で請求される金額は3,000円になります。診療費だけでなく、薬代も同じ考え方ができるため、調剤薬局で支払う場合も3割負担になります。 この「3割負担」ですが、高い点数の治療(医療費は1点10円で計算されます)を受けたり、手術や入院加療を受けた場合は、その点数に応じて自己負担額も高額になります。いくら現役で収入があるとはいえ、3割の負担金額は決して安いものにはなりません。 このような場合、70歳以下の現役世代の人でも「高額療養費制度」を利用することができます。

70歳以下の人の限度額

70歳未満の人に対する自己負担限度額は、70歳以上の人たちよりも細かく所得額によって5つの区分に分けられています。 ☑標準月額報酬が83万円以上の場合 自己負担限度額 25万2,600円+(総医療費ー84万2,000円)×1% ☑標準月額報酬が53万円~79万円の場合 自己負担限度額 16万7,400円+(総医療費ー55万8,000円)×1% ☑標準月額報酬が28万円~50万円の場合 自己負担限度額 80100円+(総医療費ー26万7,000円)×1% ☑標準月額報酬が26万円以上の場合 自己負担限度額 57,600円 ☑市区町村民税非課税の場合 自己負担限度額 35,400円 このように、「月々の所得」によって自己負担限度額が変わります。

70歳以上75歳未満の人の場合

日本の社会保険制度上では、70歳から74歳までの人は「前期高齢者」と位置付けられます。これまで社会保険や国民健康保険に加入していた人は、前期高齢者の保険証が交付されます。 70歳以上で会社に勤務している(社会保険に加入している)人であっても、別途「高齢受給者証」が自動的交付され、窓口負担割合は2割(生まれた年によっては1割)へと引きさげられます。 しかし、会社からの給与や年金などが一定額を超える場合は「現役並み所得者」として扱われ、窓口での負担額は現役並みの3割に引きあげられます。

70歳以上の人は高額療養費の申請の必要はない

また、この「高齢受給者証」にはすでに限度額が設定されているのが特徴です。ハガキより2回りほど小さいサイズの受給者証には、その人の所得に応じて設定された限度額を表す記号が記載されています。 このことから、70歳以上74歳未満の人については「高額療養費」の申請は、払い戻しも事前申請も必要はありません。 受給者証を窓口に提示したときから限度額が適用され、もし高額な治療を受けたとしても限度額以上の部分は請求されません。

70歳から74歳までの人の限度額

70歳から74歳までの人の限度額は、一般の場合外来診療分が14,000円、入院の場合は57,600円です。 同じ年代の人で「現役並み所得者」の場合は、外来が57,600円、入院の場合は80,100円に既定の計算によって算出された金額が上乗せされ、70歳未満の人と同じ金額を負担することになります。

後期高齢者の高額医療限度額について

限度額は所得で決められる

75歳以上の人の所得の多くは「年金」などの収入ですが、家賃収入や事業収入などといった「一定額を超える収入がある場合」は、前述のとおり「現役並み所得者」として扱われます。

75歳以上の人の限度額

74歳未満と同じ限度額で、一般の場合外来診療分が14,000円、入院の場合は57,600円です。現役並み所得者」の場合は、外来が57,600円、入院の場合は80,100円に既定の計算によって算出された金額が上乗せされ、70歳未満の人たちと同じ金額を負担することになります。

介護保険の限度額と合算できる

国民健康保険や後期高齢者医療制度を利用している世帯に「介護保険の受給者」(実際に公的介護サービスを受けている人)がいる場合、医療費と介護費用を合わせ、その金額に対して限度額を適用させることができます。 これを「高額介護合算療養費制度」といい、医療の手と介護の手、そのどちらも必要としている人(世帯)の負担を軽減させるのがこの制度の目的です。 この制度を利用できる人の具体的な例は ☑父親が病気で入院(医療)しており、母親は自宅で介護サービス(介護)を利用している ☑末期がんで、訪問介護サービス(介護)を受けながら、自宅で点滴治療(医療)をおこなっている このように、個人単位・同一世帯単位でも介護費と医療費を合算することができます。 限度額は年額56万円が基本となっていますが。やはりこちらも世帯単位の所得や、年齢などによっても負担額が異なります。

所得による高額介護合算療養費の限度額の違い

世帯単位の所得額による「高額介護合算療養費の限度額」は以下のとおりです。 ☑一般 年間限度額56万円 ☑現役並み所得者 年間限度額67万円 ☑住民税非課税世帯(区分I)年間限度額31万円 ☑住民税非課税世帯(区分II)年間限度額19万円 このように、所得が多ければ限度額は高くなり、所得が低い人は限度額も低くなります。この考え方は医療費における「高額療養費」と変わりません。

高額医療限度額適用認定証で計算されるもの

高額療養費制度(限度額適用認定証)ができるのは、診察や検査、くすりや注射などの「保険診療に該当するもの」だけです。 医療機関で受ける診療のすべてが保険診療によるものとは限りません。美容レーザーや分娩費用の一部などが「自費診療」の代表例です。このような「自費診療分」に該当するもの、診断書などの「文書代」などは保険診療費として扱われません。 ひいては、高額医療費の計算に含まれるものは ☑診察(初診料・再診料など) ☑検査 ☑くすり ☑注射 ☑入院基本料 ☑手術代 これら6つが医療保険の範疇となります。

入院や外来などはそれぞれ計算される

高額療養費制度の限度額は、「外来」と「入院」は別の枠組みとして扱われます。 したがって1ヶ月以内に「外来」「入院」の両方の診療を受けたときの総医療費を計算するとき、この2つを合算して算出するのは誤りです。 外来の診療費自己負担金額が1万円で、入院が10万円の場合(限度額が57,600円の人とします) 外来10,000円…高額療養費制度に該当しないため自己負担 入院10万円…高額療養費制度の限度額57,600円が適用される このように、外来は外来の限度額、入院は入院の限度額で計算されることを覚えておいてください。

限度額の対象にならない費用がある

高額療養費制度の対象になるのは「保険診療に該当する範囲」に限られます。 該当しないものの具体例は ☑差額ベッド代(個室・2人部屋・4人部屋など、個人の希望で少人数の部屋を利用したもの) ☑食事代 ☑パジャマ代 ☑先進医療(まだ保険適用されていない特別な医療行為) これらは高額療養費の計算に含まれず、全額自己負担となります。

歯科診療費は別途計算

さらにもう1つ、別枠計算されるものがあります。それは「歯科診療費」です。 医療費の計算は「医科」と「歯科」に分けられています。例えば同じ医療機関で内科と歯科を受診した場合は、「医科分」と「歯科分」に分かれて請求書が発行されます。 高額療養費制度もこれに準じて適用されるため、1つの医療機関で受診していても総医療費として合算することはできません。

限度額がより軽減される要件

医療費の世帯合算ができるとき

同じ月に同じ世帯の家族が1ヶ月21,000円以上の医療費を支払っている場合、かかった医療費を合算することができます。 家族が立て続けに入院した場合、いくら限度額適用を受けても支払いは倍増することに違いはありません。このような場合には「世帯合算」の制度を活用するとよいでしょう。 例えば、夫婦それぞれの医療費負担額が60,000円の場合、限度額が80,100円であれば限度額に達しないため、60,000円は自己負担となります。しかし2人とも世帯合算の条件である「21,000円」を超えているため、高額医療費が適用が認められます。 この夫婦に対する限度額が57,600円の場合、12万円の自己負担した金額の差額である62,400円が払い戻しされることになります。 注意したいのは、夫婦それぞれが加入している保険が違う場合は合算できないことです。夫が社会保険、妻が国民健康保険に加入しているケースでは世帯合算の対象にはなりません。

高額医療限度額の支払い回数が多い

限度額が適用されているとはいえ、治療が長期になればやがて家計を圧迫することになりかねません。 高額療養費の限度額は、適用開始から3ヶ月までは同じ金額ですが、4ヶ月目以降は「多数該当」となり、自己負担限度額が軽減されます。 この4ヶ月は連続している必要はなく、高額医療費の利用が4回目を迎えたときに適用されます。(ただし加入している保険者が同一であることが条件です。)

多数該当が適用された場合

例えば通常の自己負担限度額が57,600円の人の場合、4回目以降の限度額は44,400円、限度額が16万7,400円+(総医療費ー55万8,000円)×1%の人の場合は93,000円になります。 多数該当の適用には、特別な申請は必要ありません。4日目を迎えると、医療機関で自動的に軽減された金額で計算してもらえます。 このように、高額療養費には「多数該当」のような「長期の治療も継続することができる安心の仕組み」も備えられているのです。

高額な医療費を軽減させる仕組みを知ろう

日本の平均寿命は年々伸びています。しかし、誰もが健康で自立した生活が送れるわけではありません。介護と医療のどちらも必要となると、気になるのが自己負担額です。 高額医療費制度には、介護費と医療費を合算し世帯の負担を大幅に軽減する仕組みが備わっています。また、長期治療を余儀なくされた場合には「多数該当」という限度額が引きさげられる仕組みもあります。 日本の社会保障制度によって、私たちは家計を圧迫する介護費用・医療費用に対して全面からバックアップを受けることができます。誰もが活用できる「高額医療費」の仕組みを知って、じょうずに医療費と向き合いましょう。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。